第220話 ミリア in 装甲車
「なんじゃ、そなた達は異世界人ということか。
異世界から転移してきたと。 それは難儀じゃの~」
旅に加わったミリアに俺たちの事を話した。
ミリアは興味深そうに俺たちの話を聞き入った。
「この装甲車ってヤツも凄く便利じゃの~
こんなに速く地面を走れる乗り物があるとは異世界文明、恐るべし!!
そなた達が元の世界に帰ったら
「軽油という燃料がないと走らないからな」
「それも一緒に欲しいのじゃ!」
ミリアは装甲車がやたらと気に入ったようだった。
「で、碧! お前が勇者・茜の兄と言うのは間違いないのか?」
「あぁ! 勇者・茜は俺の妹だ。
証拠があのマシンガンだ」
と運転しながら装甲車のダッシュボードの上に置いてあるマシンガンを指した。
「それでクリムゾンの紅姫を倒そうとしているのだな!
が、ちと厳しいかも知れんな!
いくらマシンガンがそなたらの世界の殺戮兵器としても勇者・茜を倒したと言われている紅姫相手じゃ火力不足じゃろうな」
ミリアの指摘ももっともだ。
俺自身もマシンガンで紅姫を倒せるなんて思ってはいない。
配下であるジルド・ブラドーにダメージ一つ与えることが出来なかったのだから、その親分たる紅姫にマシンガンが通用するなんて思ってはいない。
「なぁ~ミリア、メテオならどうだ?」
「メテオか・・・・・メテオなら倒せるやもしれぬ」
「ふむふむ。そうか。
なら、俺がメテオを使えるとしたらどうだ?」
「なにーーーーーー!
そなたは禁忌の呪文と言われているメテオを使えるのか!!」
「まぁ~正確に言うとインチキ・メテオだが」
「なんじゃ?それは!」
「メテオって言うのは隕石を落下させるんだろ」
「そうじゃ!」
「空から巨大な岩が降ってくれば良いわけだろ」
「まぁ~ざっくり言えばそうなるな」
「俺のマジックバッグは100mサイズの岩を収納出来るんだよ。
智弘に上空1km、2kmまで運んでもらい、そこから100mの岩を落とす!
俺はこれを『物理・メテオ』と呼んでいるけどな」
「なんと!!」
この物理メテオには難点がある。
マジクッランドセルについては何の問題もない
湖の水をすべて取り込めるので問題は無い。
問題は10mを超える岩石はほとんど見つけることが出来ない。
5mサイズの物は川原に行けば転がっているが10mを越す物は少ない。
ましてや50mサイズはほとんど見つからない。
ルホストで使った物は則之に崖を削り取ってもらった物だ。
マジックランドセルの中には、そのとき削り出してもらった超特大の100mサイズの物が入っている。
その直特大100mサイズは
「この戦法でルホストの町を塵にしたけどな」
「お、お、お主!
よくもそんな残酷な事を・・・心は痛まないのか?」
「凄く痛む。苦しいほど痛んだ。
が、先にナミラーの町へ侵攻したのはガルメニアだからな。
あの町には顔なじみの人が多くいたから・・・・
七海や将太もいたからな!
殺さなければ、殺されていたかもしれない」
「そうか・・・・・お主は特に難儀じゃの~
まぁ、紅姫は任せておけ!
ぽっと出の小娘なんぞより『真祖のヴァンパイア』である
「なぁ~ミリア、お前! 真祖、真祖っていうけど『真祖のヴァンパイア』と『普通のヴァンパイア』って何が違うんだ?」
「なんじゃ~お主! そんなことも知らんのか!」
「俺、ファンタジーに興味ねーから!」
と左手首を一度下から上に面倒臭そうに一度振った。
「つれないの~」
とミリアは俺の膝の上でガッカリしたように言った。
「『真祖のヴァンパイア』ってのは、『始祖のヴァンパイア』の直系ということだよ」
智弘が運転席の方へ顔を出しながら話し出した。
「始祖と言うのはヴァンパイアの一番最初の固体だ。
その始祖の直系を『真祖』と言うんだよ。
『真祖』が何人いるか知らないが他のヴァンパイアたちよりは魔力も格も上である事は間違いないということだ」
「ちっこいの! よく知っておるな~
じゃから、敬って媚びへつらうんじゃぞ!」
「ジャリのくせに偉いんだな!
で、その『真祖のヴァンパイア様』はいつまで俺の膝の上に座っているんだ!
運転するのに邪魔で仕方ないんだよ!! 降りろ!!
七海!こいつを引き取ってくれ!」
と助手席に座る七海に言うと子供を抱っこするように引き取ってくれた。
「離せ! 離すのじゃ!! デカ乳もこの男を狙っているんだろ!
渡さんぞ! 碧は
「お前!何ふざけたこと言ってるんだ!
七海、俺の代わりにアイアンクローを噛ましておいてくれ!」
「ミリアさん、デカ乳は止めてください!
コンプレックスなんですから」
「何をおっしゃる!七海さん!! それは誉め言葉ですよ!!
ミリアのようなペッタン娘と比べれば言わずもがな!ですから」
「う~~ん、何かそれも引っかかるのですよね~」
と七海はミリアを膝の上に置きながら頭を撫でた。
「そなた達、
「あーはいはい。『3000歳のいい女』の割には寂しい体型だな!
いつになったら七海みたいにバインバインになるのですか?」
「あと2000年くらいじゃな」
「あぁ!? お前がバインバインになったときには俺はとっくにおっちんでるよ!!」
「それで、後にいる3人は本当に元男なのか?
一人はガキじゃがデカイ金髪と緑髪はなかなかの美女じゃと思うのだが」
「ジャリのお前が智弘をガキ扱いかよ!
緑髪の将太は元々美少年と言われていたけど、ちっこいのとでっかいのは不細工なチビデブとゴリラみたいな大男だったけどな」
「碧くん、口が悪い」
と七海はクスクス笑った。
「なぜ、女になったんじゃ?」
俺がキッチンセットを取ったことから始まった悲劇の一部始終をミリアに説明した。
「そなたらは、本当に難儀じゃの~
じゃが、パーティーとしてバランスは良いのかもしれんの~
碧、お前が盾役、ちっこいのとでっかいのが物理的アタッカー、将太が回復、デカ乳が魔法攻撃。
バランスが取れていると思うぞ」
「でも、私・・・・前ほど魔力が無いから、もうあまり役に立てなくて」
七海は下を向いてしまった。
「何言ってるんだ、七海がいなかったらズガーンダムに踏みつけられていたよ。
何度、七海に助けられたか。
もう、七海は前に立って戦う事はしなくていいからな。
ミリア、お前、『真祖のヴァンパイア』とか言っていたから魔法の一つ二つ使えるんだろ!
お前が頑張れ!
俺の血を吸うんだから働け!」
「おう! 任せろ!
「ミリアちゃん、子供なんだから、そんな危険な事はしないで!」
「
敬って媚びへつらうように!」
「ミリア、お前、そればっかりだな!」
「ねぇ、アオ君。この辺だと思うけど・・・ちょっと、止めてくれない」
と今度は将太が運転席を覗き込み言い出した。
そう。多分、ここはあの辺りだろう。
将太の運命を変えた。
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