第19話 小さいスライムとでかいスライム


「チュド~~~~ン!!」

と、二人で喜んでいると智弘たちの向かった方向から爆音が聞こえた。


将太と顔を見合わせ何か不慮の事態に見舞われた事を察した。

キャリーバックの上に置いてあるシャベルを手に取り爆発音の方へ向かった。






爆発地点に着くとグシャグシャになり焦げている体高2m全長4mくらいの何かがあった。

七海が女座りをして泣いていた。


「ど、どうした、七海? 怪我は無いか?」


「怖いよ~怖かったよ~~」


「どうしたんだ?」


「え~~~~ん、糸、吐いたんだよ。糸を」


七海の体を見ると確かに糸らしきものが数本引っかかっていた。


「何これ?どうしたんだ?」


「糸、糸、え~~~~~ん」


「七海さん、落ち着いて、これで涙を拭いて」

将太がハンカチを渡す・・・・・・

あーー俺、ハンカチって持った事なかったな~ こういうところで育ちの差がでるんだろうなぁ~~~~


ガサガサ


ゴゾゴゾ


焦げている物体のそばから緑色の粘々した物体2体が起き上がった。


1匹は160cmくらい、もう一匹は、で、で、でかい2m近くあるのではないか?

スライム!

スライムってこんなにデカイのか?

やべー!! 異世界やべーー 

こんなのに襲われたらひとたまりも無いぞ!!

逃げなくては!!

七海の手を取り起き上がらせたそのとき!!




「七海、お前ーーー!! 魔法使うときは言えよ!」

小さいスライムが言った!


「そうでゴザルよ。びっくりしたでゴザル」

でかいスライムが・・・・・言った?


俺は二匹のスライム・コンビに

「智弘? 則之?」

と尋ねる。


小さいスライムが

「そうだよ!!俺だよ!!」

と激オコしていた。


「そうでゴザル。則之でゴザルよ」

でかいスライムはシュンとした感じで言ってきた。


「ご、ご、ごめんなさい。だって怖かったんだもん」

と七海が誰よりもシュンとして言った。


「おいおい、何だよ、どうしたんだよ?」


「どうしたも、こうしたもあるか!!」

と怒りながら小さいスライムが俺たち3人のところへ寄ってきた。


「くせーーーーーーー 何だ、この生ぐさい臭いは!!」

あまりの臭さに溜まらず叫んだ!!

将太もウプッという感じになり後ずさりした。


「寄るな、小さいスライム!!」

シャベルを出して小さいスライムを威嚇する。


「酷いでゴザルよ 碧殿」

今度はでかいスライムが答えた。


「七海が大イモムシに糸を吐かれてパニックになってサンダーボルトを落としたんだよ。

そうしたらイモムシが破裂して俺と則之が体液をブッ被ったんだよ!!」


「だって、だって、黒木君より大きいイモムシだよ。虫だよ!虫!! しかも、糸吐いてくるんだもん・・・・・・」

七海の涙目。リッチになっても何だか可愛い。


「仕方ねー 七海、水の魔法を俺たちにブッ掛けてくれ! 間違ってもウォーターボールじゃないからな。

シャワーの方な、シャワーの方!!」

念入りに七海に説明をする小さいスライムであった。


イモムシ体液を洗い流したスライム、いや、智弘と則之。


智弘はブツブツ文句を言いながら魔法少女の服を脱いで素っ裸になった。


「きゃーーーー」

七海が悲鳴を上げた。


「いきなり脱がないでよーー」


「減るもんじゃないし、七海、良く見ておくか?ホラホラ」

と股間を露出させ前後に腰を振る智弘に七海が


「ウォーターボー」


「ごめんごめん、すぐにコート着るから」


「もう、そういうセクハラは止めてよね」

と激オコな七海さんでした。


多分、七海が本気で激怒したら俺たち4人一瞬でケシズミになるんだろうな~と思いつつベースキャンプへ戻った。





「野菜スープを作ってみたんだけど味見してくれよ。自信作だぞ~~~」


「もぅ、びっくりしちゃうくらい美味しいから。僕も驚いたよ!!」


みんなの分をお椀に装い飲んでもらった。


「おーーーー!!旨いな! 碧!!こりゃ凄いぞ!!何の変哲もない野菜スープなんだけど。これは止まらないぞ。

料理スキル、凄いな~」


「これは格別でゴザルな! 野菜スープで感動したなんて初めてでゴザル」


「ホントね~これは美味しい。私もこんな美味しいスープ飲んだの初めてかもしれない。絶妙なバランスね。

塩気が少しでも多いと野菜に旨みが消えちゃうし、コショウが少しでも少ないと刺激が無くなると思うの。

これは神の為せる業よ」


おおお!やったぜ!こんなに高評価だとは思ってもみなかった。


「黒パンに浸して食べるときは、塩をもう少し追加すると美味しくなるぞ」

と、みんなのお椀に塩を少しずつ入れ黒パンを勧めた。

「さぁ、みんな一斉に浸して。

まだだよ、まだだよ・・・・・・・・・




まだだよ・・・・・・・






さぁ~今だ、召し上がれ!」


「うを~ガチガチの黒パンが良い感じに柔らかくなっている。しかも、グニャグニャにならず食感も良い。

こりゃ、旨いぞ。料理の腕だけでなく食べごろも分かるのか?料理スキル、恐ろしいぞ!!」

智弘が興奮気味に話す。


「美味しいね~アオ君のスキル凄い!! 旅の食事も楽しくなりそうだね」


「美味しい食事は心を豊にすると言うからね。リッチでも味覚があって良かった~ 

もし味覚が無ければこんな幸せな気分になれなかったから」


「そうでゴザルな~ 我輩、野菜スープだけでも文句無いでゴザルよ」


「則之、そんな事、言っちゃっていいのかい?」

といって俺はニンマリ笑った。


「豚汁のレシピ覚えたんだぜ」

と俺は自慢げに答えた。


「それも食べたいでゴザルよ~ 前言撤回でゴザル」


「それは楽しみ」

「次は豚汁作って~」

「考えただけでヨダレが出るでゴザル」

みんなから高評価。


戦闘ではたいした戦力にならない俺だが食事と栄養管理ではみんなの役に立てそうで安心した。

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