第20話 チート?


食事の後に経験値とお金稼ぎとして狩りを行った。

たいした援護にはならないが俺も参加することにした。

一角ウサギは1mほどのサイズで食用としても人気があるのでギルドで一羽2000円で買い取ってくれる。

大イモムシの糸袋もそこそこの値段でで取引されるのだが我々は解体することが出来ず、

持って帰るにしてもサイズが大きいので諦めることにした。

が、何より智弘が

「大イモムシを見つけたらブチ殺す!!」

という方針を宣言したのだが則之も七海もその方針に大賛成ということで七海が遠距離から魔法で処分することに相成った。


この日は一角ウサギ5匹を仕留めた。

帰りの馬車で20cmの片手鍋が追加された事を話すと、これがオマケであろうということで一致した。

問題は片手鍋だけで終わりなのか、それとも今後も追加されるのか?ということだ。

こればかりはレベルが上がらなければ分からない。


でも、女神様、片手鍋だけでは無いですよね。僕、信じてますから、信じてますからね。

と心の中で女神様にお祈りするのであった。


狩った一角ウサギを冒険者ギルドに持っていくと、

血抜きができていないので鮮度が落ちてしまい、

一羽1000円に買い叩かれてしまった。

世知辛いぜ、異世界は。

今後の事を考えギルドの解体部の人に簡単に出来る血抜きの仕方を教えてもらった。


冒険者ギルドで一番安い宿を教えてもらい、6人部屋が空いていたのでそこへ泊まる事にした。

七海だけ別の部屋にということも考えたのだが一人だけ部屋を追加すると料金も上がるので、

みんなと一緒の部屋を希望したので5人で一部屋と相成った。


明日以降の事を話し合ったのだが、

一刻も早くガルメニア王国を出てオリタリア共和国へ行って、

問題なければオリタリアで生活拠点を築こうということになった。

オリタリアはいくつかの国が集まって出来た国で5年に一度の総選挙で議会と連邦共和国の代表を決めている民主主義国家だそうだ。

比較的貧富の差は無く議会により税は公平に分配されているようだ。

文化が発達しておりハルフェルナのほとんどの国とも貿易をしている商業国家であり最も進んだ国といわれている。

商業国なだけあってオリタリアへ行く街道も整備されており、

馬車があればイゼリアから5日もあれば行けるそうだ。

オリタリアまでの街道沿いには大きな町もあり、

さほど危険なモンスターもいないということなので危険を伴う旅ではないようだ。

隣のイラークの町まで馬車で2日ということなので、明日、市場で2日分の食料を仕入れ、野宿用のグッズを購入して町を出ることにした。





翌朝、市場で豚汁用の豚肉を探したのだがガルメニアでは牧畜業が行われていないため豚肉は手に入らなかった。

ガルメニアでは豚肉はオークかホッグという巨大な豚のモンスターが代用品になるようだ。

試しにオークとホッグの両方の肉を購入して味を比べようと思った。

肉は初日に食べられる量だけにしておいた。

夜はオークとホッグのステーキにする予定だ。

そして、保存が利くお米も多めに、肉より日持ちする野菜も購入しておいた。

2頭の馬用の干草をも忘れずに購入しておいた。

干草を馬車の中に敷いて振動を緩和するつもりだ。

なにより七海が水を出せるのありがたい。

七海のおかげで旅に最も欠かせない水の心配をする必要が無い。



買い物を終えイゼリアを後にした。

街道は現代のようなアスファルトで舗装はされていないが、なだらかで凸凹などはほとんど無かった。

道幅も広く何台もの馬車とすれ違ったが充分な道幅があり余程大型の馬車でない限り問題は無さそうだ。

時折、馬に跨った者が追い越していくが、それも騎士などではなく一般冒険者のようだった。


太陽が真上に到達したとき、休憩に良さそうな小高い丘があり昼食を取ることにした。

昼間から豚汁で申し訳ないと思うがレパートリーが無いのでみんなに我慢してもらおう。

付近にあった石を積んで釜戸を作り鍋に水を入れてもらい火を点け沸騰するまでの間にオーク肉を切り野菜も切り分けておいた。

スキルの力は素晴らしく、調理をした事のない俺でも肉や野菜の旨みが最大限に発揮できるサイズ、切り方が分かってしまうのだが、

包丁の使い方があまり上手くなく、隣で見ていた七海が危なっかしくて見ていられないとのたまわった。

そうこうしている間に豚汁も完成!!


