第142話 ダブルデート②
緊張がほぐれたのか、最初は照れていた藤原と森田さんも段々と自然な感じで振る舞うよになっていた。
「あ、和君。このお魚さん可愛いよ」
「へぇ面白い顔してるな」
会話も笑顔も自然で本当に楽しそうだ。
そして、11:30。楓お待ちかねのカピバラへの餌やりの時間ということで、俺達は屋外広場のカピバラ飼育スペース"ふれあいコーナー"に移動した。
ふれあいコーナー前には既に数組の家族連れやカップルが並んでいてそれぞれが餌となる草を持たされてた。
「ケンちゃん私達も並ぼ!」
「あぁ。慌てんなって。まだ定員は余裕ありそうだし大丈夫だよ」
「うん。あ、藤原君と由紀ちゃんもちゃんと並んでね」
「はい。ちょっと楽しみです」
と森田さんが満面の笑みで答えているのに対して藤原は少し苦笑い。
藤原は動物とかが苦手なのかな?
そして、時間となり順番に餌やりが始まった。
「ん~ やっぱり可愛い」
「本当ですね。このちっちゃい子とか一生懸命草食べてるし」
楓と森田さんが柵越しに餌を出すと、まだ生まれて数週間という小さいカピバラが一生懸命に草を食べ始めた。本当いつみても愛らしい。
森田さんもすっかり気に入ったようだ。
そして、藤原も少しビビりながらも餌をあげていた。
『柵もあるし襲ってくるような動物ではないから大丈夫だぞ』
カピバラをたっぷり堪能し少し満足な感じの楓。
そして可愛い生き物との触れ合いにテンション高めの森田さん。
喜んでくれたみたいだよかったなと考えていると正午を表す鐘の音が園内に鳴り響いた。
「あ、そろそろお昼だけど、どうする?ショッピングモールまで戻るか?」
「あ、ケンちゃん。それなら大丈夫だよ。ね!由紀ちゃん」
「はい♪」
そう言いながら楓と森田さんは、俺と藤原を水族園の中庭に作られた水辺の広場に案内した。
「じゃーん お弁当です!」
「ですです。2人で作ってきたんですよ♪」
「「おお!」」
楓が鞄から出したバスケットには一口大で食べやすい大きさのサンドウィッチとおにぎりが入っていた。そして、森田さんが取り出したタッパーには唐揚げやソーセージ、卵焼きなどのおかずが彩鮮やかに入っている。
「うわぁ美味しそうだな。たくさんあるし作るの大変だったろう」
「由紀ちゃんと早起きしてラウムの厨房借りて一緒に作ったんだよ」
「へぇ~じゃあもしかしてサンドウィッチのパンは店長こだわりの?」
「そう店長こだわりのあのパンです!」
ラウムでは軽食としてサンドウィッチを出しているけど、店長がパンにこだわって知り合いのパン屋に小麦粉の配分を調整したサンドウィッチ用のパンを焼いてもらってるんだよな。本当美味しくて喫茶店なのにサンドウィッチ目当てで来る人も居たりする。
「いや~それは楽しみだな。でも、お弁当作って来たってことは楓ってここに来るの知ってたのか?」
「ん?知らなかったよ。由紀ちゃんが行先は"秘密"って教えてくれなかったんだよ。だけど、お昼は外でお弁当を食べる予定だから一緒に作らないかって誘ってくれて。ほら、私達木曜日はバイト一緒でしょ」
「そっか。ありがとうな楓、森田さん。じゃあ早速食べようか」
「うん。でも、ケンちゃんちょっと待って。ほら由紀ちゃんも」
「う うん」
と楓と森田さんは箸でおにぎりを摘まみ俺達の口元に持ってきた。
「「あ~ん」」
思わず藤原と目を合わせてしまったけど俺達の彼女は可愛いすぎるかも。
そんな感じのイベントもありつつ、俺は美味しくお弁当をいただいた。
もちろんお弁当は本当に美味しかったので楓達を褒めまくった。そして、お返しの「あ~ん」をしてあげたりもした。
楓も森田さん褒められて恥ずかしがってたけど、結構そういうのって見てると和んだりするんだよね。なんとも楽しいランチタイムでした。
その後はもう一度水族館に戻り水族館デートを満喫した後、まだ時間も早かったのでショッピングモール内のゲームセンターへと移動しエアホッケーや4人対戦型のレーシングゲームをプレイした。
「楓!そっち」
「うん」
「由紀頼む!」
「え!あ、わぁ」
エアホッケーは俺と楓組が圧勝。やっぱり反射神経とか森田さんが不利だよな
ただ・・・・
「ふふふ。さっきは後れを取ったけどこういうのは得意なんだ♪」
「え!きゃあ私って逆走してる?」
「楓、落ちつけ俺や藤原を巻きこんで事故るな!」
実際のカートは下手らしいけどレーシングゲームは森田さんも得意らしい。
森田さんのぶっちぎりの優勝。
何だか意外だ・・・・
そして最後にお約束のプリクラ。
これって撮るだけでデート感出るよな。
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「ケンちゃん楽しかったね♪」
「あぁ 水族館も中々良かったよな。ありがとな藤原。本当楽しめたよ」
「喜んでくれてよかったよ。またその内みんなで遊びに行こうぜ」
本当藤原には感謝だな。でも・・・
「あぁそうだな。でも・・・地区予選、今度こそ俺達が勝つからな」
と藤原も少しまじめな顔つきで返答してくれた。
「ふふ。そう簡単には俺達も負けないからな。返り討ちにしてやるよ」
「お互い頑張ろ。まずは来週からの合同練習だな。よろしくな」
「あぁ、じゃまたな!」
川野辺駅に到着し俺達は改札口で別れた。
藤原と森田さんは川北方面へ向かうバスへ。俺と楓は歩きで帰宅だ。
「今度は、森下に勝たなきゃだね」
「あぁ次は俺達にとっても最後の大会だからな。絶対に・・・」
と話をしているうちに俺の家に到着。
何故か楓も凄く自然な感じで俺と一緒に家に入ってきたけど別に拒む理由もないしむしろ歓迎ということで、温かい家の中でもうしばらく2人の時間を楽しんだ。
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