第18話 初めての調理
市場で野菜、パン、食器を購入してみた。
野菜は日本にある野菜と同じく名前もキャベツ、人参、玉ねぎで見た目もなんら変わりなかった。
そして、塩、コショウを。
パンは保存が利く硬い黒パンは安かった。
それは二次醗酵など余計な手間がかからず量産・保存が利くのが大きい要因のようだ。
値は張るが食パンが売られていたのに智弘は驚いていた。
それどころか、クロワッサン、ロールパンまで売られていた。
智弘曰く、クロワッサン、ロールパンは20世紀初頭に作られたものだそうだ。
町並み、文化水準は中世なのだが食文化は20世紀に近いのがハルフェルナのようだ。
野菜スープ用の野菜を市場で購入したのだが、
今回は凄くシンプルな塩・コショウの味付けだけの野菜スープにしてみた。、
野菜スープならコンソメスープでもトマト味でも必要なレシピ、分量が頭に浮かんできた。
これが料理スキルの力なのだろう。
食材を購入後、近くの森へ馬車で移動しモンスターを退治、俺は食事を作ってみることになった。
近くの森は冒険者ギルドもオススメの初心者向き狩猟スポットだ。
出てくるモンスターもスライム、一角ウサギ、大イモムシ、ゴブリンくらい。
しかもゴブリンは群れてくることが無く、だいたい1~3匹くらいだそうだ。
視界の良いちょっとした子山の上に石を組んで簡単な釜戸を作った。
「ふふふ、ついに俺の『とても便利なキッチンセット【オマケ付き】』が火を噴くときがき来たぜ!!」
と4人に宣言して女神様から貰った20cmの両手鍋をキャリーケースから出した!!
「碧、お前、何はしゃい出るんだよ」
智弘のツッコミは華麗にスルーしておいて七海の魔法で鍋に水を入れてもらい、
周りにある枯れ木を集め火の魔法で着火してもらった。
魔法、便利すぎる・・・・・・やっぱり、魔法職の方が良かったのかもしれない。
戦闘系の3人、則之、智弘、七海はモンスターを狩りに、
俺と将太は留守番&調理ということでベースキャンプに残った。
あらかじめ七海の水魔法で洗ってもらった食材をキッチンセットの包丁とまな板を使って切るのだが、
キャベツ、人参、玉ねぎはどれくらいの大きさで切れば良いか?入れる順番は?
塩、コショウはどのタイミングでどれだけ入れれば良いか直感的に分かった。
これが料理スキルLV1とレシピの力なのかもしれない。
「アオ君、いい臭いがしてきたね」
「これは期待できそうだな~~ 女神様、よろしくお願いしますよ~~」
本当に切なる願いだった。異世界に来てから『とても便利なキッチンセット【オマケ付き】』は火を噴くどころか、
ハズレアイテムにしか思えなかったので良いところを見せてもらいたかった。
「さぁ~味見してみますか!」
俺は食器に付属していたオタマで少しよそってみた。
「う~~~~~ん、うま~~~~い!!」
野菜スープってこんなに旨いものだとは思ってもみなかった。
必要最低限の食材・味付けなのだが野菜の旨味が凝縮され絶妙な塩気。
そして、後から来るピリッとしたコショウの辛味が究極のバランスの上で成り立っている!!
白田 碧!! 異世界へ来て初めて良い仕事しました!!
将太にもよそってあげると
「うわ~~~何これ!こんな美味しい野菜スープ飲んだこと無い!」
目を丸くして驚いた。
いや、俺も驚きだよ。
調理なんてしたこと無い男だぜ!
料理スキル、すんげーーーーーー!! レシピ、すんげーーーーー!!
右手で小さくガッツポーズを決めたのは言うまでも無い。
ひょっとすると、この料理スキルで金は稼げるかもしれない!!
金稼いでバインバインでプリンプリンのお姉ちゃんを沢山囲ってハーレムも夢では無い!!
おっと、俺はフェルナンドに復讐しなくてはいけないのだった。
「あっ!」
一瞬の高揚感に見舞われる。
「あぁぁ、これがレベルが上がる感じか」
「アオ君、レベル上がったんだね」
「こりゃ、口では言えないけど確かにレベルが上がった感じがする。新しいレシピも覚えたみたいだ。
なになに、とん汁が追加されたみたいだな。
あっ、20cmの片手鍋が追加されたみたいだ」
「レベルが上がって良かった~~ 多分、これでみんなLV2だよね。
とん汁も期待しちゃうね~~早く飲んでみたいよ」」
「本当に良かったよ。料理してレベル上がらなかったらどうしようかと思っていたから。
これ以上、みんなの足手まといになりたくないからね」
「アオ君は立派にやっているじゃない。みんなのリーダーだよ」
「いや、リーダーは智弘だろ。あいつの知識がみんなを引っ張っているんだから」
「う~~~ん、僕はアオ君がリーダーだと思っているけど。トモ君はアドバイザーという感じかな?」
「まぁ、誰がリーダーでも良いと思うけど。みんなが一人ひとり出来る事をして結束していれば良いのだから」
「女神様も言っていたね。みんなが協力すれば元の世界へ帰れるって」
将太は笑いながら話してくれた。
「チュド~~~~ン!!」
と、二人で喜んでいると智弘たちの向かった方向から爆音が聞こえた。
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