第199話 大人の時間


メアリーはソファーから立ち上がると、ご隠居様もビシッと背筋を伸ばしメアリーよりも早く立ち上がった。


「スケさん、カクさんは私とご隠居様が戻ってくるまで、その報告書に目を通しておいてください」


「「おう」」


と二人はスッキリした顔でソファーに座ると手を上げた。


「グロリア。ソアラを呼んできて。

 私はソアラに相手をしてもらうわ。

 私たちもご隠居様と一緒の部屋でいいわ!」


「メアリー様、部屋なら用意します!!」


「あら~だって、部屋の清掃も大変でしょ。

 ご隠居様も大丈夫ですよね。 相部屋で!」


「お、おう~~、いいぞ!いいぞ!!」


とご隠居様のスケベ心はMAXになりテンションが上がった。


「では、こちらの部屋へ」

とグロリアはしぶしぶと案内するのであった。

そしてセリカにソアラを呼びに行かせた。


ご隠居様は部屋に入るなり服を脱ぎ臨戦態勢を整え、ベッドにうつぶせに寝た。

ほどなくしてソアラが部屋にやってきた。


「メアリー様、私で宜しいのでしょうか?」


「私が実地で試験をしてあげるわ。

 グロリアのように甘くは無いわよ」


「は、はい!!」


とソアラは裏返りそうな声で返事をした。


するする

とメアリーが服を脱ぐ音が聞こえる。

ご隠居様がうつぶせになりながら、おメアのほうを見ようとした瞬間、グロリアが「ううん」と咳払いをしながらご隠居様の頭の向きを元の位置に戻す。


おメアもベッドの上にうつぶせに寝るとソアラはおメアのふくらはぎにオイルを垂らし丹念に揉み始めた。

グロリアもご隠居様のふくらはぎにオイルを垂らし強く強く押し始めた。


「メアリー様、歩き旅でふくらはぎパンパンに張っていますね。

 メアリー様こそ、お体を労わってくださいね」


「あ~~ソアラ、上手いわね~~ 程良い力加減ですよ」


「ありがとうございます。メアリー様」



隣では


「いた、痛い、痛い!! グロリア、もう少し優しく!!」


「ご隠居様もカチカチですね~

 張りをグイグイとほぐして差し上げますわ!」



ご隠居様の体は80過ぎとは思えないほど筋肉が発達している。

ふくらはぎはもちろんのこと太もも、大胸筋、肩など・・・・

いや、男の体の話なんかどうでもいいのでこの辺にしておこう。



「痛い、痛い、痛い!もっと優しくしてくれんかの~~」


「メアリー様の裸体を見ようとした罰ですよ!」


「男なら誰でもおメアの裸体を見たいと思うじゃろうが!」


「もう、ご隠居様は枯れている年齢だと思うのですけど!?」


「何を言う!グロリア!ワシはまだまだ現役じゃ!!」


「ご隠居様ももう少し体を労わってくださいね」


「グロリア、ありがとう~

 お前からも言ってくれ

『老人に長時間歩かせるのは酷』だと

 おメアは空を飛んでいかせてくれんのじゃ~」


と毒づくと


「ご隠居様、それはダメに決まっているではないですか。

 ほとんどの人間は空を飛びませんよ。

 4人もいっぺんに飛んでいたら怪しまれるではないですか!」


そして、グロリアとソアラはふくらはぎから膝の裏のツボを押し始めた。


「あ~~いいわ~ ソアラ!

 そこそこ。良い塩梅の押し加減!

 さすが、グロリアね! 教え方が上手いのね~」


「メアリー様、ありがとうございます。

 ご隠居様、ここですね~~」


グイ!

とグロリアがご隠居様のツボを強く押す。


「ウギャーーーー!

 痛い! 痛い!!

 グロリア、教え方が上手いのになぜそんなに力を入れる!」


「サービスですよ!ご隠居様。 サービス!!」


「グ、グ、グロリア!そんなサービスはいらん!」


ソアラはふくらはぎから太ももを揉みだした。

堅さと柔らかさを備えたモデルのようなセクシーな足をしていた。

一通り太ももを揉んだ後、ふくらはぎから太ももへ下から押し上げた。


「あ~~~効く効く! ソアラ、上手いわね~

 力加減が絶妙ね~」


「あ~~~グロリア、痛い、痛い!

 もう少し優しく!」


「何言っているんですか!

 ちょっと強いくらいの方が気持ちいいんですよ!!」


「ちょ、ちょ、ちょっと待て! グロリア!

 ワシはスケさん、カクさんのような『M』じゃないんじゃぞ!

 ノーマルじゃ!」


「あ~ら悪魔族の男は全員、『ドM』だと思っておりましたわ」


と、なおもグロリアはグイグイと力を入れて揉みまくりご隠居様の悲鳴が館に響き渡るのであった。




「あ~~スッキリしたわ!

 ソアラ、合格ね!

 これならお店に出ても問題ないわね」

とメアリーはソアラに合格点を与えた。


「メアリー様、ありがとうございます」


とソアラは可愛いお辞儀をした。



「ううう、もう、グロリアを指名するのは止めておこう」


「何言っているんですか! ご隠居様!

 ナミラーに来れば私がご隠居様専属ですよ」


とグロリアは悪魔の微笑をご隠居様に向けた。


マッサージを初める前と異なりご隠居様の目は死んだ魚のようだった。


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