第159話 親父達の帰国
川野辺駅前。
少しずつ暖かくなり始めた3月初旬。
俺は相良さんと美香先生と3人で帰国してきた親父達を出迎えていた。
楓はあとで大樹おじさんたちと家に来ることになってる。
「よぉやっと帰ってこれたな!」
「はは ようやく帰国だよ!と言ってもこの間もお前の結婚式で会ったけどな」
握手をしながら久々?というほどでもないけど再会を喜ぶ親父達。
2人共高校時代からの親友らしいからな。
俺も裕也や福島、バスケ部のみんなといつまでもこんな感じで仲良くしたいな。
「おかえり親父」
「ただいま健吾。楓ちゃんとは仲良くしてるか?」
「あら健吾?私におかえりは無いの?」
「か 母さんもお元気そうで・・・」
まぁ最近は家の事とかで頻繁にメールや電話で話してたから、俺もそれ程久々な感じは無いんだけど、これからはまた一緒に暮らすことになるんだと思うと何だか不思議な感じだ。
「じゃ早速家に行こうか!写真や動画は見させてもらってたけど実際に来るのは初めてだからな」
「そういえばそうだったな。じゃ今日は相良不動産としても雄一に感想とか聞かせてもらわないとな。なんせうちの不動産会社の設計した物件だしな」
「じゃモニターとして色々コメント出してやるから今度酒でも奢れよ」
「おっ言うねぇ~ じゃ北里の店の焼き鳥で手を打とう!」
「もちろん私の分も含んでるんだよね?ひ・ろ・しくん」
「・・・誠子も相変わらずだな。そりゃもちろん」
何だか仲良さげに親父達は会話している。
これに五月おばさんや大樹おじさん、凛子さんとか加わると更に賑やかなんだろうな・・・
ふと横を見ると相良さんや親父達を美香先生がニコニコしながら眺めてる。
「先生どうしたんですか?」
「へ?あ、ゴメン気を抜いてた。。。いや最近洋さん仕事忙しくて辛そうにしてたから・・・楽しそうにしてくれてよかったなって」
「・・・先生って相良さんにベタぼれっすね♪」
「いや~~ だってカッコいいし優しいし・・・」
やばい。美香先生のスイッチ入っちゃったか?
その後、家に着くまで新婚夫婦の惚気話を聞かされることになってしまった。
-----------------
「おぉ外見も中々いいな。玄関周りも駐車場だけじゃなくてと小さいながらも庭がついてるし」
「うん。庭はあんまり広いと手入れ大変だしね。これ位ならお花植えるのにちょうどよさそう。それに駐車場も2台分あるのね」
と家に入る前に親父達のチェックが始まった。
自分たちの家だから気持ちはわかるけど、とりあえずは家入ろうよ。。。
そして気が済んだ親父達を案内する形で俺がカギを開けて親父達を家の中へ招き入れる。
「おぉ!!写真や動画よりいいな。日差し十分だしそれに家具が並ぶとやっぱり雰囲気が違う!」
「そうね。部屋の写真見ながらの家具選びだったから雰囲気に合うか心配だったけど良い感じね」
そう。ここ数日は親父達がアメリカの家で使っていた家具や新しく購入した家具や家電が届いていた。
衣類や食器はまだ段ボールの中だけど、家具は親父達と話して配置してもらってたんだよね。
だからソファやダイニングテーブルもあるし寝室にはベッドや寝具も用意済。
なので、とりあえずの寝泊まりは出来るはずだ。
「キッチンの高さも丁度いい位ね。食器とかは持ってきたのもあるけど収納も増えたし今度五月と買いに行こうかしら♪」
「キッチン素敵ですね~」
「ふふ でも美香さんも洋君と新居買ったんでしょ?楽しみよね」
「はい♪」
女性陣はキッチン談議に盛り上がっている。
そういえば相良さん達もこの近所に引っ越してくるんだよな。
「日用品は色々買い揃えないとな。それに車も欲しいんだよな。アメリカで使ってたのは大きいから売ってきちゃったしな。洋何処かオススメのディーラーないか?」
「ん?後輩が国道沿いで中古車販売店やってるけど行ってみるか?」
「おっマジか。是非紹介してくれ。ちょっと気になってるのあってな・・・」
こちらはこちらで家の話からいつの間にか車の話で盛り上がっている。
相良さんも車好きみたいだしな。RX-7だっけ?カッコいいよなあの車。
でも、車かぁ。俺も免許取るつもりだし・・・さりげなく親父に俺の好みも言っておこうかな。
[ピンポーン]
と話をしているとインターホンの音が。
キッチン脇のモニタに五月おばさんや楓の顔が見える。
小早川家の到着だ。
「五月~」
「誠子~」
「ついこの間振り~」
母親同士が変な再会で盛り上がってる中、大樹おじさんも親父との再会に盛り上がる・・・というかさっきの車の話に大樹おじさんも加わり別の意味で盛り上がっていた。
「ケンちゃん。ついにおじさんたちも帰ってきたね」
「あぁそうだな。元々親同士が仲良かったから俺達も知り会ったんだもんな」
「うん。これで本当に昔の小早川家と田辺家の関係に戻った感じだね」
「・・・いやちょっと違うかな」
「え?何が?」
「俺と楓はあの頃みたいにただの幼馴染じゃなくて恋人同士だろ?」
「え?あ、そそうだよね。うん。あらためて言われると今更ながらに照れるけど恋人同士だもんね」
恥ずかしがりながらもちょっと嬉しそうに微笑む楓。
やっぱり可愛いな楓は♪
「親の前だというのにイチャイチャしてるね~」
「うん。いい傾向」
「楓もこのままここに住ませてもらうか」
「健吾君。楓の事よろしくね」
「「うゎ」」
いつのまにやら親父達が俺達の会話に聞き耳を立てていた。
いや・・・親父達が聞いてるならこんな会話しないって。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます