第119話 王族と言えば政略結婚
茜は加奈の馬の後ろに飛び乗ると
「王子~~! 今の綺麗な人はウインレルのお姫様なの?」
「はい、アリア第一王女殿下です。幼い頃からロゼ教会で修行をされ聖女として奉仕されています」
「聖女様なの・・・・・・詩織とキャラ丸被りじゃない。
詩織・・・影が薄くなっちゃう」
「王子様、なんか訳有りの様に見えたのですが?」
加奈がアルファに聞く。
「アリア様は私の婚約者なのです」
えーーーー
エ~~~~!
「王子、憎いね~~、さすが色男! 私にチャームの魔法を掛けた極悪人には見えないわね」
「その話は・・・申し訳ありません。茜様。王に危険が及ぶのを・・・・・」
「あぁ、いいのいいの。王子が悪い人では無いと言うのが良く分かったから。
大切な人たちを守ろうとしたのよね。うんうん」
と一人納得する茜であった。
「で、まさかチャームの呪文を掛けちゃったとか?」
「いえ、呪文などそのような事は・・・・」
「ウインレルと今まで以上に親密になるのですね」
と加奈が聞くと
「そうなのですが・・・・」
アルファは歯切れが悪い。
「なになに?恋の悩み?? それなら『恋愛マスターの茜ちゃん』に任せなさい!」
「いえ、そういう訳ではないのです・・・・」
「ファイレル、ウインレル、ウオレルが3大王国でしたっけ?・・・・・バランスが崩れると」
「さすが、加奈殿。さすが未来のファイレル国宰相」
「え?? なにそれ?今はじめて聞いたのですけど」
「マストンが『加奈殿がハルフェルナに残っていただけたら何れ宰相になってもらいたい』と宴の席で話していたのですよ。ハハハ」
「ダメよ、加奈は私の専属マネージャーだから渡さないわよ!!」
「分かっておりますよ。茜様」
と笑いながら答えた。
「ウオレル国があぶれちゃうと」
「今は魔王の問題で国家間の争いなどしていられないのですが、それでもバランスが崩れるのはマズイのですよ」
「王子様がウオレルのお姫様も娶ったらどうです?第一王妃、第二王妃と言う形で」
「第一、第二で序列が出来るのもマズイのですよ。ウオレル王家はプライドが高いので・・・・・」
「ベルファ王子とウオレルのお姫様を結婚させると言うのは?」
「ベルファをアクア王女殿下と婚姻させるのは・・・・・・」
「え?アクア王女殿下は何か問題でも?」
「ベルファの性格だと確実に尻に敷かれます」
「じゃじゃ馬なのね」
と言うと後ろを振り向き茜を見た。
茜は何よ!と言う顔をした。
「アクア王女殿下は『姫騎士』と言われており、常に最前線で戦うことを是としている女傑なのです。
年齢も25を過ぎており・・・・ベルファとは年齢が離れすぎているのです」
「うわ~確かに年が離れすぎているわね~逆なら問題ないけど」
「王族の結婚は色々大変なのね。
私はお兄ちゃんさえいれば何でもいいけどね~」
「茜、何言ってるの!兄妹では結婚できないでしょ!」
「いいの!! 結婚は離婚があるけど兄妹はいつまでも兄妹だから!!」
「そうなのですか、茜様たちの世界では兄妹で結婚できないのですか~」
「へ??こっちの世界は出来るの?」
「王族の血を濃く残すために私の祖父たちは兄妹で結婚しました。
ファイレル王家は騎士の血筋。
あぁ見えても父・グレーコ2世は若い頃、『白銀のグレーコ』と武名を轟かせていました。
貴族も同じです。自分の家の血を濃く残すために近親で結婚する家も多いのです」
えええええ
えーーーー
と茜と加奈が驚いたのであった。
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