第187話 オリタリア共和国・首都リーパス
オリタリア共和国の首都リーパスに到着するとナミラーの騎士団長のヘルムートさんが迎えてくれた。
リーパスへの報告と今後のガルメニアとの戦いに備え一時的に戻ってきたそうだ。
オリタリアの方でも我々に気を使ってくれたこともあると思う。
すぐに大統領とは面会できるわけではなく2,3日時間がかかるそうだ。
大統領の予定がつくまでヘルムートさんは「ナミラー防衛の英雄としてパレードでもしましょうか?」とか言っていたが俺たちは丁重にお断りさせていただいた。
変に目立つのは好ましくない。
異世界からの転移者としては出来る限り、影に影に人目を避けていた方が良い。
宿泊するホテルも一流の場所を用意してくれた。
思わず俺たちは、はしゃいでしまった。
ハルフェルナに来てからこんなに良い場所で寝ることは無かった。
食事も一流、風呂も格別、ベッドの広さも半端ない。
部屋の広さと言ったら思わず
「ドッチボールでもやるか?」
とみんなに聞いたくらいだ。
翌日、アレックスさんの父上か俺たちに合いたいということなので時間を作った。。
アレックスさんの実家のマイソール家はオリタリア共和国の中でも、いやハルフェルナでも学問・学術関係で最も有名な名家で当主のロッシさんは学術ギルドの会長さんだそうだ。
仕事中なので学術ギルドまで行く事になったのだが、わざわざアレックスさんが迎えに来てくれた。
お迎えの馬車が凄い、どこかの国のお姫様が乗るような白馬4頭立ての豪勢な馬車が迎えにきた。
こんな馬車で迎えに来るアレックスさんがどれだけ凄いお嬢様なのかと・・・・・
我々と旅をしていたときは髪をまとめ上げ服装も野良着のような格好なのだが、今日のアレックスさんは深窓のお嬢様ルックであった。
本来なら俺達なんて相手にしてもらえないはずなのだが気さくに優しく接してくれる。
素晴らしい人だ!!
俺たちの中で好感度が曝上がりなのは言うまでもない!
馬車の中でアレックスさんが
「うちの父は学者バカなんで、みなさんに色々とご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんがお許しくださいね。
もう碧さんに興味津々で『早く合わせろ』とうるさくて・・・・
夕べもホテルへ押しかけようとしたくらいでご迷惑おかけしたら申し訳ございません」
と綺麗なお辞儀をしてくれた。
「碧、お前、大人気じゃないか!!ははははは」
「止めてくれよ! 俺じゃなくて茜ちゃんのおかげだろ」
「アレックスさん、白田君が茜さんのお兄さんと言う事を知っている方はどれくらいいるのですか?」
七海がアレックスさんに問いかけた。
「我が家で知っているの私と父と家老のセバスだけです。
父もまだ学術ギルドの方には話していません」
俺と茜ちゃんの関係を知っているハルフェルナ人はこれで
ヘルムートさん、アイゼー将軍、大統領とナミラー商業ギルド長のネーナさん合わせて合計7人
俺と茜ちゃんの関係は公にされると色々とマズイ。
絶対に余計な事に巻き込まれるのは分かっている。
リーパスはハルフェルナでも最も栄えている街と言われている。
現代日本のような高層ビルは無いが街の作り方が区画単位で整備されており今までに寄ったどの街よりも発展しているように見える。
区画は政治区、学術区、生産区、住宅区に綺麗に分かれている。
お店などは住宅区内に配置されており日々の暮らしとても便利に思える。
学術ギルドはもちろん学術区にあり遠目からも分かる巨大な建物だった。
住宅区から学術区に入った辺りには日本と同じく小、中、高学校があり、小、中は義務教育だそうだ。
おいおい、どこまで日本と同じなんだよ。
学校以外にも色々な研究施設があり、オリタリアの頭脳がここに終結しているようだ。
学校のエリアから学術ギルドへ近づくと雰囲気がいきなり変わる。
中高生などの子供はいなくなり年齢層が一気に上がるのだ。
日本人の感覚でいう大学生と思われる人もいるのだが・・・・・雰囲気が暗い。
思わずオタクですか?と聞きたくなるような・・・
もとい!!学者肌の人が沢山見受けられた。
建物の色も学生街の華やかで無駄のある装飾からグレーばかりの重苦しい・・・・
もとい!質実剛健な建物が多くなった。
何となく分かった。
アレックスさんが美女なのに普段着は地味な服装ばかり着る訳が。
しかも、小汚い格好をいとわない訳が。
この学術区のせいだ!!
この街の雰囲気がアレックスさんを男っぽい格好、小汚い服でも気にしないで着させているのだ!
恐ろしや、学術区!
巨大な建物の巨大な玄関で濃いワインレッド色をしたビロードのようなマントを羽織った50を越えたと思われる背の高い中年男性が立っていた。
その男性は「こっちこっち「と声を上げ手招きしているではないか。
「恥ずかしい。お父さまときたら・・・・・」
とアレックスさんが顔を抑え下を向きながら言った。
ギルドの前で馬車が止まり俺たちは一人一人ゆっくり降りた。
そして俺が降りると
「君が勇者・茜さまの・・・・・うう~~~~ん」
と咳払いをしてそれ以上言うのを止めた。
周りに人がいるので察してくれたようだ。
「みんな、こっちこっち」と手招きをしアカデミーの中へ、会長室へ誘った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます