第30話 おうちデート①

今日は勉強会という名のおうちデート。

しかも、料理が苦手と言っていた楓がお昼ご飯を作ってくれるという。

味よりも何よりも俺のために頑張って料理を作ってくれるってだけで幸せな気分だ。

ということで、一緒に食材を買うため、今日は商店街の入り口で待ち合わせだ。


「お待たせ」

「あ・・・(やべ その白ワンピって反則だろ)」

「ん?」

「い いつもにも増して 可愛いな楓」

「え? ケ ケンちゃん 真顔でしょんなこと言わないでよ。照れるよ・・・」


と耳まで赤くして俯く楓。その素振りも毎度のことながら可愛い。

いやでも冗談抜きで似合ってる。

楓は背も高くてスタイルも良いから白ワンピ着ると清楚な感じというか清涼感があるというか・・・とにかく良いのです!

何だかこのまま楓を見てるだけで時間が潰せそうだけど、そうもいかないので、


「え~と とりあえず食材買いに行こうか?」

「う うん。」


とまだ俯いたまま俺に手を繋いでくる楓。

やばいぞ。今日の楓は可愛すぎて死にそうなんだけど。


--------------

お昼ご飯は楓が作ってくれるということで買い物は楓にお任せ。

まずは商店街の入り口近くにあるお肉屋さん。


「お、楓ちゃん 。今日は何か 買い物してくれるのかな?」


と肉屋のおじさん


「うん 最近料理に目覚めてね」

「ほう それってやっぱり横のイケメン兄さんに美味しい料理を作ってあげたくてってやつかい」


と俺に視線をおくる肉屋のおじさん。


「もう その通りだけどからかわないでよ~」


とちょっと照れてる楓。仲良さげである。


「ところで、おじさん覚えてない? 小さい頃に私とコロッケとかよく買いに来てた田辺健吾君だよ?」

「ん?田辺って、もしかして雄一のところの健吾君か?

 転勤でどっか引っ越したんじゃなかったのか?」

「はい。両親はまだ転勤先ですが、僕だけ先に戻ったんです」

「ほぉ~。確かに健吾君と言われれば健吾君に見えてきたよ。確かに昔は楓ちゃんによく連れまわされてたもんな。それにしてもカッコよくなったな健吾君も。

 楓ちゃんも美人さんになったしお似合いだよ。」

「またまた おじさん美人とか・・・」

「よし じゃ今日は2人に免じて少しおまけしとくからな」

「本当!ありがとおじさん」


本当こういうノリは商店街ならではだね。

楓も学校とは随分雰囲気が違うけど俺が知ってた楓もこんな感じだ。

多分学校では優等生なキャラを作ってるところもあるのかな。


そして、同じく顔なじみの八百屋で買い物をし野菜をおまけしてもらった後、最近出来た大手のドラックストアでお菓子やドリンク等を購入。

あ、もちろん荷物持ちは俺ですよ。


そして帰宅。

お昼までにはまだ時間もあるし、勉強は午後からということで、二人でゲームをしてくつろいだ。

楓はゲームとかあまりやったことないとか言ってたけど、やり方教えたらすぐに覚えて俺より上手くなった・・・

ちょっと悔しい気もしたけど、でもまぁ楽しそうにしてくれたし俺も嬉しいかな。


「あ、そろそろお昼ご飯作るね」

「もうお昼か。じゃお願いな」

「任せなさい!」


と家から持ってきた自前のエプロンを着け調理開始。

包丁さばきが少々危なっかしくも見えたけど、肉と野菜を細切れにして手早く炒めるなど中々手際は良い。

俺のために頑張ってくれたとか思うとちょっと感動してしまう。

そして、彼女が自分の家でエプロン着て料理作ってくれるとかって、どこぞのラノベで読んだ高校生男子憧れの通い妻的なシチュエーション!

正直もうこれだけで満足な気分だ。

そんな楓をニヤニヤしながら眺めていると、


「ケンちゃん出来たよ~」


と綺麗にトロトロ卵が掛かったオムライスが登場。


「おぉ!美味しそう!」

「へへぇ~ 中々綺麗に出来たでしょ」

「うん。じゃ早速」

と卵を崩しチキンライスと一緒に頂く。


「うん。美味しい! いい味付けだね」

「本当!嬉しい!

 最近はケンちゃんに美味しいお弁当作ってもらっちゃってたし何か私も作ってあげたかったんだよね。

 でも美味しいとか言ってもらえるとやっぱり嬉しいね」


と笑顔で俺を見つめてくる楓


「・・・・・・」

「どうしたの?」

「ん?な なんでもないよ」


やばい。今の笑顔可愛すぎる・・・

写真撮りて~

何だ今日の楓は、俺をキュン死させる気で攻めてるのか?


「あ、そうだケンちゃん

 ちょっと やってみたかったことあったんだけどいいかな?」

「ん?何を」


と楓は自分のオムライスをスプーンにとり俺の口元に持ってきた。


「えと・・・あ~ん」


耳まで真っ赤にしながら『食べて!』と目線を送る楓。

うん。そうか俺今日やっぱり死ぬのか・・・・


と思いながら差し出されたオムライスを口にした。

多分、俺も顔は真っ赤だったと思う。

これって[あ~ん]も恥ずかしいけど、間接キスってやつでもあるよな。


「あ ありがと。彼氏が出来たらこういうのやってみたかったんだよね」

「可愛い・・・」

「え?」

「今日の楓、可愛すぎるぞ~」


思わず叫んでしまったが、楓もストレートな可愛い宣言に何やら俯いて口元を緩めている。

何だろ理性とか清い交際とかすっ飛ばして嫁さんにもらいたい気分だよもう!

午後は、真面目に勉強するつもりだったけど大丈夫か俺達・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る