第73話 決意
期末テストの結果が返ってきた。
予想通り化学の点数が一番悪かったけど、各教科共に80~90点台の点数だったから結構良かったと思う。
「全国模試4位は伊達じゃないって感じだな」
俺の背後からテストをのぞき込む裕也。人の答案を勝手に見るなよ・・・
「ん?あぁ裕也か。いやいや結構俺も地道に勉強とかしてるんだぞ」
「だよな。家に参考書とかいっぱいあったもんな」
こいつも見るところは見てくれてるんだな。
「で、どうだった?裕也と浜野さんの方は」
「ふふふ。今までの試験では最高得点だ!赤点は無い!」
「うん!私も大丈夫だった。これで裕也と楽しい夏休みだね!」
「だな!!どこ行こうか美玖♪」
確かにな。来年は受験だし遊ぶなら今年かもな。
って人の目の前でイチャつくなよ!
「楓はどうだった?」
「う~ん大体予想通りかな。答え合わせとかしたいから後で時間良いかな?」
「もちろん♪俺んちでいいよな」
楓は真面目だなぁ。
浜野さんじゃないけど、俺も色々と楓と遊びに行く計画を立てないと。
という事で裕也たちも赤点補習を何とか免れたという事で全国大会はベストメンバで戦えそうだ。
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翌日終業式を終えた俺たちはいよいよ夏の全国大会に向けて動き出した。
「福島!パスが遅いぞ! 田辺!もう1テンポ早くシュートを打て!」
「「はい!!」」
「由良休むな 走れ! 長谷部タイミングが悪いもう一度だ」
「「おぅ!」」
コーチの指示が飛ぶ体育館。
男女ともに全国大会に進むという事で、学校側も協力的で大会期間中は優先的に体育館や各種施設を使える様にしてくれていた。
という事で、全国大会開幕までの3日間。俺たちは体育館裏にある合宿所に泊まりながら練習に励んでいた。
まぁ俺や楓とか家が近所だったりもするけど、合宿とかするとやっぱり一体感とか協調性は生まれるよな。
それに練習は厳しいけど、皆でワイワイ過ごすのも中々楽しかったりもする。
3日間の練習メニューは男子バスケの牧村コーチと女子バスケの三上コーチが施設を有効利用できる様に組んでくれたので、筋トレやボールを使った練習など無駄なく効率的に行うことが出来た。
ただ、短期とはいっても夏の暑いさなかの合宿。
走り込みも筋トレもきつかった。
ただ、確実にレベルアップはしている気がした。
特に合宿2日目には、OBの方々も練習に協力してくれた。
中でも去年卒業した元部長の雪村さんのテクは半端なく凄かった。
裕也と福島が二人でマークしても全く歯が立たず、シュートまで持っていかれてしまうくらいだ。裕也の憧れの先輩らしいけど、それも良くわかる気がした。
そして、合宿最終日。
過去何度も実施している3年生チームと1,2年の混合チームでの練習試合。
以前は全く歯が立たなかったけど、1年生の成長もあり混合チーム側が勝つことが出来た。ある意味わかりやすい成長だ。
今度の大会で3年生は引退。少しでも長く試合ができるように頑張らないとな。
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「それでは、川野辺高校 バスケ部全国大会必勝を願い カンパーーイ!!」
「「カンパーーイ!!」
川野辺駅前にある長谷部の実家の喫茶店。
合宿の後、お店を貸し切りにして必勝会が行われた。
男女バスケ部員にコーチや先生方、それにOB,OGの先輩方と店内は満員だ。
あ、もちろん俺達は未成年なので、みんなジュースね。
「雪村先輩 やっぱりカッコいいです!」
「煽てても何も出ないぞ」
と裕也。本当先輩のファンなんだな。
雪村先輩は卒業後、都内の某医大に進学し医者を目指しているとの事。
バスケは趣味レベルで続けているらしいけど、プロに行けばいいのに・・・
「恩田先輩!吉川先輩! 今年こそ優勝しましょうね!」
「綾ちゃん♪あんまり張り切り過ぎると怪我するからリラックスして優勝ね♪」
「それが出来るのは智花だけだと思うぞ。とにかく去年より上を目指そう!」
と村田さんと恩田先輩&吉川先輩。
真面目で冷静な吉川先輩が居るからいい感じに女子バスはまとまってるんだよなきっと・・・
「去年の今頃は一緒にリハビリとかやってたんだよね。まさか私も選手に戻れるとは思ってなかったよ」
「あぁ今でも美玖には感謝してる。それに選手に戻れたのは美玖が頑張ったからだ!一緒に頑張ろうぜ!」
「うん!うん!一緒にがんばろ!」
裕也と浜野さんはいつでも平常運転ですね。仲がよろしいことで・・・
「なぁ楓。みんなでバスケ出来て楽しいよな」
「うん。どうかしたのケンちゃん?あらたまって」
「俺は4月にこの学校に入ったわけだけど、楓や裕也、村田さんに福島、それに先輩方。たくさんの仲間が出来た。本当にいろんな人達と知り会えてバスケ出来て凄く今楽しいんだ。だからもっとこの楽しい時間を続けたい。頑張らないとな!」
「うん!」
明日の開会式の後、俺達の初戦は明後日行われる。
頑張るぞ!!
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