第146話 カミラーズ人


「気をつけろ! 奴は異世界からの召喚者だ!!」

とブラドーが答えた。


「えっ! 肌が水色なんですけど! 何人?」

「どこの人なのよ!!・・・・・ハルフェルナ、分からないわ」


と茜と加奈が驚く。


「何人? 何言っているんだ!

 お前たちこそ肌の色がベージュなんて劣等人種の証拠じゃないか!

 劣等人種は大人しく支配されていろ!

 奴隷のように!」


と10歳ほどの少年は馬を下りたかと思うと目にも留まらぬ速さで加奈の後ろに回りスカートを捲くった。


「お、くまさんか」


「キャーー何すんのエロガキ!!」


「年増のおばさんが喚くなよ!」


「年増とは何よ。まだ16歳よ」


「16にも成って幼稚なパンツ履いているなよ」


「ムカつくガキねーー」

と加奈と異世界から来た水色の肌の少年がやりあう。


「こっちのお姉さんはどんなパンツかな?」

と少年は瞬間移動でもしたのかと言う速さで茜のスカートに両手をかける。


が、捲ることが出来ない。

スカートの裾を掴み力を入れて捲る、いや、持ち上げようとしてもスカートの裾はビクともしなかった。


肌が水色の少年は


えっ?

と言う顔をした瞬間、


ガシッ!


と茜は少年の頭にアイアンクローを噛まし持ち上げた。


「痛い、痛い、離せ! ババー」


少年は両手で頭を掴む茜の手を抑え足をバタバタとさせながら叫ぶ。


カチーーーン!


「僕、この綺麗なお姉さんにふざけた事をしようとしたでしょ。

 私にエッチな事をしても許されるのはお兄ちゃんだけなの」


「お兄ちゃん!?、お前、兄弟で・・・・ヘンタイじゃないか! キモおばさんだ」


茜は指先に一段と力を入れる。


ピキピキ


「痛い、痛い、止めろーババー!!」


「一度ならず二回も言ったわね! お仕置きが必要ね!」


と茜は片膝を付き少年のスボンのお尻を出し膝の上に乗せるとパシン!パシン!お尻を叩き出した。


「痛い、痛い、止めろー ババー」


バシン!バシン!


さっきより力を込めて叩き出した。


「痛い、痛い、痛いよーーーー」


「あ、あ、茜、その辺にしておいて上げなさいよ」

あまりの剣幕に加奈が止めに入る。


「ごめんなさいは!! 『綺麗なお姉さん、ごめんなさい!』 っわ!」


「自分で、綺麗とか言うかよ!!」


バン!バン!バン!!


一段と茜の力が強くなっていく。


「ご、ご、ごめんなさい。綺麗なお姉さん、ごめんなさい!」


「もう二度と言いません。綺麗なお姉さん! っわ!


「もう二度と言いません、綺麗なお姉さん」

と少年は涙を流しながら言わされた。

茜は叩くのを止め少年を解放した。

少年はズボンを履き直すと茜の元から離れた。


「いてーな! 覚えていろよ、クソババー」

お尻を摩り逃げながら言った瞬間。


ガシッ!


瞬間的に距離を詰めアイアンクローを噛ました。


「いて、いて、いて。離せよ、クソババー」


「二度と言わないって誓ったわよね! 数秒前に誓ったわよね。

 お兄ちゃんに怒られたとき言っていたのよね~

 『茜ちゃん、三度目は無いよ』って。

 僕、どういう意味か分かる?

 二回同じ事を繰り返した人は許さなくて良いってことなのよ。

 『仏の顔も三度まで』なんていう甘いことじゃないのよ」


「そんな言葉知らねーよ」


「なら、教えてあげる。『仏の顔も三度まで』とか、世間一般の『三度目は無い』と言うのは三度目には怒られると言うことよ。

白田家の『三度目は無い』っていうのは、『二回同じ事を繰り返したらその時に処分しなさい』と言う意味よ!

 だから『三度目は永久に来ない』と言う意味なの分かった!?

 だから今から処分してあげる」


と言うと茜は少年を掴んだまま腕を回転させた。


「あ、あ、茜、許して上げなよ。子供なんだから」


「茜ちゃんに三度目は無い!!」

と言うと回転速度をいっそう速めた。

そして、ウオレルの城の方を目掛け少年を投げ飛ばした。


「お   ぼ        え・・・・・・・」


少年の声を最後まで聞き取る事は出来なかった。


「あーあ、あの子、星になちゃったじゃない」

と加奈が言うと。


「だって、しょうがないじゃない。ピチピチの女子高生をおばさん扱いしたのよ。

 天誅よ!天誅!!」


「さすが、姫様! 異世界からの召喚者をものともしないなんて!」


「ブラドーさん、姫様なんて止めてよ。背筋が寒くなるわ。

 それより、今の子、肌が水色だったよね。

 私たちの世界にはそんな肌の色の人いなかったわよ。

 異世界って言ったのよね~」


「確かに言いました。カミラーズ人だと。 5人とも肌の色は水色でした」


「私たちとは違う異世界からの召喚者ということなのかな?」


「多分、そうね。異世界が私たちの世界とハルフェルナの二つだけとは限らないからね」

と加奈が答える。


「ブラドーさんもあの召喚者たちにやられたの?」


「はい、面目ございません。5人がかりで多勢に無勢・・・・為す術なくやられてしまいました」


「一騎打ちだったら?」


「負けません!」


「キャーー、頼もしい~~ さすが強欲の魔王・ブラドーさん」


「姫様、茶化さないでください」


「あの子たちも女神様が召喚したのでしょうか?」


「どうでしょうか?そうかもしれませんが、この世界には何人もの神がいますから違う神が召喚したのかもしれません」


「神様も沢山居るのね・・・・

 うん!ハルフェルナ、よく分からない!」

と、もう満面の笑顔で諦めたように加奈は言った。


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