第122話 修学旅行④

茶屋街での観光を楽しんだ俺達は、バスで駅前に戻り駅中のお店で土産物を購入した。

明日のバスでも土産物屋は寄るはずだけど、駅にある売り場が一番充実していると小島先生に聞いていたからだ。

実際、話に聞いていた通り見た目も綺麗な和菓子や洋菓子等が沢山あった。

正直これだけあると何を買っていいか悩んでしまう。

浜野さんなんて"研究用"って結構な量のお菓子を買ってたけど、あれって食べきれるのか?確か浜野さんの家族って両親だけだよな。


今日宿泊するホテルは駅の目の前。

買い物を済ませた後は、そのまま歩いてホテルへ向かった。

ロビーに着くと金沢行の引率として来ている小島先生と三宅先生が生徒の到着確認をしていた。集合時間前ではあったけど俺達が最後の到着だったみたいだ。


「どう?観光楽しめた?」

「はい。お魚も新鮮でぷりぷりしてたし、和菓子も見た目が綺麗なだけじゃなく味も良くて最高でした」

「うん。美味しかったよね。金箔とかもついてたりして」

「お茶も美味しかったな。加賀棒茶だっけ?」

「それは良かったわね。私も三宅先生と和菓子食べたけど美味しかったわぁ」

「今日の夕飯もビッフェ形式だけど加賀野菜とか地元料理もあるみたいだから楽しみにね」

「「はい」」


先生と女性陣は"食"の話で盛り上がってる。

一応美術館や歴史資料館的なところも行ったんだけどなぁ~


その後、小島先生から指示を受け割りあてられた部屋に移動した。

今日の部屋は洋室ツインルームだ。人数の都合もあり部屋割りはグループやクラスに関係なく行われたんだけど俺は裕也と相部屋になった。極力知り合いを同じ部屋にしてくれてたみたいだな。


先生に聞いていた通り夕飯は地元の郷土料理なども含まれたビッフェ形式の食事。豪華にカニや寿司まで取れるようになっていた。

ビッフェとは言ってもお昼に食べたお寿司に勝るとも劣らない中々美味しい料理ばかりで正直食べ過ぎた。。。

日課のランニングもしてないし帰宅後は体重計に乗るのが怖いかも。


そんな夕飯の後は基本的に自由時間。

俺が部屋のベッドに寝ころんでくつろいでいると外出していた裕也が戻ってきた。


「なぁ健吾。部屋割り変えないか?」

「ん?変えるって誰と?」

「お前と美玖を入れ替える」

「って女子と?大丈夫なのか?」

「今回は職員も少ないし見回りも無い。

 それに美玖は吉見 妹と同室だけど、あいつらともさっき話して付き合ってる同士で同部屋に出来そうなんだ。健吾も小早川と同室になれるし悪くない話だろ」

「・・・もちろん♪」


ということで部屋割りを変えたわけだけどホテルの近辺は夜に外出するような場所もなく、金沢の夜は皆部屋で静かに過ごす形となった。まぁだからこそカップル相部屋は良かったのかも。

まぁお酒でも飲めれば美味しいお酒の飲める店とかもあったんだろうけどなぁ~


「京都も良かったけど金沢も雰囲気良かったよね」

「そうだな。今回は市内を回っただけだけど、行けなかったところも結構あったし、能登方面とかも色々あるみたいなんだよな。また来てみたいよな」

「そうだね。何だか一緒に行きたいところが増えてきちゃうよね」

「だな。バイト頑張らないと」

「うん。私も頑張るよ!」


裕也達のことはわからないけど、俺と楓は遅くまで語り合った後、お互いを慈しむように1つのベッドで抱き合いながら寝た。

ここ数日、楓と抱き合ったりしてなかったこともあり何だか癒された。


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そして、翌朝。

昨晩同様のレストランにて楓と朝食をとっていると少しげっそりした由良とニコニコ顔の吉見 妹と出会った。まぁ仲が良いのは良いことだ。ということで深くは追及しないでおこう。


その後、ホテルロビーに集まり、小島先生から今日の予定を聞いた。


「はい注目!じゃ今日は最終日になるけど、この後はバスで福井の東尋坊に行って見学をした後、昼食をとります。

 その後は京都方面に戻って二条城を見学したのち京都駅で他の班と合流し高校に戻ります。あんまりスケジュールに余裕はないから集合時間だけは気を付けるようにね」

「「は~い」」


バスに再び乗り込み約1時間半ほど北陸道を南下。

サスペンスドラマでおなじみの東尋坊に到着した。


「うわぁ凄い崖だね」

「ここで犯人が告白するんだよね」

「高くで足が竦む・・・」


などなど話しをしたり、記念写真を撮ったりしながら崖を見学をした後は、入江を周る遊覧船に皆で乗った。

史跡の説明などを受けつつ海上から見上げる険しい岩壁は、崖の上からの景色とはまた異なり中々の迫力。

天気も良く波も穏やかだったため気持ちのいい遊覧となった。

遊覧船乗り場からもとに岩場に戻ると楓が写真を撮ろうと声を掛けてきた。


「ねぇ記念写真みんなで撮ろ!」

「おっいいね」

「三宅先生!写真お願いできますか?」

「ん?いいよ。じゃみんな並んで」


と近くに居た三宅先生にスマホを渡しグループ写真を撮ってもらった。

俺と楓、福島に村田さん、裕也と浜野さん。このメンバーでの修学旅行もあと少しだな。

土産物屋内の食事処で海鮮丼をメインとした昼食を食べた後は再びバスに乗り京都へ。琵琶湖を眺めながら北陸道を更に南下して滋賀県を経由し京都府へ。


最後の見学場所となる二条城に到着。

他の地区に行っていた班も一部到着しているようで二条城をバックに結城と渋川さん達のグループが記念写真を撮っているのが見えた。


「よう結城!」

「おっ金沢班も到着か。どうだった金沢」

「とりあえず魚やお菓子が美味しかったぞ。結城達は大阪だよな?」

「ああ、U○J行ってきたぜ!後は海遊館も行ったし短い時間の割には結構堪能できたかな」

「そっかU○Jも捨てがたかったんだよな。後でまた話聞かせてくれよ」

「おぅ!」


その後城内を見学し京都駅へ。

既に他の班は到着してたので俺達の到着後すぐに新幹線ホームに移動となった。

皆疲れたのか帰りの新幹線は寝ている生徒が多かった。

俺の横に座る楓も気持ちよさそうに眠っている。


「また来ような楓」

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