第132話 期末試験
地区予選に敗退したということで、楽しい"冬休み"といきたいところだけどその前に期末試験がある。
それも来週早々からだ。
一応日々勉強はしているつもりだけど、このところ部活に力を入れていたため少々不安だったりもする。
当然ながらいつものあいつらも・・・
「悪いな健吾。また頼むわ!」
「お土産にクッキー持ってきたからよろしくねぇ~」
ということで、今回もまた裕也と浜野さんを招いて勉強会を開くことになった。
まぁ俺が勉強できてなかったなら勉強嫌いな裕也や浜野さんは当然の如く試験勉強をしてなく・・・早い話が泣きつかれた感じだ。
「今日は小早川は来ないのか?」
「いや、後で来るよ。今日って楓バイトなんだよ。休む予定だったらしいけど人手が少ないらしくて」
「バイトって長谷部んとこだよな。儲かってんだな~」
「駅前だしあんまり喫茶店無いからなこの辺り」
まぁバイトの人数は結構いるけど何処の学校もこの時期試験だし休む人が多かったんだろうな。楓も島田さんに頼み込まれて仕方なく手伝いにいった感じだ。
「っうことで先に勉強会始めるぞ」
「へ~い」
ということで勉強会を開始。
例の如く俺の作成した予想問題や授業をまとめたノートをもとに裕也達に説明しながら勉強を行った。
これって裕也達にすれば教えてもらえるということで勉強になるけど、教える俺としてもあらためて内容を理解するってことで勉強になるんだよね。
「これどうやって訳せばいいんだ?」
「これは、この文法に当てはめるとな・・・」
「・・・なるほど。相変わらず教えるの上手いよな健吾は」
「うん。わかりやすいよね」
そう言われると悪い気はしないよな。
と思いつつ勉強を教えていると楓が玄関から入ってきた。
「ケンちゃん来たよ~」
「おぅバイトお疲れ!先に初めてるよ。
ってどうした裕也」
なにやら裕也と浜野さんが俺と楓を見てニヤニヤしてる。
「・・・健吾さんや。小早川さんは"合い鍵"をお持ちなのかな?」
「うん。インターフォンとか鳴らさずオートロック入って来たもんね」
「うっ・・・そそれは」
「あ~あの・・・」
「「いいなぁ通い妻」」
俺も楓も何を言っていいのか・・・
それにしてもミスった・・・確かに夏祭りの後に合い鍵渡したけど、この2人の前で迂闊だった。
・・・でもまてよ?別に悪いことしてるわけじゃないし遠慮することないんだよな。うん。そうだ。
「いいだろ別に。いずれは一緒に住むわけだし」
「「「え!?」」」
『何その驚いた顔。楓まで・・・言い方間違えた?』
「あ、ああ まぁそうだよな。うん。ははは」
「うん。流石田辺君!楓ちゃんも幸せだ♪」
「いずれ一緒に・・・・・ふふふ♪」
ま まぁなんとか乗り切ったのか?
その後、楓は終始ニコニコした状態だったけど勉強はちゃんと頑張った。
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昼過ぎから勉強会を始め気が付けば18:00。
結構頑張ったな。
途中浜野さん持参のクッキーと紅茶で休憩はしたものの集中して頭を使ったせいかお腹も空いてきた。
「じゃ作ろうか!」
「よろしく~」
今日は浜野さんと楓が夕飯を作ってくれるとのこと。
楓の料理の腕もだいぶ上がったけど浜野さんの料理は別次元だからな。
ちょっと期待だ。
ということで準備ができるまで暇となる俺と裕也はテレビを見ながら雑談をしていた。
「ところで、健吾達はクリスマスどうするんだ?」
「う~ん。レストランとか考えてたんだけど、この時期何処も予約がいっぱいなんだよな。裕也達はどうするんだ?」
「まぁこの時期は何処も混んでるからな。俺達はうちで美玖の両親呼んでホームパーティだな」
「マジか。お前にしては珍しいな。てっきり浜野さんと2人きりでとか考えてるのかと思ったよ」
「うちは姉貴も居るけど美玖は1人っ子だからな。前に交通事故で美玖って大怪我しただろ?そのせいもあって親父さん達もかなり溺愛しててな。
俺が美玖を連れだしたら寂しがるだろうから去年は美玖の両親も呼んでホームパーティやったんだよ。それが結構好評で今年もってことになったんだ。
まぁその代わりクリスマス当日は2人でデートだけどな」
裕也も色々と考えてるんだな。
そういえば浜野さんの両親にも交際は認めてもらってるとか言ってたもんな。
楓も・・・い いや五月おばさんや大樹おじさんはむしろ2人でどこかいってらっしゃいとか言いそうだな・・・
だとしたらどうしようかな。市内でとか考えてたけどもう少し店を探す範囲を広めるか?でも都市部の方が予約率高いよな・・・
と裕也と話をしているといい香りがキッチンから・・・デミグラスソース?
「ゆうや~ たなべく~ん 浜野さん特製のハンバーグが出来たよ~」
「「おお!!美味しそう」」
デミグラスソースが掛かった所謂洋食屋さんのハンバーグ。
浜野さんが持ってきてくれたんだろうか?大き目のお皿に盛られたハンバーグには半熟気味の目玉焼きとアボガドがトッピングされ、横にはナスにピーマンなどの野菜が素揚げされた状態で彩を添えていた。
見た目も彩も綺麗な料理。流石浜野さんとでも言うべきか!
「「「「いただきま~す」」」」
楓がレシピを聞いて作ったオニオンスープも配膳され、いよいよ実食。
「おいしい!!デミグラスソースの香りに肉汁あふれるハンバーグ。肉の触感も歯ごたえを残しつつもふんわりしたところもあったりで最高!それに玉ねぎの甘みも味に深みを出してるよね!」
「ああ、それに半熟の目玉焼きを割いて黄身を流すと味変して更に美味しい!」
楓、裕也・・・何その食レポ。
でも冗談とかじゃなく2人が言う通り美味しい。
本当これならいつでも裕也ん家の小料理屋で働けるよな。
「でも本当 美味しいよね。浜野さん流石!
裕也も胃袋をしっかり掴まれちゃったな♪」
「・・・お おぅまぁ掴まれたのは胃袋だけじゃないけどな」
「もぅ裕也ったら恥ずかしいでしょ♪」
「けケンちゃん!私も料理頑張るからね」
楓、そんなことしなくても俺はとっくに楓に捕まえられてるから張り合わなくても大丈夫だよ♪
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