第41話 真の異世界デビュー戦 らうんど3


うん。先の戦いは引き分けだ!

引き分けだ!!

誰がなんと言おうと引き分けだ!!!


・・・・・・シャベルで戦っていたときは1匹くらい片付けることができたのに。

まぐろ君も泣いていることだろう。

俺の心はもっと泣いていた。。


「碧、無理して前に出る必要ないぞ。お前、攻撃ばかりで守備を考えてないだろう!

防具を装備できないんだから危険な事するなよ」

と厳しい・・・・・いや、現実を智弘は告げる。


昨日の「ナミラー、カレー征服計画」の合間に武器屋へ行ったのだが・・・・・

予想通り鎧は装備することができなかった。

装備出来るには出来るのだが動くことが出来ないのだ。

的にしかならない状態であった。


「智弘、お前だってローブの下はヘンタイルックのままだろ」


「俺は俊敏さに優れているから回避することが出来るんだよ。

それにヘンタイルックと言って馬鹿にするが、この服は並みの鎧より防御力高いぞ!」


エッ!マジか。ヘンタイにしか見えないその服が!!

女神様の基準がよく判らなくなってきた。


女神様、俺にもキッチンセットのオマケで強力な武器・防具くれないかな。

武器、防具、武器、防具、武器・・・・・・・・



閃いた!!

さっきの中華鍋を楯にするのはどうだ!!

頑丈そうな中華鍋だ。

コレはいけるのでは無いか!!



「ジャジャーーン!! みんな!どうだ!!この中華鍋、いい楯代わりになるだろ!」


と俺は自慢げに見せた。


「ぶわはははははは! いいよ! 碧、それ最高!ぶわははははは」


こいつ馬鹿笑いしやがって!ヘンタイルックのこいつに言われるのだけは納得がいかない。


「アオ君、お笑いで戦っていると大怪我するよ」


将太!お前もか。


「白田君、お鍋で大丈夫? 危ないんじゃないかな~」


う、七海まで。


「あ、あ、碧殿、無理は危険でゴザルよ」


き、き、貴様らーーー!! 女神様からの贈り物をなめるなよ!!


「おい、智弘、お前のマジカルなんちゃらでブン殴って来い!! 中華鍋で受けてやるぜ」


「マジか? 加減しながら叩いてみるな」

智弘はマジカルステッキをバトントワリングの要領で伸ばし3割くらいの力で中華鍋を構える俺をブッ叩いてきた。


ガンッ


という金属同士がぶつかり合う音を響かせた。

中華鍋は凹むことなく傷も付いていない。


「今度は5分くらいな」


ガンッ


「まだいけそうだ」


「じゃ、8割くらいで」


ガンッッ!


先ほどより重い音と衝撃がする。


「さすが女神様の贈り物だ、なんともないぜ!」


「全力行くか?」


「いや、止めておこう。鍋より俺の腕が折れそうだ」


智弘のマジカルなんちゃらの一撃は岩をも砕くので鍋より先に俺の腕が洒落にならないことになりそうだったので止めておいた。


「これなら防御力ありそうね。多少の攻撃は防げそうね。体への攻撃が心配だけど。白田君、あまり無理はしないでね」


「そうでゴザル、無理して前に出る必要は無いでゴザルよ。我輩に任せるでゴザル」


「HPと体力だけは無駄にあるからな~ 少しは戦闘でも働かないとな」






と、そこへいきなり4匹のオークが襲い掛かってきた。


身を伏せこちらに感ずかれないように慎重に距離を詰めてきやがたった。

戦いなれしてる奴らのようだ。


ブヒーー

と叫びながら1匹が則之に襲い掛かる。

が、不意をつかれようが則之は平然とくじら君を持って相対した。


1匹は智弘に、もう一匹は将太へ相対していた。

早く、将太と豚の間に割り込まなくては。



ボン!


「キャーッ!」


「七海ーーーーーーー!」

七海が棍棒でぶっ飛ばされた。

10mは飛ばされたろうか。


「この野郎!!」


七海をブッ飛ばした豚野郎に斬りかかった。まぐろ君が豚野郎の兜に命中!

その衝撃で兜は二つに割れ落ちた。

なんと豚野郎の髪の毛は金髪ではないか!

髪の毛が生えているオークは初めて見た。

しかも、金髪だと!!

この豚、人間様をなめやがって!!

金髪豚野郎がニヤリと笑い俺へターゲットを絞った。


ブン! ブン! ブン! と俺の周りに棍棒が振り下ろされる。

棍棒を正面から受けるほど俺もマヌケでは無い。

避けられる限り、避けるのだ。

金髪豚野郎と距離をおき、まぐろ君を地面に突き刺し、手の平にサックブラッド・ナイフをイメージした。

ナイフを金髪豚野郎に投げつける。


「往生せいや!」


カーン


「クソがっ!!」


ナイフが空に消えていく、特大ホームランを打ちやがった。

もう一度、ニヤリと笑ったではないか!


この金髪クソ豚野郎! 七海に続いて俺のナイフまでブッ飛ばしやがって。

あわててまぐろ君を引き抜き斬りつける。

棍棒で受け止められた。

マズイ。棍棒に刺さり抜けない。

金髪クソ豚野郎は棍棒をブンブン振り回すと俺の体まで宙に浮いてしまった。

とうとう片手でまぐろ君を掴みきれずに手放してしまった。

ヤバイ。これはマジでヤバイ。

金髪クソ豚野郎はまぐろ君が刺さったまま棍棒を振り下ろそうとしたとき。


「ブラストチェンバー!!」


金髪クソ豚野郎を風の部屋が包み、バシュ! ブシュ! と嫌な音が聞こえた。

どうやら金髪クソ豚野郎は星になったようだ。


「痛~~い。もう、オークって馬鹿力なんだから」


と七海が文句を言っているが何も無かったように立っていた。


将太は!将太はどうした?


将太もオークでは分が悪いようで防戦一方だった。

まぐろ君を持ち将太のとこへ駆け寄りオークの脇腹を刺し、斬り上げると血を噴出し片膝をついた。

返り血で俺は赤く染まり将太も返り血を浴びていた。

返り血のおかげでサックブラッド・ナイフを思い出すことが出来た。

ナイフを呼び戻し肩口に突き刺した。

その瞬間、オークは前のめりにバタリと倒れた。

何とかオークを討伐することが出来た。


「七海、大丈夫か?」


「大丈夫よ。リッチは殴られたくらいじゃ何ともないから。聖属性の攻撃以外効かないわ」


なんか羨ましい。

それでも痛みはあるようだ。

殴られた脇腹を擦っている。


あの金髪クソ豚野郎は倒すことが出来なかったが将太と一緒にオークを倒すことが出来たんだ。

今日は俺の勝利という事にしておこう。


俺の勝利でいいよな!

いいよな!!

いいよな!!!

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