第55話 パフェ
いつもと同じ昼休み。
楓と机を並べお弁当を食べ始める。
そして、相変わらず渋川さんと大崎さんが一緒にお昼を食べに来ている。
何だかこの風景も慣れてきたな・・・
「ねぇ田辺君。来月は期末試験だけど、私に勉強を教えてくれないかしら?」
「俺が?渋川さんっていつも学年上位でしょ。教えるまでもないんじゃない?」
そうなんだよね。渋川さんって前回は学年1位だったらしいし俺が教えるまでも・・・というかむしろ俺が教わる側では。
「そんなことないわよ。前回の模試は田辺君の方が私より上位だったじゃない。
学年で2番だった私に勉強を教えられるのは1番の田辺君だけです!」
「ま まぁ順位だけで言えばそうだね・・・」
「で 出来れば田辺君のお家で勉強会とかしてくれるとうれしいな♪」
[パキ]
ん?楓・・・箸が折れてるんですが・・・顔も何だか怖いんですが・・・
「あぁ・・・勉強会ね。うん。
そうだ!来週末でよければ清水や浜野さんと家で勉強会やるんだよ。
良かったら一緒にどう?」
「清水君や浜野さん"も"ですか・・・じゃあ小早川さん"も"ですよね?」
と少し残念そうな渋川さん。
「あぁ 来るよな楓?」
「え うん もちろん行くよ!」
油断してたな。急に振ったから慌ててるし。
と視界の端に教室に入ってくる結城。あいつも巻き込んでやるかw
「結城!来週の土曜って空いてるか?」
「ん?あぁ部活も休みだし、バイトも入ってないな」
「じゃ家で期末テストに向けた勉強会やるから来いよな!」
「えっ勉強会?やだよ休みの日まで勉強とか」
そう言うだろうと思った。
「渋川も来るしいいだろ?」
「うっ・・・・あぁ」
と視線を泳がせる結城。
「え?隆君も来るの?」
「わ 悪いかよ・・・」
「べ 別にいいけど」
「う~ん私は用事あるんだ。結城君!麻友ちゃんの事は頼んだよ!」
と大崎さん。ニヤニヤ笑ってるところを見ると結城の気持ちを知ってるな。
まぁ結城もあの様子なら来てくれるだろう。
というか何となく流れで受けちゃったけど、そもそも断ればよかったのか?
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放課後。
いつもの様に楓と一緒に帰宅・・・・・なんだけど楓の機嫌が悪い。
「楓、やっぱり勉強会の件怒ってるのか?」
「べ・つ・に渋川さんは"友達"なんだからいいんじゃないの」
怒ってるなぁやっぱり・・・
「よし!楓。この後、デートしよ」
「ふぇ 何よ急に。機嫌とろうとしても駄目なんだからね!」
「そうかぁ・・じゃまた今度な」
「あ、どうしてもって言うなら、付き合ってあげてもいいんだからね」
いつから、ツンデレな子になったんだよ。
「最近デートとかしてなかったからさ。例のショッピングモールに新しいカフェが出来たんだよ。パフェが美味しそうなんだけど、男一人じゃ行くずらくてさ」
「ケンちゃん甘いもの好きだもんね。いいよ仕方ないから付き合ってあげる♡」
そしてショッピングモール。
お目当てのカフェはオープン間もないということで中々の行列。
「凄い混んでるね。でも内装もおしゃれだし雰囲気良さそうだね」
「そうだな。昨日モールのホームページ見てて見つけたんだけど、こんなに並ぶとは思わなかったな。悪いな付き合わせちゃって」
「ん。平気だよケンちゃんと一緒だしね」
「ありがとな。お詫びに今日は奢るからさ」
「ふふん ありがと♡」
機嫌少しは良くなってくれたかな。
カフェの居心地が良いのか、中々列は進まなかったが、30分くらいでようやく順番が回ってきた。まぁ楓が言う通り2人で色々話してるとすぐだな。
「お二人様でしょうか?」
「はい」
「こちらへどうぞ♪」
と可愛いエプロンを着けた店員さんに奥の方の席を案内された。
「こちらメニューとなります」
「あ、注文決まってるんです。カップルパフェ1つお願いします」
「カップルパフェですね。かしこまりました!」
と元気よく店員さんは厨房へ消えていった。
「カップルパフェって何?」
「この店の目玉商品だよ。見てのお楽しみ」
とさらに15分ほど待っていると巨大な器に入ったパフェが運ばれてきた。
周りの席からも注目を浴びている。
「え!え!何コレ凄い!」
「ホームページの写真以上だなこれ」
普通のグラスの4,5倍はある巨大なグラスに"これでもか!"ってくらいに詰め込まれたフルーツやスポンジケーキ。そしてその上を覆う生クリームとアイスクリームとそれを彩るベリー系のジャム
「カップル限定パフェです!記念写真撮りますか?」
「はい。お願いします」
「撮りま~す」
[カシャ]
とパフェを前に楓と並んで記念写真を撮ってもらった。
機嫌を取る取らないは別として、昨日ホームページでこのお店とパフェの記事をみて今度楓と来ようと思ってたんだよね。
「じゃ 楓から」
と俺はパフェをスプーンですくい楓の口元へ
「あ~ん」
「へ?」
「ほら 早く食べてくれよ。結構恥ずかしいんだこれ」
「う うん」
と楓は耳まで赤くしながらパフェを食べた。
楓が恥ずかしがるのもわかる。
店内は女性客が多く、今のところカップルは俺達だけ。
パフェのインパクトもあってかなり注目を浴びている。
「こ 今度は私だからね」
「はい あ~ん」
と楓もパフェをすくって俺の口元にさしだしてきた。
「うん 確かにこれは恥ずかしい・・」
周りの視線が結構痛い。
流石に交互に食べさせあっていたら食べ終わるのが何時になるかわからないので、この後はそれぞれ自分のスプーンで食べたけど、見た目通り中々のボリューム。
ただ、生クリームもアイスも甘過ぎず絶妙なバランスで普通に美味しかった。
「美味しいけど流石に量が多いねこれ」
「だな。しばらくパフェはいいかもしれない」
何とか完食したけど、お腹一杯だ。
カフェは相変わらずの混雑ぶりなので食後は直ぐに店を出た。
そして、洋服や雑貨のお店を見て回り買い物デートを楽しみ帰路についた。
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