第127話 バイト仲間 --楓視点--

今日はバイトの日。

ということで学校終わりにバイト先である喫茶店ラウムに向かった。

ケンちゃんは紅葉の家庭教師があるから今日は別行動。

いつも一緒に行動しているわけではないのですよ私も。


「お疲れ様で~す」

「おっ楓ちゃん早いね。今日もよろしく!」


バイトリーダの島田さんだ。

いつも親切で色々と教えてくれる頼りになる先輩でここの喫茶店の主的な人。

何だかマスターである長谷部君のお父さんよりも店に居る時間が長い気がするけど、一応私達が居ない午前中は大学に通っているそうだ。


「そうだ、楓ちゃん先週末熱海まで旅行行ってきたんだ。お土産あるから後であげるね」

「ありがとうございます。温泉旅行ですか?」

「そ♪今からの季節温泉はいいよねぇ」

「ですね。私も田辺君とまた行きたいねって相談してるんです」

「相変わらず仲いいね。でも今時の高校生の男女って二人で普通に旅行とか行っちゃうのか・・・私なんて未だに女友達とだもんなぁ親も厳しいし」

「・・・何だかすみません」


余計な一言で地雷を踏んじゃったみたい。

とか思いつつ島田さんとの会話は面白く立ち話をしていると


「今日もよろしくお願いします!」

「お疲れ様でーす」


と今日のバイト仲間の2人が到着。

森下学園に通う夏川さんと森田さん。

夏川さんは普段月曜と水曜のシフトなんだけど今日予定していた湯川ちゃんが急用で来れなくなったということで応援に来てくれた形だ。

ちなみに夏川さんは森下学園のバスケ部員で地区予選を争うライバルだったりもするんだけどここでは普通に同い年のお友達な感じだ。サバサバした感じの美人さんで話しやすいしバスケにストイックなところもあり結構仲はいい方だ。

森田さんは、最近バイトをはじめたばかりの新人さんで、同じくバイト仲間で森下学園バスケ部の藤原君の彼女さん。小柄で可愛い系の子で何だか守ってあげたくなる感じだ。

私も夏川さんも背が高いから余計にちっちゃく見えるんだよね。


「小早川さん2回戦突破おめでとう!」

「ありがとう!って夏川さんとこも2回戦突破じゃん。おめでとう」

「ふふ。夏は負けたけど今回は負けないからね」

「こっちこそ!」


そう・・・次の女子3回戦は森下学園が相手。

夏の大会では勝てたけど毎年接戦になっている強敵だったりする。


「そっか2人ともライバル校なのよね。ま、競い合うのは良いことだけど、ここでは仲良くして頂戴ね」

「「は~い」」


と言いながら厨房のマスターの手伝いに入る島田さん。

ふふ、心配しなくても夏川さんとは仲いいですよ。


私達がバイトで入る夕方の時間帯は、帰宅前に軽食などを注文をするサラリーマンや待ち合わせでコーヒーやスイーツを頼むカップルや学生等、駅前ということもあり結構混雑する。

バイトメンバは基本ホールを担当するので、私と森田さんは注文や配膳をメインで担当し、バイト歴が長い夏川さんは厨房との繋ぎやレジを担当した。


そして客足も落ち着きはじめ時間は20:30。

店内は数名のお客様がのんびりと珈琲を飲んでいるだけとなった。一応バイトは21:30までなので後1時間だ。


「今日は結構お客さん来たね・・・・疲れたけどやっと一段落だ」

「うん。小早川さんと由紀ちゃんもホールお疲れ様」


と私達はカウンター内の椅子に座りちょっと休憩をした。


「どう由紀ちゃん?慣れた?」

「はい。人と話するのは好きだしメニューも大体覚えたから。こういう仕事とか向いてるのかも」

「確かに森田さんって接客業向いてるかもね。オーダー取るのとか上手だったよ」

「ありがとうございます!」


と最初の内は真面目に仕事の話や学校の話とかをしていたんだけど段々脱線し恋バナへ。


「そういえば森田さん、この間藤原君とデートだったんだよね。どうだった?」

「あっそれ私も聞きたいなぁ。もしかしてキスとかしちゃった?」


夏川さんストレートにキスしたとか聞いちゃうんだねw

でも藤原君の感じだと多分いきなりキスとかはしないよね。


「え、あの・・・そういうのはまだ。でも手を繋いでくれたし凄く和君が色々とリードしてくれて凄くカッコよくて・・・」

「ぅ~何だか初々しくて、森田さん可愛すぎ」


ん?どうしたのかな夏川さん真面目な顔して


「・・・小早川さんは、その・・・田辺君とはもう・・・してるんだよね?」

「え!・・・う うん。まぁケンちゃん一人暮らしだし、一緒に旅行とかも行ったし・・・」

「小早川さん大人です!!」


何だか顔を赤くしつつも興味津々な森田さん。

うん。みんなこういう話は好きだよね。


「はは そ そんなことないよ。私もケンちゃんに任せっきりでリードして貰ってるから。もっとしっかりしなくちゃっていつも思ってるよ」


「そうなんだ。で その・・・やっぱりそういう事すると何か関係が変わったりした?」

「う~ん。私達の場合はそんなに関係が変わるようなことはなかったけど、強いて言えば前よりもケンちゃんと離れたくなくなったというか、もっと好きになっちゃったかな」

「そ そうなんだ」


そうだよね。あらためて言葉にすると恥ずかしいけど、ケンちゃんの事が更に好きになったというか、前よりも意識するようになったのかな。


「あ、もしかして夏川さんも気になる人とかいたりするの?」

「え、あ、その・・・・」

「もしかして横田君?」

「え?男子バスケ部の横田君?夏川さん付き合ってるの?」

「ち 違う、、ちょっと気になってはいるし仲は良いかもけど、まだ付き合ったりとかは」


夏川さん嘘が下手すぎ"まだ"とか言っちゃってるし。

その後は私と森田さんとで夏川さんから話を聞きだし盛り上がりました。


結局その後は新規のお客様もなく、いつのまにやらバイト時間も終了。

閉店までの残りの時間はマスターと島田さんに任せて私達は退店となりました。

女子ばっかりのバイトも楽しいなぁ~








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