第125話 ヒール
茜たち一行は翌日にはウインレル王国の魔王討伐に旅立った。
案内として騎士団から2人お付きの人を付けてくれた。
アリア姫も途中の町まで同行することになり、アリア姫の護衛を含めると20人ほどの大所帯になった。
アリアは定期的に病気で苦しんでいる人たちを慰問と治療の巡回を行っている。
茜を除けば今のハルフェルナで最も治療魔法を行使できる人物で国外からも治療のお願いが舞い込んでくる。
勿論、治療は誰に対しても無料で行っておりハルフェルナで最も有名な一人である。
アリアに危害を加えると言うことは、ハルフェルナの人間すべてを敵に回すことと同義語と言われているくらい人徳・信仰されていた。
そして、通過する町に着くとアリアはすぐに教会へ向かい助けを求めている人に治療を施す。
そんなアリアに感化され詩織もアリアの手伝いに励むのであった。
町でもすぐ噂を呼び二人の美人聖女を見ようと関係のない人まで集まってくる賑わいになった。
ヒールを多用しているので明らかにアリアと詩織の表情に疲れが見え始めた。
「ねぇ、茜、あんたも無駄に魔力余っているんだから町全体にヒールでも掛けてみたら?
MPだってカンストしているんでしょ。ヒールなら最大にしても誰も迷惑かけないでしょ」
「ちょっと、やってみるね」
と言うとSky highの呪文で町上空まで舞い上がった。
深呼吸をして魔力を溜めて
「ヒール!!」
を唱えると上空から七色に光るオーロラが舞い降り町を覆う。
町全体は高原のような爽やかで澄んだ空気に覆われ悪い気が浄化されていった。
町のいたるところから
おおおおお
リフレッシュされる
スッキリした
体の痛みが取れた
など歓喜の声が上がる。
茜が加奈の元に降りてきた。
「どう? 役に立った? 使えるかな?」
「いいんじゃない、初めて茜の魔法が役に立ったんじゃない?」
「酷いわね~ 私の魔法はいつも役に立っているでしょ!!」
そこへ王子が走って近寄ってきた。
「茜様~何をしたのですか? 今のはヒールですか?」
「空飛んでフルパワーでヒールをかけてみたわ」
「町全体の空気や気が浄化されたように感じました。これは素晴らしい。ファイレルのへの帰り道、村や町へたちより掛けてください」
「え~~、面倒くさい」
「何、言っているのよ! みなさんの役に立てるのだから掛けて回りなさいよ。MPだってまだ余っているんでしょ!!」
と加奈に押し切られるのであった。
そこへアリアと詩織がやって来た。
「今のヒールは茜様でしょうか?」
「あ、お姫様、ごめんなさい余計なことしちゃったかな」
「ありがとうございます。町の人々が救われました。感謝に堪えません」
「茜、これから慰問する町や村へ行ったら聖女さまの治療より先に上空でヒール唱えなさいよ。
そうすればアリア様や詩織の負担の軽くなるでしょ」
「そうして頂けると助かります。私のヒールなどより茜様のヒールのほうが治癒力が高いと思います。お願いします」
とアリアは茜に頭を下げるのであった。
そんな事をされると嫌とは言えない茜であった。
「アリア様、この子、雑な性格しているので一人一人にあった細かい治療などは無理なので多くは期待しないでくださいね」
「加奈はハルフェルナへ来てから私に冷たくない?」
「気のせいよ」
とスルーする加奈であった。
「なんか、私いらない子?」
としょげる詩織であった。
「詩織はおっぱいで私を癒すの」
というと茜は詩織の胸を鷲掴みにして揉みしだいた。
「キャーーー!! 茜ちゃん、何するの!!」
「極楽じゃ~~~」
ボコン!
「茜、お前はオヤジか!!」
と言って茜にゲンコツを噛ました加奈であった。
この町で一泊した後、次の町を目指すのだが途中に魔王に襲われ魔王の住みかとなってしまった村があり一向は討伐のためにその村へ向かう事にした。
当初は姫様一行は魔王のいる村を迂回して次の町へ行く予定だったのだが、アリアも手伝いと熱心にお願いされアルファもついに折れてしまった。
が、この後、ドエロイめに遭わされるとは夢にも思わなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます