第6話 他のみんなは?

ガルメリア追放をになってしまった。国王に宣言されてしまってはどうしょうもない。

この王に下手に逆らうとその場で首が飛びそうだ。

女神様、『とても便利なキッチンセット』は当たりアイテムでは無いのですか?

俺の異世界生活はここで終了しそうですよ。

あ~~これからどうやって生きていけば良いのですか?



「次の者、こちらへ」


と若い神官が言う。

それは、将太の指名だった。


「アオ君、どうしよう。僕、聖女なんて・・・・・・」


今の俺に聞かないでくれ。

お前は美少年だから女装も似合うはずだ。大丈夫。

将太が鏡の前に立ち手をかざすと。


やはり、他の職業系のクラスメイトと同じくまばゆい光に包まれる。

そして、光が消えると。

何と将太は・・・・・・










素っ裸状態。フルチン。マッパー。

一糸まとわぬヌード状態だった。


「うわーーー!!何で、何で」


と将太は股間と胸を慌てて隠した。


「キャーー、なになに」

「緑山君の・・・・・・」

「見ちゃった~ 可愛かった」

女子達がワーワー騒いでいる。


これもラッキースケベ?

・・・・・いらん!!

自分のモノを毎日飽きるほど見ているのだから男のモノを見て楽しい分けがない。


「将太、将太、足元にある服を着ろ」


俺は慌てて女子の視線を遮るように将太の元によ寄って服を着るまでの時間を稼いだ。。


「チッ!!」


おい、誰だよ、今、舌打ちした女子!

我がクラスには痴女がいるようだ。

将太は男子には苛められやすいが女子からは中世的な魅力で秘かな人気がある。

我がクラスの女子どもには良い目の保養になったことだろう。


将太は慌てて足元にあった白い服はシスターが着るような修道服だった。


うん、似合う! 将太、似合うぞ!!

美少女聖女様にしか見えない。


クラスの男達は一様に

「おぉぉぉぉぉ」と

女子達は

「可愛い」「素敵」と


将太を真っ赤な顔をしながら俯いたまま震えていた。

そりゃ、恥ずかしいよな。女装しているわけだもん。

女子から可愛いといわれてもな~微妙だよな。




若い神官が

「う、うん」と咳払いを将太のステータスを読み上げた。



 【 職 業 】 聖女

 【 レベル 】    1

 【 H  P 】  35

 【 M  P 】 100

 【 体 力 】   20

 【 魔 力 】   40

 【 攻撃力 】   10 

 【 防御力 】   10

 【 俊敏性 】   25



  魔法  ○ヒール ×ハイヒール ×エクストラハイヒール

      ×エンタイアーヒール

      ×エンタイアーハイヒール×アンチポイズン ×アンチパラライズ


      ×が付いている魔法は使えない




「うん、何だこれだけか! ヒール以外に使える魔法は無いのか! 

下級職の僧侶やシスターでさえアンチポイズは使えるというのに。

使えない聖女だな」


「国王陛下、それはこの者が男だからではないでしょうか?

『聖女』は女性職しかなれないはずなのに、男が職業を得てしまったから何らかの制約が掛かっているのかもしれません」

国王の隣にいた老神官が答えた。


「ハズレだな。残念だ。聖女と勇者をチームを組ませようと思っていたのだが。計画変更だ!!」


この王様、嫌いだ。絶対に信頼関係は築けない。

この国の国民も辛い思いをしていることだろう。


・・・・・で、『聖女様』よりHPや体力が低いってどういうこと?

MPや魔力は分かるが・・・・・俺はいらない子なんだね。



「次はそこの背の高い者、こっちらへ」


次は則之が呼ばれた。


則之、お前、『姫騎士』という女性職だよな。

マッパになっちゃうのか?あまり見たくないぞ。

則之が鏡の前に立ち鏡に触れると。

まばゆい光の後にマッパではなく普通に白い鎧姿になっていた。

良かった。本当に良かった。

則之の裸体は洒落にならない。


「チッ!」


おい、また女子の舌打ちが聞こえたぞ。

エロイのは俺たち男だけじゃない!女子にもエロイのがいる!

痴女が絶対にいる!


若い神官が則之のステータスを読み上げた。


 

 【 職 業 】 姫騎士

 【 レベル 】  1 

 【 H  P 】 50

 【 M  P 】 25

 【 体 力 】  50 

 【 魔 力 】  25

 【 攻撃力 】  25 

 【 防御力 】  25

 【 俊敏性 】  30


 スキル  ×剣術 ×楯術 ×弓術 ×槍術 ×攻撃力強化 ○身体強化

 魔法   ×ヒール×ハイヒール 

 特殊技能 ○デコイ



「何だ『姫騎士』というのは!! そちも男だろ! なぜ『姫騎士』なんだ!

しかも『姫騎士』は職業ではないだろうて・・・・・

いったいなんなんだ、この召喚者たちは!

しかも使えなさそうなステータスばかりでは無いか!!」」


と王も徐々に不機嫌になっていた。


「次だ、次にいけ!!」





「じゃ、俺、行って来るわ」

 

智弘が鏡のほうへ歩いて行き立ち止まり手を鏡面につける。

鏡が輝き光が消えると・・・・・・


素っ裸の智弘が立っていた。


「おえぇーー」

「キモーー」


女子から罵声が飛ぶ。


「ホーーレホーーレ」と言いながら、

智弘は女子の方を向き腰に手をやり胸を張って股間を前後に振って見せた。



「気持ち悪い」

「おぞましい」


「服を着なさい。気色悪い!! 早く着ないと私の槍で刺すわよ!!」


井原がロンロンギヌの槍を構えながら今にも刺すアクションを見せた。


智弘は足元の服を着だした。

・・・・・しかし、魔法少女用の服は小さくシャツは智弘の出っ張った腹を隠すことなく半分以上露出していた。

下は女性物というより子供が履くパンツにスカートだった。

最悪なことにスカートも短くパンツが見えている。

しかも、恥ずかしがるどころか堂々としている。

あ~~~これ、どう見ても変質者。

おまわりさ~~~ん、ここに怪しい人がいますよ~~ と通報されるレベル。

間違いなく逮捕される案件だ。


智弘は只者では無い!ある意味勇者だ!

実は智弘が『勇者』だったとか言うオチでは無いだろうな。

あの女神様なら有りえるかもしれない。





若い神官が智弘ステータスを読み上げようとすると。


「いい、いらない、こんな気色悪いやつのステータスなんぞ、興味が無い!

とっとと下がれ!二度と余の前に顔を出すな!!」

 

王は首を振り片手で顔を覆いながら言った。

王様の機嫌は明らかに悪くなっていく。

なんか俺達4人、追放だけではすまないかもしれない。

いきなりギロチン送りにされそうなんですけど。



「では、次。そこの女」

若い神官が七海を指名した。

七海は『リッチ』ということだが、本人は『商人』と勘違いしてたけど、

『リッチ』と言えばアンデッド・モンスターだよな。

大丈夫だろうか・・・・・


七海が鏡に触れる。










何も変化が無い?


と思った瞬間。



体から湯気が上がった。


「きゃーーーーー熱い、熱い、熱い、助けてー」

「熱い、熱い、熱いよー」

「助けてーーーーーーーーーーーー」


七海の長い髪の毛が抜け落ち、顔が徐々に溶けてゆく。

体から発せられる熱のためか服も徐々に解けていく。

美少女と言われている七海の顔が解けていく様は言葉に言い表せない恐怖を感じた。


「熱い! 熱い!!」

「焼ける、焼ける」

「誰か助けて!」


七海はうずくまり両手で体を押さえて蹲ってしまった。

その手も皮膚が溶け、血管、筋肉が見えたかと思った瞬間に溶けて・・・・いや、蒸発していった。



「熱い、助けて、助けて」

「熱い」

「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」


誰もがあまりのことに立ち尽くしているなか思わず七海に近寄った。

俺は蹲っている七海の肩に手を置いた。

骨となってしまった体は異様に熱かった。


「七海、大丈夫か!しっかりしろ」


「熱い、白田君、熱いよー」



なんて残酷なことだろうか、あの美貌もスタイルも骨になってしまえば・・・・・



七海は目だけが赤く他の部分は何もなかった。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・熱いよ」


「大丈夫か、七海。体を冷やそう」




「キャー、骸骨、紫音が!紫音が!!」

「化け物だ! 七海が化け物になった!!」

「骸骨、七海が骸骨になったぞ!」


表情など無いはずなのに七海が「エッ」という表情をしたのが分かった。


「七海、大丈夫だ、早く体を冷やしに行こう」


肩を抱いて立ち上がろうとしてとき、七海は自分の手を見て



「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

なんなの、なんなの、私どうなってるの!!

白田君、白田君!」


七海は赤い目で俺を見て叫んだ。


「大丈夫、大丈夫、落ち着け七海、大丈夫だよ」


七海の熱い両肩に手をおいて顔を見合わせて言った。


何が大丈夫なのだろうか?

でも、俺にはそれしか言えなかった。

この『大丈夫』は自分に言い聞かせるために言っていたのかもしれない。

そう、自分を落ち着かせるために。





そのとき


「リッチだ」「リッチだ」

「殺せー リッチだ!殺せーーー!」

「騎士団!前へ」


俺と七海の元に剣を振り上げた騎士が殺到してきた。

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