第164話 7年目の終わりと
3学期も終わり春休みに入った。
今日は楓がアパートの隣の部屋に引っ越してくる日だ。
といっても近所だし俺の時と同じくおじさんが車で何度か往復して終了なんだけどね。
「ケンちゃん お父さん 机はそっちの端にお願いね」
「おぅ」
「あ、ベッドはもうちょっとキッチン側かな」
「こんな感じか?」
「うん オッケー♪」
楓の指示で俺とおじさんが家具を並べる。
まぁ大きい家具なんてそんなにないし俺とおじさんだけでも十分だったりする。
「こんなもんかな」
「うん。お父さんありがとう!後は大丈夫だよ」
「そうか・・・健吾君・・・楓の事頼んだよ」
「え?は はぁ」
おじさんは少し寂しそうに家へと帰っていった。
やっぱり大切な娘が家を出るわけだし寂しいんだろうな・・・・でも"楓の事頼んだよ"って俺んとこ嫁入りしてきたわけじゃないんだけどな・・・
「ねぇねぇケンちゃん。雑貨類買いたいんだけど、ちょっと買い物付き合ってもらってもいいかな?」
「ん。いいよ」
ということで俺と楓は近くの商店街に向かった。
楓も一人暮らしは初めてということで日用品は色々と買わなくちゃならないんだよね。
「何だかさ。一人暮らし始めると思うとやっぱりちょっと緊張するね」
「まぁそうだよな。楓は家族と離れるの始めただもんな。やっぱり寂しい?」
「う~ん。今はまだそんなでもないけど、この先そう感じることもあるかも。でも近所だし・・・ケンちゃんも居るしね」
「その・・・寂しくなったらいつでも連絡くれていいからな。すぐ行くから」
「そんなこと言うと毎日呼んじゃうよ♡」
「お おぅ望むところだ!」
裕也達には同棲みたいなもんじゃんと散々からかわれたけど、あながち間違っちゃいないよな。
それに・・・お互い合い鍵も渡したし。
「あ、これ夫婦茶碗・・・買っちゃう?」
「そ そうだな。俺の家に置いとこうか」
「うん♪」
いや・・・もう同棲だなこれ。
去年の春。
俺はこの町に帰ってきた。
まぁ帰ってくるまで7年も掛かっちまったけど、
"絶対帰って来てね"と言った楓との約束を守れたと思う。
そして、編入した高校で美しく成長した幼馴染の楓と再会しお互いの気持ちを確かめ合い付き合い始めた。
そして、同じく幼馴染の裕也や村田さんとも再会したほか、福島や浜野さん、結城、渋川さんとあらたな友人もたくさんできた。
バスケ部に入り他校とも交流し藤原や笹原といった友人・ライバルも出来た。
帰国前は新しい生活に上手く馴染めるか心配もしてたけど今俺は充実した日々を送っている。
4月からは3年生。
紅葉や高坂君、それに相良さんのところの幸ちゃんに藤原の妹の美里ちゃんも入学してくる。
バスケも最後の大会だ。今度こそ森下に勝って全国に行きたい。
大学受験もある。夢を叶えるためにも楓と大学には合格しないとな・・・・
この先もまだまだやることは沢山ある。
うん。頑張ろう。
「ん?どうしたのケンちゃん。真面目な顔して」
「あぁ。まだまだ頑張らないとなってあらためて思ってたとこだ」
「だよね。いつの間には私達も3年生だもんね。来年は受験もあるし・・・それにまだまだ高校生のうちにケンちゃんともやりたい事一杯あるしね!」
「え?俺と?」
「そうだよ!だって私達付き合い始めてからまだ1年だよ?
もっと・・・・その・・・・イチャイチャしたいし・・・」
「お おぅ そうだよな」
俺的には結構楓とはイチャついてると思ってたんだけど、楓的にはまだ足りないのか?
うん。でも・・・ま そうだよな。
「じゃ、あらためてこれからもよろしくな楓」
「うん♪こちらこそ・・・8年目も9年目もこの先も・・・ずっとずっとよろしくねケンちゃん♡」
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あとがき
タイトルが"7年目"と言うことで7年目の終わりでこの物語も終わりとなります。
一応書き始めの時に決めていたエンディングなので3章を作るか迷いましたがここで本編完結としました。
最初の内は毎日更新、途中から週3更新となりましたが今段階で40万文字弱。我ながらよく書いてきたなぁという気持ちです。
本編は一旦ここで完結となりますが、書きたい話もありますし、今後はアフターストーリーということで週1~2位のペースで継続はする予定です。
更新ペースは落ちますが、高校3年生となった健吾たちの生活を書いてきたいと思いますので、スピンオフ作品共々よろしくお願いします。
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