第31話 おうちデート②
昼ご飯を食べた後、俺達は2人でソファに座っていた。
2人とも食事の[あ~ん]とかでテンションが上がりすぎたので、ちょっとクールダウンしているところだ。
楓も俺もまだ少し顔が赤く無言状態。
俺もまだ心拍数高め。落ち着け俺。
と、楓が話しかけてきた。
「あ あのさ、この間紅葉と約束してたよね」
「ん?模試の結果が良かったらご褒美ってやつ?」
「うん。私も今度の模試で前回より成績が良かったらご褒美いいかな?」
「いいけど、楓って成績良いんだろ?」
「1年の時は学年で10位以内には入れてたかな」
「凄いな。そんなに成績良かったんだ。でも逆にその順位だと上を目指すの大変なんじゃないか?俺に出来るレベルならご褒美と言わず構わないよ?」
まぁ無茶なお願いじゃなければ出来るだけかなえてあげたいしね。
でも、何だろうあらたまって。
「・・・・旅行」
「ん?」
「ケンちゃんと一緒に2人きりで泊りの旅行に行きたい」
「と 泊り・・・」
「ダメ かな・・・」
『ダメかな』とか言いつつ潤んだ目で俺の顔を覗きこんでくるとか・・・
楓・・・本当に今日は俺を殺す気なのか・・・色々ヤバいぞ俺。
「ダ ダメなわけないだろ。楓と旅行なら俺も行きたいしご褒美とか関係なく考えとくよ」
「ほ 本当!約束だからね。」
「あぁ。お互い部活とかもあるから日程は考えなきゃだけど行こうな!」
「うん! あっ だけど模試は頑張らないと駄目だよ。成績落ちたらお母さんも旅行とか絶対許してくれないだろうから」
「もちろん!俺も模試は頑張るよ。久々にどっちが上位になるか勝負だな!」
「うん。負けないよ!」
ということで、俺の心拍数はまだまだ高めだけど、何となく勉強する流れにはなってきたので、リビングのテーブルに教科書とノートを広げ当初の目的だった勉強会スタート。
それにしても楓と旅行か~ 考えただけでも楽しみだ。
「ねぇケンちゃん この英文だけど・・・・」
・・・・
「楓 この問題わかる?」
・・・・
ちゃんと真面目に勉強しましたよ。
楓は勉強が出来るとは聞いていたけど納得というか教え方も上手かった。
授業の内容をきちんと理解している証拠だよな。
俺も得意な英語や数学は少し教えたけど、全体的に見ると俺が聞いてた時間の方が長かった気がする。俺ももっと頑張らないとな。
集中していたのか時間はあっという間に過ぎてもう夕方。
ちょっとお腹も空いてきた。
「楓 お腹とか空かない?」
「う~ん ちょっと空いたかな」
「昨日の残りで鯵の南蛮漬があるんだけど食べない?」
「ん?どういう料理?」
「小鯵を揚げて、玉ねぎと一緒に酢と醤油で和えた料理。
父さんが好きだったから母さんがよく作ってくれてたんだよね」
「へぇ食べたことないかも」
「じゃぁ ちょっと休憩がてら軽く食事しようか」
とご飯と料理を器に盛り、簡単に味噌汁を作った。
「へぇ何だか美味しそう いただきま~す」
と鯵を箸にとり一口。
「どうかな?」
「うん。美味しい。酢が利いてて結構好きな味かも」
「それは良かった。出来立ても鯵がカラッと揚がってて美味しいんだぜ」
「今度、作り方教えてね田辺家の味。ケンちゃんも好きな料理なんでしょ?」
「あぁもちろん」
「ふぅ美味しかった」
食事を終えて、二人でソファに座りテレビをつける。
勉強はもうひと頑張りする予定だけど、もうちょっと休憩だ。
何かのドラマかな?若手の俳優さんと女優さんが言い争いをしてる。
「あ、このドラマ最近人気なんだよ。小さい頃に離れ離れになった幼馴染が大学で偶然再会して恋に落ちるって話し」
「へぇ ドラマとか最近見てなかったからな~」
「今のところ全話録画してあるから今度一緒に見ようよ」
「お、そりゃ楽しみだ」
しかし、幼馴染の恋愛ものか。
よく幼馴染の恋愛は成就しないとか言うけど、そういうのじゃないよな?
もしそうなら見てて気まずいぞ・・・と思っていたらドラマが急展開。
言い争いをしていた二人が急に抱き合ってキスをした。
『ん?ぼーっと見てたけどういう展開だ?』
結構濃厚なキスシーンで、横を見ると楓も顔を少し赤らめていた。
可愛い・・・俺は自然と楓の肩に手を回した。
「ケンちゃん?」
少し潤んだ目で俺を見上げる楓。
「ん!」
俺はその可愛い唇にキスをした。
「好きだよ楓」
「い いきなりはズルいよ」
とちょっと拗ねた口調でつぶやく。
顔は更に赤くなってる。多分俺も真っ赤なんだろな。
唇が触れるくらいのキス
ドラマの中ではまだ主人公たちは抱き合っているけど、恋愛初心者な今の俺達は多分これくらいがちょうどいい気がする。
その後、勉強会っていう雰囲気でも無くなっちゃったんで楓を家まで送り今日の勉強会とおうちデートは終了した。
2人の関係もちょっと前進したのかな。
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-帰宅後の楓さん-
『キャーーどうしよ ケンちゃんとキスしちゃった!!』
紅葉に言われて色々と積極的にアピールしてみた甲斐があったのかな。
[あ~ん]とか思い出すといろいろ恥ずかしいけど頑張った私!
『好きだよ楓』とか言ってもらっちゃったし。
「私も好きだよケンちゃん」
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