第61話 小島先生
今日は平日木曜日。
そして今は朝のショートホームルーム。
いつもなら担任の田中先生が来るところだけど、今日は副担任の小島先生が教室に入ってきた。
「今日は田中先生は研修で1日居ないからホームルームは私が担当するからね。
何か質問とかあるか? 田中先生向けでも構わないよ」
言いたいこととはよくわかったんだけど教室がざわつく。
理由は簡単。小島先生が珍しく化粧をしておしゃれな服を着ているからだ。
この先生、気さくで話も面白く授業も上手いので人気なんだけど化粧っ気がなく学校ではジャージか白衣を着ていることがほとんど。
ちゃんと化粧しておしゃれな服着ればいいのにとかよく言われていた。
「先生!質問!今日はデートですか」
「ば ばかもん!プライベートなことは回答しないぞ!」
と顔を赤くして反論。
『先生顔赤くして可愛い!!』『俺と付き合って』とか言われてる。
まぁ普通に綺麗というか可愛い感じだし、さらに人気出ちゃうかもな。
「じゃあ質問が何もなければ・・・」
と学校からの連絡事項を何件か告げて教室を出て行った。
にしても本当にデート?
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「田辺君。勉強会は今週末でしたよね?」
「そうだな。午前中は部活だから14:00に川野辺の駅前待ち合わせで頼む」
「はい!わかりました。今から楽しみです」
「楽しみっても勉強だからね」
いつもの昼休み。今日も渋川さんと大崎さんが弁当を食べに来ているけど最近は結城も巻き込んだ。
以前は楓との二人きりの楽しいひと時だったのになぁ~
「あ、そうだお菓子とか手土産は持ってこなくて大丈夫だからな。お菓子は料理部の浜野さんが新作クッキー作ってくれるって言ってたから」
そう。この間クッキーとカップケーキをご馳走になったけど、美味しかったって話したら、今回も作ってくれるって話になったんだよな。
「え?浜野さんってバスケ部じゃなかったの?」
と大崎さん。うん確かに俺達とのやり取り見てたらバスケ部員だよね。
「元々料理部に入ってたんだけど、バスケ部を手伝ってもらってたというかマネージャ業をやってくれてたんだよね。
最近は女子バスに参加してるけど、バスケ部がないときは料理部に出てるよ」
「へえ浜野さんって可愛いし料理も上手なんだな」
と結城。ん?渋川さんが何だか結城を睨んでるけどどうかしたのか?
「お菓子くらい私も作れますわ。隆君には今度私が作るから味見して頂戴!」
「おっ いいのか俺が食べて」
「ふん。田辺君は小早川さんの作ったのしか食べないですし仕方なくですわよ」
「へいへい。幼馴染特権ってやつですね」
あ、そういえば大崎さん含めこの3人も幼馴染って言ってたな。
「そういえば結城達って幼馴染で全員テニス部だけど、昔からやってたの?」
「ん 俺達か? 麻友の親父さんが経営してるテニスクラブに小学生の時から所属してたんだよ。コーチもついてくれてたから上達したし大会とかでもそれなりの成績残してるんだぜ」
と結城。お嬢様とは聞いてたけどテニスクラブの経営とか凄いな・・・
「なるほどな~みんな上手なわけだ」
「いやいや。俺に言わせればクラブとかで指導受けてないのにあれだけサッカーやバスケ出来るお前の方が凄いって」
「あっ それは私も思うかな。初めてバスケ部来た時に清水君のマークを外してダンク決めたときなんて鳥肌立っちゃったもん」
と結城と楓。何俺ってそんなにチートなのか?
「昔から運動神経は良かったってだけだと思うけど、そんな凄いか?」
「少なくとも俺は凄いと思うけどな。テニスとかもやったら上手いかもよ」
「いや、俺そもそもテニスのルールも知らないから無理だって」
「ほんとかなぁ~」
「あっそろそろ昼休み終わりだな。じゃ渋川さん、大崎さんまた!」
「ええ。また」
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放課後。
今日は部活の無い日なので、帰りに楓と買い物に行く約束をしていた。
雑談しながら駅方向に歩いていると。
見たことある人が。
「なぁ楓 あれって小島先生?」
「そうだね。駅方向だから帰るところかな」
と駅前を通り過ぎ、居酒屋が密集する呑兵衛横丁の方に歩いて行った。
『まだ明るいのに今から飲むのか?』
と、横丁の入り口にある居酒屋からスーツを着た男性が小島先生に手を振った。
先生は嬉しそうな顔をして小走りに居酒屋に消えていった。
「なぁ楓 あれってやっぱりデートだよな」
「そうだね。中々渋いおじ様タイプの人だったね」
うん。
とりあえず先生もプライベートはあるだろうし、見なかったことにしておこう。
でも、こんな明るい時間に学校の近くで飲むなよって言うかデートするなよな。
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>本当にデート?
と思われた小島先生。さてお相手は?
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