第80話 海水浴②

「ねぇ裕也くぅん 背中に日焼け止め塗って欲しいなぁ~」

「お おぅ」


浜野さんは俺達のところに来るなり裕也のところに行き日焼け止めを塗って欲しいと準備してあったレジャーシートに寝そべった・・・・

普段は裕也と呼び捨てなのに"くん"とかつけて少し甘えた感じで声掛けしてる。

何というか、この二人って自然な感じでイチャイチャしてるよな。


「楓!」

「綾ちゃん!」

ん?何だか楓と村田さんが、こっち見ながら話してるけどなんだ?


「ケ ケンちゃん 私も日焼け止め塗って欲しいな」

「太一!私もお願いしていいかな・・・」


まさか二人もご所望ですか♡

思わず福島と顔を合わせ締まりのない顔をしてしまった・・・


「お おぅまかせろ!」

「ああ塗ってやるぞ」


と俺と福島はぎこちない足取りでシートに寝そべった楓と村田さんのもとに向かい、背中にクリームを塗った。

肌にクリームを塗ってるだけなんだけど何というか・・エッチな感じだなこれ。

楓や村田さんも俺達に頼んでおきながら恥ずかしいのか顔を赤くしてる。

肌の感触が色々ヤバいです・・・


「ゆ 優君・・・・私もお願いしていいかな」

「は はいぃ!!」

俺達に影響されたのか中学生カップルも日焼け止めを塗るようだ。

高坂君。大人への第1歩。これも社会勉強だよ!!


日焼け止めを塗った後、俺達は海に入り少し遊んだ。

暑い夏の日差しの中、海の水は気持ちいい!

そして一頻り海を楽しんだ後は、ビニールのボールでゆる~くビーチバレーをやった。小早川姉妹と俺と高坂君のチームと裕也・浜野さん、福島・村田さんでチームで対戦だ。


「そ~れ」

「うぉそっち海だって!」

「ごめ~ん」

「健吾!すこしは加減しろ!」

「そっちこそ!」

「わ、わ、お姉ちゃんお願い!」

「まかせて!」


最初こそ笑いながらゆる~く楽しんでいたんだけど、そこはバスケ部とい名の部活に席を置くアスリート達。

途中から変なスイッチが入ってしまったのか結構マジに対戦をしてしまった。

お陰で一般人の紅葉と高坂君はかなりバテバテになっていた。

でも、俺達についてこれたのは結構凄いかも。バスケ部にスカウトするか?


そんなこんなでビーチバレーで力を使い果たした俺達は一旦コテージに戻り上着を着て、真壁さんから指定されていたレストランに向かった。

俺達用に昼食を用意してくれているとの事だ。

本当もう何というか真壁さんには感謝しかないね。


海岸から少し歩いた高台にあるホテル直営のレストラン。

外観は所謂おしゃれなハワイアン風で海の利用者を考慮しているのか、水着でも入れるテラス席も用意されていた。

俺が受付で名前を言うと『オーナーから連絡を受けています』と眺めのいいテラス席に案内された。

そして・・・・


「お待たせいたしました」

「「おお!!」


大きなチキンにたっぷりチーズが美味しそうなハンバーガーにぷりぷりのエビが美味しそうなアボガドシュリンプサラダ、ローストビーフに焼きたてのバケット、色とりどりのフルーツなどなど美味しそうな料理が次々と並べられた。


「美玖ちゃん!写真写真!!」

「うん!うん!これいいね!」


村田さんと浜野さんは最近インスタを始めたらしく綺麗な料理をまず写真に収めていた。本当見た目だけでも美味しそうだ。


「じゃあ写真はいいかな?」

「お腹空いたし早く食べようぜ!」

「うん!もう大丈夫!」

「「じゃ いただきま~す!!」」


午前中たっぷり運動したしお腹も空いてたんだよな。

おかわりもあるということだったし、たっぷり食べさせていただきますよ!


「「美味しい!!」」

「何このドレッシング!レシピ知りたい!」

「このローストビーフ凄くやわらか~」

「ハンバーガーのチキンも凄く柔らかい。それにハーブの香りがまたいい!」


何というか俺達高校生が普段のファーストフードやファミレスで食べるハンバーガーやサラダとは1ランクも2ランクも違うような味でした。。。

でも、流石は料理部というか浜野さんはレシピも気になるようだ。


「ふぅお腹一杯・・・」

「少し食休みしないとな」

「というか食べたし俺眠くなってきた・・・」

「うん 私も眠い」


ランチを堪能した後、俺達はコテージに戻りくつろいでいた。

というか正直食べ過ぎた。

裕也と浜野さんはテラスのハンモックに揺られ、福島と村田さんはコテージ内のソファでくつろいでいた。


「楓、少しこの辺り散歩でもするか?」

「うん!」


と俺は楓を伴って食後の散歩に出かけた。

紅葉と高坂君も居ないから散歩にでも行ったのかな?


海岸線を歩きテトラポッドを越え堤防に上る。

いい眺めだ。遠くに船も見える。


「本当綺麗な海だな」

「うん。静かだし素敵なところだよね」

「あぁ紹介してくれた親父にも後でお礼言っとかないとな」

「そうだね。それに紅葉だけじゃなく綾や美玖ちゃん達とも一緒に来れて、本当今日は楽しかったなぁ」

「そうだよな。こうやってみんなで出かけるのもいいよな」

「うん またみんなで遊びに行こうね。」


散歩から戻った俺達は、みんなでもう一度海に入り海水浴を楽しんだ。

ちなみに俺は、調子にのって楓と水泳勝負何てこともしたけど・・・完敗だった。昔から楓って水泳部か!ってくらい泳ぎ上手かったんだよな。


そして、日も傾きかけてきたところで今日の小旅行も終了。

着替えてホテルに居た真壁さんにお礼を伝え、再び葉川海岸駅まで送ってもらった。

潮風と波の音。暑い夏の日差し。今日の事はいい思い出になるんだろうな。


遊んで食べて泳いでと全力で楽しんだので、帰りの電車は皆爆睡でした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る