第152話 バレンタインで~ --楓視点--
「これでいいかな」
「うん」
明日はバレンタインデー。
私は紅葉と一緒に手作りチョコにチャレンジしていた。
そう。去年までは綾や美玖ちゃんがチョコを送るのを眺めているだけだったけど今年は私もプレゼントする"大切な人"が居るんだ。
というか去年までは、何故か女の子から私がチョコをプレゼントされていた。
チョコレートは好きだしそれはそれで嬉しかったけど、今年は色々なチョコを食べた経験を活かしてケンちゃんに特製チョコを贈るんだ!
ということを熱く紅葉に語っていたら"私も優君にプレゼントする!”と話に乗ってきてくれた。
ちなみに紅葉は毎年"義理"と言うことで高坂君含むグループの男の子たちに既製品のチョコをプレゼントしていたみたいだけど特定の相手に渡すのは初との事だ。
昨日の夜は2人でネットで手作りチョコのレシピを調べ、今日は学校帰りに姉妹で買い出し。素材となるチョコや箱、それにラッピング用のリボンなどなど買ってきた。
この時期はどこの店も特設コーナーを設けているので品揃えは豊富。
今まで遠めに眺めてただけだったけど、こういうのって選ぶの凄く楽しい。
そして帰宅して夕飯を食べた後、調理に取り掛かり今に至る感じなのだ。
ちなみに私達が作ったのは、定番のトリュフとガトーショコラ。
初めての割にはラッピング含め上手くできたと思う。
試食(と言いつつ結構食べたけど)もしたけど中々の出来栄えだった。
明日は土曜日で学校は休み。それに部活もバイトも無い。
今から渡しに行くのが楽しみだ。
『ケンちゃん喜んでくれるかな♡』
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そして翌日のバレンタインデー当日。
「じゃ紅葉。健闘を祈る!」
「お姉ちゃんこそ!」
私と紅葉は手作りのチョコを持ち、それぞれの相手のもとへと向かった。
紅葉は高坂君と駅前で待ち合わせて川野辺公園でデートだそうだ。
何だか、最近は毎週末デートに行ってるみたいだけど本当仲いいよね。
そんなことを思いながら私はケンちゃんの家に向かっていた。
私達ももちろんデートに行ったりはしているけど最近はケンちゃんの家でのんびりしていることも多い。
私の手料理を食べてもらったり、一緒に料理したり、DVD見たり、ゲームしたり、試験前には勉強もしたりと何だか何をしていても2人だと楽しいんだよね。
そして、いつもの様にケンちゃんの家のインターフォンを押すとケンちゃんがドアを開け出迎えてくれる。
実は合い鍵も貰ってたりするんだけど、出迎えてくれるのが何だか嬉しくて毎回インターフォンを押しちゃうんだよね♪
「楓・・・その今日は・・・」
ふふふ。期待してるなケンちゃん。
いつもと違い少し照れた感じで私に声を掛けてきたケンちゃん。
何だかちょっと可愛いかも。
「これ。バレンタインデーだから。その・・・手作りなんだからね♪」
「 ありがとう!手作りかぁ~ 何だか嬉しいな」
「そんなに嬉しい?」
「当たり前だろ。義理チョコ貰うのと彼女から貰えうのとじゃ全然違うよ」
「そっか。でもそう言ってもらえると嬉しいかな♡」
トリュフとガトーショコラ。
その後、2人で借りてきたDVDの映画を見ながら美味しく食べました。
ちょっと大人なビターな感じの味にしていたけどケンちゃんは気に入ってくれたみたい。
何度も"美味しい"って言ってくれた。
やっぱり頑張って作っただけに美味しいって言ってもらえると嬉しいね。
そして、2人で甘い時間を過ごし夕方に帰宅。
ちなみにお母さんにケンちゃんの家に行くことを告げると毎回"今日はお泊り?"とか聞かれるんだけど、年頃の娘に外泊を勧める母親って・・・。
家に帰ると既に紅葉も帰宅していて、私を見るなり嬉しそうに話しかけてきた。
「お姉ちゃんおかえり!優君凄く喜んでくれたよ」
「本当!よかったね。私の方もケンちゃん美味しい言ってくれたよ」
紅葉の方も上手くいったみたいね。
遅くまで頑張った甲斐があったかな。
「あらあら。2人共良かったわね。チョコ作り頑張ってたもんね。
ところで・・・私もお父さんにプレゼントするのにトリュフ作ってみたんだけど2人も食べてみる?チョコ好きでしょ」
「うん!もちろん食べる!お母さんのトリュフ美味しいもんね」
そう。うちで一番の料理上手はお母さん。
バレンタインデーになると毎年お母さんも手作りトリュフを作ってお父さんにプレゼントしてるんだよね。
これが、また凄く美味しくて。甘さ加減とか絶品!
何でも大学時代に初めて手作りトリュフを贈った時にお父さんが"美味しい"って言ってくれたのが嬉しくて毎年トリュフ贈っているんだとか。
私や紅葉とは年期が違います!
でも幾つになっても本当うちの両親は仲が良くて・・・理想の夫婦だなぁ~。
私も・・・いつかはケンちゃんとお母さん達みたいな夫婦になれるといいな♡
土曜日だというのに仕事だったお父さんも帰宅後チョコを美味しそうに食べてました。確かにあの父さんの顔を見たら毎年作りたくなっちゃうかもですね。
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