第119話 修学旅行①

楽しかった楓と俺の誕生日も終わり、少しずつ冬の足音を感じ始めた11月の最終週。俺と楓は東海道新幹線の中に居た。


「やっぱり新幹線は乗り心地いいなぁ」

「そうだね♪」


そう。今俺達は京都に向かっている。所謂修学旅行というやつだ。

川野辺から電車を乗り継ぎ、新横浜から新幹線で京都まで2時間弱。あっという間だ。


初日である今日は全クラスで京都を観光し、そのままホテルに宿泊。

2日目は事前に決めたグループごとに別れ関西・北陸地区を周って指定されたホテルに宿泊。

そして最終日の3日目はホテルからのバスでその地域の観光スポットを周りスタート地点の京都に戻って全クラス合流してから川野辺に戻るというスケジュールだ。まぁグループごとで自由にと言いつつも宿泊先は限定されてるし、引率の先生も居るので、行先はある程度絞られてしまうんだけどな。


ちなみに俺は楓と裕也、浜野さん、村田さんそれに福島の6人でグループを組んで石川県の金沢方面に行くことになっている。

確かD組の由良達も同じコースだって言ってたかな。

何気に金沢は行ったことないし凄く楽しみにしていたりもする。


「よ~し A組全員居るな!とりあえず今日1日はクラス単位で京都観光だ。見学に行く史跡については後でレポート書いてもらうことになるから遊んでないでちゃんと見ておくように!」

「ええ~レポート書くんですかぁ~」

「ごちゃごちゃ言わない!これも授業の一環だぞ」


京都駅の団体客向けのスペースにて担任の田中先生から今日の大まかな説明があった後、俺達は市内観光用のバスに乗り込み見学地へと向かった。

ちなみに見学スポットは、理系女子なのに歴女でもある山口先生が決めたらしい。田中先生曰く行先は半分山口先生の趣味だとか・・・


バスが動き出すと小島先生がマイクを持って今日の見学コースを説明してくれた。


「はい。じゃ今日の見学コース説明するよ!行くのは定番なところばかりになるけど、まずは清水寺に行きます。見学の後お昼を頂いて、午後は天授庵、南禅寺、永観堂からの銀閣、金閣と周ります。最後に渡月橋を通って宿泊先となるホテルに入ります。

 ホテルに着いてからは直ぐ夕食だけど、その後は自由時間となります。あんまり遅くならなければ近くを散策しても構いません」

「「おお!!」」

「ただ結構スケジュールが詰まってるので、集合時間は厳守ね。わかった?」

「「は~い」」

「毎回返事だけは良いけど・・・あんまり羽目を外さないようにね」


などとバスガイドさん的な先生の話を聞いているうちに清水寺に到着。

思った以上に近いんだな・・・


バスを降りた俺達は、クラスごとにガイドさんの後をついて見学をして回った。


「ここって中学の修学旅行でも来たよね」

「そうだな何となくだけど覚えてる」

「私はこういうお寺とかの雰囲気好きだから何度来ても楽しめるかな」

と川野中卒業の村田さん、裕也、楓。

中学の修学旅行も京都だったんだな。


「私たちは奈良方面だったなぁ。大仏とか見てきたよ」

と川北中卒業の浜野さん。

川野と川北って旅行先違うんだ。


「ケンちゃんは来たことある?」

「俺か?修学旅行で来たのは初めてだけど、前に大阪に住んでたからな。その時に友達と日帰り旅行で来たよ」


まぁ大阪と京都は近いからな。

って何だか楓の様子が・・・


「・・・・ケンちゃん。友達ってもしかして女の子とかじゃないよね?」

「ふぇ?しょ 小学生の時の話だぞ。そ それに女の子も居たけど男友達含めたグループで遊びに行っただけだし」(やべ女の子とか言わなきゃよかった)

「で でもケンちゃんカッコいいから、絶対その女の子ケンちゃんの事狙ってたと思う」

「そんな事ないさ・・・ただの友達で連絡先とかも知らないし」

「でも・・・・」


「それくらいにしとけよ小早川。って意外とやきもち焼きだな。

 あんまりしつこいと健吾に嫌われるぞw」

「うぅ~」

「いいじゃない。今は楓ちゃんが田辺君の1番なんだから」

「私がいちばん・・・・そ そうだよね!」


ありがと助かった裕也!それに浜野さんナイスフォローだ。

にしても楓って俺が絡むと結構ポンコツになるよな。


そんな感じで清水寺とは全く関係ない話をしながらも数々の史跡を見学して回った。西門、三重塔、随求堂で胎内めぐりをして本堂、奥の院と中々に見ごたえがある。

それにしても観光名所というだけあって平日にもかかわらず多くの人で賑わっている。

ただ、寺社仏閣独特の雰囲気というか空気って何だか心地よいな。


一通りの見学が終わったところで、俺達は土産物店などが並ぶ一角にある食堂に向かった。今日はここで昼食となる。


「わぁ美味しそう!」

「うん。早速写真撮らないと!」


席に着いた俺達の前に出されたのは、見た目も綺麗な京会席のお弁当。

楓が早く食べたそうにしている横で、浜野さんはスマホで写真を撮りながら材料等を分析している。


「うん。見た目通り美味しいねこれ。裕也お店で出せないかなこういうの」

「う~ん。美玖なら作れそうだけどコスパ悪くないかな?」

「そうかぁ 見た目が綺麗だし女子受け良さそうなんだけどなぁ」


もう浜野さんって小料理屋の若女将的な感じだよな。

裕也との息もぴったりだし。

などと生暖かい視線を2人に向けていると


「ケンちゃん!この前菜美味しい」

「そうね。天ぷらもカラッとしてて」


楓と村田さんは会席弁当を満足げに食べていた。

こっちは食い気優先だなw

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