アフターストーリー25 よろしくね!!
「じゃぁ引っ越しの手伝いありがとな」
「おぅ 梶も元気でな」
「いや元気でなって田辺。4月からまた大学一緒だしさ。よろしく頼むぜ!」
「はは そうだな♪」
今日、うちのアパートに住んでいた梶が引っ越していった。
てっきり俺達と同じ川野辺大学だからこのまま通うんだろうと思ってたんだけど大学進学とは別で横川に本拠地を置くサッカーのクラブチームからスカウトされたらしく、大学に通いながら練習に参加するらしい。
確かにあいつはサッカー部の中でもずば抜けて上手かったからな。
で、練習に便利だからということもありクラブチームの寮に引っ越すことになったんだ。横川にあるグラウンドの近くらしいけど寮の近くからも川野辺大学に向かうバスもあるらしいし通学も困らないらしい。
ちなみに出ていく前に"その内価値が出るはずだ"ってサインを渡されたけど・・・あいつ字下手だな。
プロ目指すとか大変だろうけど・・・まぁ健闘を祈るってところだな。
「行っちゃったね梶君」
「だな。でも大学に行けばまた会うだろうし、お別れって感じでもないだろ?」
「そうだね♪あ、それで空いた部屋って・・・来るんだよねあの子が」
「あぁ・・・俺苦手なんだよなあいつ」
そう。梶が引っ越すことで空室となる部屋には既に次の入居人が決まっていた。
春から川野辺大学に通い俺達と同級生になる俺と楓もよく知っている人物。
名前は田辺 露。俺の従姉妹で雫姉の妹だ。
伯父さん的には都内の女子大に自宅から通わせたかったらしいんだけど雫姉が通う川野辺大学が良いと言われて根負けしたとか。
更に1人暮らしも反対していたらしいけど、うちのアパートに入居するということで伯父さんも渋々許可を出したらしい。
あいつって普段は大人しいのに結構頑固というか押しが強いところあったからな。
小さい頃は身体が弱くて雫姉ほど川野辺の俺んちに遊びには来なかったけど何度か一緒に遊んだこともある。
まぁ雫姉の真逆で大人しい物静かな印象な子なんだけど雫姉が大好き過ぎて俺や楓が雫姉と一緒に遊んだりしているとよく癇癪起こして・・・俺も目の敵にされてた。ということで俺は何となく苦手だ。
まぁ俺も引っ越してからは会ってないし、小学校を卒業するころには体調も良くなって今では普通に生活を送ってるとは聞いてるけど色々と不安はある。
「楓は俺が引っ越した後、露と会ったことあるのか?」
「う~ん。小5の時に1回だけ雫姉と一緒にお母さんのところに遊びに来たんだよね。それくらいかな。
あの頃は体調もずいぶんよくなってて綾と3人で買い物行ったりゲームしたりして遊んだんだったかな」
「小5っていうと楓も7、8年くらいは会ってないのか」
「そうだね。雫姉からは"超美少女になったよ"とかこの間聞いたけど・・・・ケンちゃん浮気しちゃ駄目だからね!」
確かに女の子は7、8年も会ってなきゃ代わるからなぁ。
楓も凄く印象変わってたし♪
それに俺も従姉妹とかいっても地方や海外に居たから全然会ってなかったもんな。
多分、街中で会っても言われなきゃわからないだろうし。
まぁだとしても・・・
「大丈夫だよ。俺は楓が一番だからさ。それに何故かあいつには嫌われてたし」
「う~ん・・・本当にケンちゃんの事を嫌ってたなのかなぁ~」
「だと思うけどな俺は」
そうそう。嫌われてたし絶対に浮気とか無いから。
俺の中ではいつも楓が一番なんだから。
「そんなこと無いんだけどなぁ~」
「「ん?」」
突然の声に後ろを振り向くと大きなキャリーバックを持った長い黒髪の女性が俺と楓をじっと見つめていた。
「久しぶり。7年ぶりかな?健君、楓ちゃん♪」
「「もしかして露!?」」
「そうだよ。今日からよろしくね!! 2人共♪」
to be continued 「 恋人たちの四重奏」
*****************
あとがき
ここまでお読みいただきありがとうございました。
短めですが続編となる大学編「恋人たちの四重奏」へ向けてのお話です。
一昨年後半から始めた本作ですが、今回でアフターストーリー含め完結となります。
1人の高校生の日常を追う形で書いたこともあり盛り上がりに欠ける部分や文書表現が足りないところも多かったかとは思いますが、私としては初の長編で自身でも楽しく書くことが出来ました。
特に初期の頃は毎日投稿したりと結構無茶してたと思います(あの頃は結構仕事も余裕があって時間が作りやすかったんですが・・・)
続編についてはここまで長い話にはならないと思いますが「あなたの事が好きになったのかもしれません」で大学卒業後の未来の姿を何度か登場させているのでそこに至るまでの話として書く予定です(今週末か来週末にはアップしたい)
健吾や楓、和志と由紀の4人、新キャラの露やその姉の雫も引き続きよろしくお願いします(2021/3/3)
7年目の約束 ひろきち @hiro_1974
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