「おっ、またレベルが上がったぞ!」


「なに? 碧、お前のレベルの上がり方、早くないか?」


「まだレベルが低いからだろ。カレーライスを覚えたぞ! おっ、フライパンが追加された」


「うわーーカレーライス食べたいな~ 夜はカレー?」


「俺もカレー作ってみたいがカレー用の調味料・スパイスを買ってないからな。将太、諦めろ」


「う~~ん、残念。アオ君のスキルでカレー作ったら凄いことになりそうなんだけど」


「イラークの町で材料を調達しよう。レシピを覚えていないけど夜はフライパンが入ったことだしオークとホッグのソテーを作ってみるか?」


「俺は、飯は碧いに任せるよ。何でも良いぞ」


「大イモムシのてんぷらでも良いのか?」


「それはダメ」

「それはイカンでゴザル」

「やめてーーーー」


智弘、則之、七海が一斉に反対の声を上げた。

3人とも心に深い傷を追っているようだ。


「ちょっと気になったんだけど。アオ君がレベル上がるたびに何かオマケが贈られてくるのかな?」


「分からないけど、レベルが上がるたびに何か贈られてきたら荷物だらけになりそうだよな」


「マジックバッグでも欲しいな」


「智弘、なんだマジックバッグって?」


「色々と収納できるバッグだよ。サイズは普通だけど馬車一個分とか家一個分の物が収納できるんだよ。

異世界ものでお決まりのアイテムだよ。しかも中に入れておけば時間経過しない。

暖かい物は暖かいまま、冷たい物は冷たいまま」


「なにそれ、凄く欲しい!!そんな便利なものがあるといいな。旅も一段と楽になるな」


「それと同じ魔法が空間収納というのがあるんだけどクラスの奴らも誰も持っていな様子だったな。

七海、お前ならあるんじゃないか?」


「え? ちょっと待って・・・・・・・・・無いよ。そんな魔法」


「そうか・・・・・・おい、七海、今の間は何だったんだ?」


「え?今、自分のステータスを見たんだけど」


「ええええええ、お前、自分のステータス見えるの?」


「うん、見えたけど」


「七海、お前は最初から見えたのか?」


「ステータス画面?を意識したら見えたけど。今、はじめて試してみたから」


智弘が試しにステータスを意識してみる。





「あ、見える。いつ見えるようになったんだ?この前までは見えなかったのに」


俺も女神の間のときのように目の前にパネルがあるようにイメージしてみた。


「おお、見えるぞ」


 白田 碧


【 職 業 】 学生

【 レベル 】  3

【 H  P 】 45

【 M  P 】  0

【 体 力 】 35 

【 魔 力 】  0 

【 攻撃力 】 40 

【 防御力 】 30

【 俊敏性 】 30


        耐冷 +20【豚汁】


  スキル    料理1

  魔法     なし

 アイテム   とても便利なキッチンセット【オマケつき】 

       

        オマケ内容


     1 自ステータス閲覧付与

       とても便利なキッチンセットで白田 碧が作った料理を食べると、

       食べた者は自分のステータスを見ることが出来る。

       ただし、相互に信頼関係が築かれている者のみ。


      2 ステータスアップ作用

       とても便利なキッチンセットで白田 碧が作った料理を食べると、

       食べた者は各ステータスが1上がる。

       ただし、相互に信頼関係が築かれている者のみ。


      3 とても便利なキッチンセットでレシピ通り、

       白田 碧が作った料理を食べると、

       食べた者は一定時間ステータスが上がる。  

       どのステータスが上がるか、上がる量は料理によって異なる。


      4  レベルが上がると異世界の物を購入できるようになる。



と、みんなに説明した。


「おい、碧、ちょっと待て!」



【 職 業 】 魔法少女

【 レベル 】  2

【 H  P 】  42

【 M  P 】  82

【 体 力 】  32

【 魔 力 】  42

【 攻撃力 】 32

【 防御力 】  32

【 俊敏性 】  42

【 女体化 】  2

      

         耐冷 +20【豚汁】


  魔法 

×初級日常魔法【ファイヤー ウォーター アースクリエイト】

 ○ヒール ×ハイヒール ×エクストラハイヒール

    ○ファイヤーボール ×フレイムアロー ×ヘルフレイム

    ×アイスボール ×コールドスプラッシュ ×ウォーターウェイブ


      ×が付いている魔法は女体化が完了するまで使えない。


「見えるようになったぞ」


「あっ、僕も見えた」


「一桁の2という数字は碧殿の料理のおかげでゴザルか?」


「ああ、多分、碧とキッチンセットのおかげだろうな。みんな一桁は2か?」


「そうね」「そうだよ」「そうでゴザル」


「2回食事したからだな」


「でも智弘、1アップだぜ。たかが知れているよ」


「おいおい、碧、これは凄いチートだぞ!!一度食事するだけ全ステータスが1上がるんだぜ。

100回食事したら100だぞ!! 力が上がりにくい魔法使いも確実に上がるんだぜ。

これは凄いチートだよ」


「そ、そうか・・・・・・なんか地味だな。俺にはそのチートの恩恵が入らないんだぞ。

何か損した気分なんだけど」


「バフ何てもんじゃないぞ。常にステータスが上がるのだから、最強のバフ・プレイヤーだぞ!!」


「何だかな~・・・・・・みんなが喜んでくれるのならいいけど」




「僕、気になったんだけど女体化って・・・・・女になっちゃうの?僕、嫌だよ」」


「我輩も女体化は遠慮したいでゴザルな」


「2ということは碧の作った料理を食べると女性化するということだろうな。俺は願ったり叶ったりだけどな」

智弘、お前は筋金入りのヘンタイだ。


「私は人間化になっているから、白田君のご飯を食べていると元に戻れるのかな?」


「俺の料理で元に戻れるのだったら、いくらでも作るぞ」


「女になるのは嫌だな。僕、どうしたらいいんだろう」


「我輩も・・・・・」



俺、智弘、七海の料理は俺が作り、将太、則之の料理は俺以外が作ることで落ち着いた。


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