第118話 誕生日の後に --楓視点--
誕生日をみんなでお祝いした翌日。
秋晴れが気持ち良い日曜日の昼下がり。
ここは私の家。小早川家のリビングだ。
今日はお父さんとお母さんは用事があるとかで朝からお出かけ。
家には私と紅葉だけだ。
「指輪かぁ~ ふふふぅ~」
私はリビングのソファに寝ころびながら、昨日ケンちゃんにもらった木箱を眺めつぶやいた。
「お姉ちゃん笑い方怖いよ・・・・って
またケン兄ちゃんからのプレゼント見てるの?」
「うん。だって指輪くれるとか言ってくれたんだよ。
ある意味プロポーズみたいなもんじゃない」
「まぁ確かにケン兄ちゃんも思い切ったよね。
やっぱりそういうところはカッコいいね」
「だよね。カッコいいよね。私には勿体ないくらいだよ。
うぅ~学校の先生にもなりたいけど、早くケンちゃんのお嫁さんにもなりたいなぁ~」
「はいはい。ごちそうさまです」
昨日プレゼントとしてジュエリーボックスを貰った時は普通にプレゼントを貰って嬉しいって気持ちだけだったけど・・・
でも指輪もくれるって言ってくれたし今日になって『え?これってもしかしてプロポーズ?』とか思い始めて・・・・何だか自然と笑みがこぼれてくるというかなんというか、じわじわと嬉しさがこみあげてきた。
「ケンちゃんのお嫁さん。この間の写真みたいにウエディングドレス着て・・・ふふふふふ」
「だからお姉ちゃん怖いって。。。。
そういえばさぁ お姉ちゃんはケン兄ちゃんに誕生日プレゼントって渡したの?」
「え?」
「ほら、先週何買うかって凄く悩んでたじゃない。
ケン兄ちゃん帰り手ぶらみたいだったから」
「・・・・ケンちゃんのプレゼントが嬉しすぎて渡すの忘れてた」
「お姉ちゃん・・・・・色々と残念だよ」
「せっかく買ったんだから渡さなきゃ!ケンちゃん家に居るかな」
私はケンちゃんにラインでメッセージを送った。
[こんにちわ。昨日はお疲れ様。今家にいる?]
[よ。楓こそ昨日はありがとな。家にいるよ]
[ちょっと行ってもいいかな? 昨日プレゼント渡すの忘れてた]
[え、プレゼントあるのか?昨日のデートがプレゼントかと思ってた]
[ちゃんとあるよ♪ ケンちゃんにもらったプレゼントが嬉しすぎて忘れてました・・・]
[喜んでもらえて嬉しいよ]
[うん。じゃ今から支度して行くね]
[あぁ待ってるよ]
よし。支度しよ。
流石にこのカッコじゃね。。。
今の私はパジャマ代わりのスウェット上下に当然のことながらすっぴん。
付き合い始めた頃は、お化粧とかほとんどしたこと無かったけど、最近早瀬さんにお化粧を教わったおかげで自分でも出来る様になってきた。ファッションも今までは無頓着なところもあったけど、色々と勉強しているつもりだ。
やっぱり大好きなケンちゃんには綺麗とか可愛いとか言ってもらいたいからね。
「ちょっと支度してケンちゃんの家行ってくるね」
「うん。夕飯は食べてくる?」
「多分ケンちゃんと一緒に食べるかな」
「いいですなぁ~。お母さんにも言っとくね」
「よろしく~」
部屋に戻った私は、まだまだ少ない化粧品でナチュラルな感じのメイクをして、クローゼットから最近買ったお気に入りのスカートとブラウスに着替えた。
昔はパンツ系の動きやすい服を着ることが多かったけど、最近はスカートが増えたかな。
あ、もちろん彼氏の家に行くという事で・・・下着もお気に入りのに着替えましたよ。
支度を終えた私は、今度こそ忘れないようにとプレゼントを入れた袋を持ちケンちゃんの家に向かった。
歩いて数分の行き慣れた場所なんだけど、一人暮らしの彼氏の家に行くと思うと何だか今でもドキドキする。
ケンちゃんの住むマンションに着いて、オートロックの玄関で部屋番号を呼び出す。
「早かったね。今開けるよ」
インターホン越しのケンちゃんの声。
マンションの自動ドアが開く。
「いらっしゃい」
「う うん。お邪魔します」
部屋に着くと愛しのケンちゃんが優しく出迎えてくれた。
何だろう。昨日の今日だからかな。いつもカッコいいケンちゃんが今日はいつも以上にカッコよく見える。
「ん?どうかしたか?」
「ケンちゃん大好き」
「へ? あぁ俺も大好きだよ楓。紅茶でいいか?」
「うん。紅茶でいいよ。大好きケンちゃん」
「え?あぁ どうかしたのか楓?」
「うん、何でもない。気にしなくていいよ。
ただね何だか私の中でケンちゃんの大好き度がMAX状態で止められないの」
「あ あぁそうか・・・・それはありがとな」(だ 大丈夫なのか楓は・・・)
「あ、そうだ。昨日渡そうと持ってたんだけど、これプレゼント」
「おっ ありがとうな。開けてもいいか?」
「もちろん♪」
プレゼントのラッピングをはがすケンちゃん。
喜んでくれるといいな。
「おっ時計か。カッコいいじゃん」
「でしょ。実はね。。。私のとお揃いなんだ」
そう。いわゆるペアウォッチなのです。
「何だか照れるけどありがとな楓。大切に使わせてもらうよ」
「うん!」
嬉しそうに時計を見ているケンちゃん。
喜んでくれてよかったな。
「ケンちゃん・・・・・大好き」
「俺もだよ楓」
その後はベッドの上で2人きりの甘~い誕生日を満喫しました。
結構遅い時間の帰宅になっちゃったけど、ちゃんとケンちゃんが送ってくれた。
やっぱりケンちゃんはカッコよくて優しい私の王子様だね。
『好きだよケンちゃん』
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