第102話 文化祭②
文化祭前日。
午前中で授業は終了し、午後からは割り当てられた教室で内装工事や各種準備が行われる。
今日は一応21:00までなら申請を出せば残って作業することも許されている。
何となく夜遅くまで学校に残るとかってテンション上がる気がするのは俺だけだろうか?
「その机は客席のテーブルにするからこっちへ!椅子もセットで頼む。
あ、そのパネルは控室との区切りの壁にするから、そこに置いておいてくれ」
いつの間にやら現場監督的なポジションになっていた長谷部が、いい感じに指示を出してくれている。
B組と合同ということで湯川ちゃんも傍で手伝いをしているし張りきってくれているみたいだな。
その奥では、執事やメイドを行うメンバに早瀬さんと大崎さんが色々と指導をしている。特に大崎さんは自称現役のメイド?ということで指導は本物だ。
そんなみんなの頑張る中、俺と楓、それに渋川さんはテーブルでパフェを食べていた。
言い方が悪かった。。。別にサボっているわけではなくて料理部の試作品を食べているところだ。色々とメニューは考えたが、数が多すぎると作る手間も注文を取る手間もかかるので、最終的に提供するメニューを決めているんだ。
もっとも大半は確定していて、今食べているパフェの扱いだけ決めかねて相談された感じだ。
「美味しいけど、パフェって飾り付けとか結構手間じゃないか?」
「うん。そうなのよね。見た目は綺麗だし売りになると思うんだけど・・・」
「じゃぁさ1日限定○○食みたいな感じで作ったらどうかな?
それくらいだったらそれ程手間にならないんじゃ?」
「うん。そっかそういうのならいいかもね」
楓の案が採用され、メインメニューからは外れるが特別メニューとして数量限定販売となった。
と、美味しそうにパフェを食べていた渋川さんが遠慮がちにコメントをだした。
「あ あのどうせならですが、、、よくあるカ カップル向けってことで限定にしませんか?カップルで執事喫茶やメイドカフェに来る人も居ると思いますし」
「・・・うん!それいい採用!私絶対に裕也と食べにくる!」
って浜野さん自分で作るんじゃないの?
何だか楓も俺の制服の裾を引っ張って食べに来たそうにしてるし・・・
あぁ~もう可愛いなぁ
ということで、A組とB組に割り当てられた教室は、長谷部の指示のもとに喫茶店っぽく様変わりした。
執事喫茶のA組は木目をメインとしたシックな内装とし、メイド喫茶のB組はパステル調の可愛い内装でまとめられた。
この辺りのデザインも早瀬さんと大崎さんだ。
そして、そのデザイン画をもとに控室と客席の動線も考慮する形に長谷部が修正を加えた。喫茶店が実家で自分も働いているだけあって中々に働きやすそうなお店が出来上がっていた。
「そろそろ21:00だぞ。教室のカギ閉めるから早く帰りの準備をするように!」
「「はぁ~い」」
「新婚の先生方をあんまり残業させちゃ悪いですからねぇ~」
「ば 馬鹿者 大人をからかうな!」
A組担任の田中先生とB組担任の山口先生は先月結婚した。
まぁ俺と楓は二人の事を相良さんに聞いて知っていたけど、発表されたときは学校内でもだいぶ話題になった。
2人の喧嘩というか仲の悪さは有名だったからね。
それに山口先生はクール系の美人ということもあり結構男子生徒に人気だったから泣いてる生徒もいたのかも。
ちなみに山口先生は結婚したので名字は"田中"になったわけだけど、紛らわしいので学校では旧姓の"山口"のままで通すそうだ。
そんなこんなで、色々とあったけど文化祭の準備は問題なく終わり当日を待つばかりとなった。
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そして迎えた文化祭当日。
いつもの様に楓を迎えに行くと珍しく紅葉が出てきて話しかけてきた。
「ケン兄ちゃん。今日は私達の中学も学校早く終わるから文化祭行くからね!」
「あれ?中学生とか一般は明日じゃないのか?」
「うん。川野と川北の中学は川野辺高校の見学も兼ねて招待されてるから、希望者だけだけど、今日は先生たちと一緒に回るんだ」
「へぇなるほどな。確かに学校の中とか見て回れるもんな」
「ケン兄ちゃん達は執事喫茶やるんでしょ。楽しみにしてるからね♪」
今日は在校生向けということで油断してたけど、そうか未来の後輩になる中学生も見に来るのか・・・それも先生引率で。
やばい何だか緊張してきた。
出店を行う教室に着いた俺と楓は、渋川さんや結城、それに今日の店内を彩るメイドや執事、料理を提供する料理部のみんなと最後の打合せをした。
「俺と楓、それから渋川さんと結城、吉見と森川さんは交代でお店や調理場を巡回するから何か問題点あればすぐに言ってくれ。
それから資材や衣装関係は長谷部と早瀬さん、大崎さんフォローを頼む」
「「了解!」」
とりあえず、準備としてやることはやった。
後はお客さんを待つだけだ!
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