アフターストーリー23 バレンタインの日
「いい天気で気持ちいいね♪」
「そうだな」
川野辺に帰ってきてから2度目のバレンタイン。
今日は久々に楓と2人でデートをしている。
まぁ毎度おなじみのショッピングモールの買い物デートだけどね。
受験勉強中は何となくデートするのも気が引けるところはあったけど、無事終了したということで今は心置きなく楓と一緒に居られるんだよな。
まぁ受験中も一緒に居ることは多かったけど・・・気持ち的な話でね。
ちなみに受験といえば、長谷部と湯川ちゃん、それに梶も川野辺大学に合格した。
長谷部たちとは一緒に勉強会をしていたので、川野辺大を志望していたのは知っていたけど梶が川野辺大を受けていたのは知らなかった(まぁ特に聞かなかったし)
で、梶にそのこと言ったら"冷たいなぁ~俺とお前の仲じゃん"と拗ねられた・・・
どういう中だよと思わずツッコんでしまった。
悪い奴じゃないけど色々と面倒な奴だ。
でもまぁ梶ってああ見えて成績も良かったはずだし、お姉さんも川野辺大だもんな。
そんな会話をしつつ俺達はランチを食べるため最近出来たお洒落な雰囲気のカフェに入った。ショッピングモールは良く来てるけどお店の入れ替わりも多いよな。
「はい♡ケンちゃん。今年も手作りで頑張ったんだからね」
「ありがとう楓」
楓からのバレンタインチョコも2度目だ。
・・・あ、今思うと小さい頃、俺が引っ越す前にも貰ったことがあったような。
あれもカウントしていいのかな?
でも、当時は考えたことなかったけどあの頃から楓は俺の事を?
「ん?どうしたのケンちゃん」
「いや、小さい頃にも楓からチョコ貰ったことあったよな?」
「お 覚えてたの?」
「あぁ何となくだけど。あの頃から俺の事好きでいてくれたんだなって」
「なんだか恥ずいなそう言われると。
でも、あの頃から私の本命チョコはケンちゃんだけなんだからね」
そう言いながら恥ずかしいのか俯きながら俺の腕に抱き付いてくる楓。
可愛いなもう♪
「ありがとう。嬉しいよ」
「あ、でもケンちゃんは転校した先とかでもチョコ貰ってたんでしょ!」
「そんなことないぞ。そもそも海外にいる時はチョコレートを贈るとか風習自体無かったしな。あ、でも母さんからは貰ったかな」
「ほんとう?」
「ほんとだって。俺そこまでモテないから」
それはそれで何だか寂しいけどな。
でも正直いうと海外行く前はそれなりに貰ったこともあった。
義理だろうけど・・・だから本命は楓からだけだ(多分)
「それより、そろそろ行こっか」
「うん♪」
カフェでランチをとっていた俺達は、今日の目的でもある楓の洋服を買いに行くため会計を済ませてお店を出た。
楓曰く"女子大生になるんだから少し大人っぽい服とか買わないと"という事らしい。
俺からしてみれば楓は背も高いし顔も整ってるから今でも十分大人っぽい感じはするけどな。
そんな事を思いながら2人でファストファッションの店が並ぶ通路を歩いていると
楓がマネキンを指差しながら俺に話しかけてきた。
「ねぇねぇケンちゃん。これなんかどうかな?」
「いいね。楓に似合いそうだな」
「ほんと!じゃちょっと来てみるね」
春らしい桜色のトップスと薄手のジャケット、それに明るめの色のジーンズ。
楓に似合いそうだ・・・けど同じようなの持ってなかったか?
そう思いながら店員さんと店の奥へ向かう楓を見送った。
スマホを弄りこの後の予定を考えながら壁にもたれ掛かっていると服を着替えた楓が店員さんと出てきた。
「どうかな?ケンちゃん似合う?」
「うん。思った通りいいよ。似合ってるよ楓」
お世辞抜きに似合ってる。
スポーティーで活発な楓にぴったりだ。
「彼氏さんにも好評で良かったですね」
「はい♪これにします!」
「ありがとうございます。それでは会計はこちらで」
「はい。あ、ケンちゃんもう少し待っててね!」
「あ あぁ」
い いや似合ってるけどさ。即決でいいの?
まだ見始めたばかりなんだけど。
今日は楓の買い物にガッツリ付き合うつもりだったんだけどなぁ。
しばらく待っているとお店の袋を持った楓が俺の方に近づいてきた。
「お待たせ!じゃ次はケンちゃんの服見よ!」
「え?俺も」
今日って楓の服を身に来たんじゃ?
「私の服買ったんだし、一緒にお出掛けする様にケンちゃんのコーデ服もね♪」
「そうだな。確かに俺も最近服買ってないしな」
「でしょでしょ!」
「じゃ行くか」
ということで急遽俺も服を買うことになり、楓と2人お店を見て回った。
楓も俺もファッションセンスがあるかと言われると微妙なんだけど2人でこうやってお店を見て回るってだけで楽しい。
で、結局お店を何軒か周り楓の買った服と雰囲気が会うようなジーンズとTシャツ、ジャケットを買った。
「ふふ 何だかこれ着て学校行くの楽しみだね」
「そうだな。あと2か月もしたら大学生だもんな」
「うん。でも嬉しいな。今更だけどケンちゃんと一緒に大学通えるって」
「今だって一緒に高校通ってるだろ?」
「まぁそうだけどさ、入学したときはケンちゃん居なかったでしょ?
今度は一緒だなって♪
高校入るまでにはケンちゃん帰ってくると思ってたから・・・」
「待たせちゃって悪かったなほんと」
確かに親父の海外赴任って予定より長引いたからな。
大樹おじさんとかには、俺の高校入学までには帰るとか話してたのかもしれない。
「気にしなくていいよ。今はケンちゃんが隣に居るし。
それにこの先はずっと一緒に居てくれるんでしょ?」
「あぁそうだな」
「うん。よろしい!
さ、早く帰ろ!おばさんがチョコレートケーキ作ってくれるんでしょ。
おばさんのケーキ美味しいんだよね♪」
「そうだな。でも、ま、楓のチョコには敵わないけどな」
照れながらも楓は握っていた手を強く握り返してきた。
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