第35話 みんなで遊ぼう!

「いいのか父さん?」

「ん。せっかくの連休なのに店の手伝いと勉強だけじゃつまらんだろ。少しみんなで遊んできなさい。

 美代ちゃんもバイト代は1日分で付けといたげるから楽しんできなさい」

「ありがとうございます!」


と半ば強引に長谷部と湯川さんのバイトを終了させて、駅前に新しく出来たアミューズメント複合施設に向かった。


ここは、ボーリングやカラオケ、ビリヤードから3on3、フットサルなども楽しめる複合施設だ。しかも学生はかなりお得な料金設定。

俺も気にはなっていたけど、まだ入ったこと無かったんだよね。

受付で8人のチェックインを済ませ、まずはバスケ部メンバが大半という事で3on3の施設へ向かった。

祝日という事で少し混んでたけど、雑談しながら並んでるとコートの順番は意外とすぐ回ってきた。


「8人だし4対4でやろうぜ。あ、美玖は足無理すんなよ」

「うん。ありがと」


と言う事で男女混合でチームを作り試合を行った。

俺と楓は裕也・浜野さんと。福島・村田さんは長谷部・湯川さんという形でチームを分けた。


そして、早速試合開始。

先行のオフェンスは俺たちのチームからだ。

裕也がボールを持ち、ゴール下に走りこむ俺にパスを送ると見せかけ、フェイントで裏に居た浜野さんへパス。

それを3ポイントエリアから綺麗に決める浜野さん。


[シュパ]

ボールが綺麗にゴールに入り込む。


「ナイスシュー美玖!」


と裕也。俺も思わず拍手しそうになるくらい上手いシュートだった。

楓と村田さんも驚いている。


その後の攻守交代後は福島・村田さんのパス回しに翻弄されながらもなんとか俺と楓、3ポイントの浜野さんで稼いだ得点で逃げ切った。


「ふぅ〜 何だか疲れたな」

「あぁ、遊びなのに気合入りすぎた」


と福島と裕也

確かにあの二人はガチでボールの取り合いしてたな。

しかも、さっきの反省会のディフェンスをリプレイするような動きで。。。。

何気に裕也も真面目だよ。


「美玖ちゃんはやっぱりシュート綺麗だよね」

「うん。成功率も高かったし、流石は元川北中の3ポイントシューター!」

「でもブランクあるし、まだまだあんまり走ったり出来ないから・・・」


と女性陣。浜野さんは褒められて少し照れ気味。

前に裕也に聞いたけど、浜野さんは一時期まともに歩くことも出来ない程の怪我をして、必死のリハビリで普通の生活が出来るレベルになったとか。

その後もマネージャにはなったけど、皆の練習の後や公園のバスケコートで裕也と一緒にシュート練習を中心に足に負担が無いプレイは練習していたらしい。

やっぱりバスケは好きなんだね。

怪我して無ければ今頃はマネージャじゃなくて、楓や村田さんと一緒にバスケを楽しんでたんだろうな。


そして、横を見ると長谷部と湯川さんが話をしていた。


「何だかごめんね。長谷部君達の足を引っ張っちゃったみたいで・・・」

「湯川以外は皆バスケ部なんだから気にすること無いよ!それに今日は遊びに来たんだしゲームを楽しまなきゃ」

「そうかなぁ・・・うん。そうだね。ありがとう」


そう。何度か湯川さんがパスを受ける場面があったんだけど、うまく取れなかったりシュートしても失敗したりしてたんだよね。

でも長谷部の言う通りゲームだし楽しまなきゃ。

それにしても、何だかあの二人いい雰囲気じゃありませんかw


3on3の後はボーリング。

カップルごとにチームを組んで対戦したけど、これは福島・村田さんペアが優勝。

何というか二人ともストライク連発だし、投げるコースにスキが無い。目も真剣だったし・・・

2位は裕也・浜野さんペアで3位は長谷部・湯川さんペア。この二組はいい勝負。

という事でビリは俺と楓ペア・・・・ダントツのビリ。

俺はそこそこの成績だったけど、楓の意外な弱点というかガーター連発だったんだよね。。。どうもボーリングは苦手らしい。

でも『なんかゴメン』と謝ってきた楓が可愛かったのでとりあえず許す。


次はカラオケ。

結構広めの部屋で、ソフトドリンクを飲みながら皆で思い思いの歌を歌った。

楓と村田さんと浜野さんは3人でカラオケによく来るのか、某アイドルの歌を振り付きで歌っていた。

振付が可愛いし歌も中々に上手い。

途中、湯川さんも無理やり引きずりこまれてたけど、照れながらも結構楽しげだったな。

そして、湯川さんを優しい目で見ている長谷部。

まぁそんな長谷部が、バリバリのヘビメタ楽曲歌ったのはちょっとした衝撃だった。普段おとなしいのに趣味は激しいのね。

俺や裕也、福島は流行りものの楽曲を歌ったけどみんな中々歌がうまい。

そして、スナック菓子やソフトドリンクを飲みながらカラオケを2時間楽しんだところで18:00。

結構いい時間になってきたので、最後に皆でゲームコーナーに移動してプリクラを撮って解散となった。


長谷部と湯川さんは恋人同士ではないという事で、撮るつもりなかったみたいだけど折角だから記念にと楓たちに半ば強引に押し込まれ写真を撮っていた。

後ろでニヤニヤしている楓と村田さんはおいとくとして、長谷部も湯川さんも恥ずかしがりつつも喜んでるようだ。


また皆で遊ぶ機会があったら湯川さんも誘ってあげた方が良さそうかもな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る