第35話 ズガーンダム大地に立つ


今、俺はズガーンダムと共に街まで3kmのところにある山陰に隠れるように待機している。


どうやら鈴木が戻ってきたようだ。

ワレトラマンが地面に着地すると揺れる揺れる。

揺れるのは女の胸だけにして欲しい。

ワレトラマンはデカイ。俺のズガーンダムの2倍あるな。


おっ変身が解けた。素っ裸か。

あいつも難儀だな。ハハハハハ。

鈴木が手招きをしているのでズガーンダムの手の平に乗せコクピットまで連れてきた。


「鈴木、お疲れ」


「手はずどおり詰め所は破壊しておいた。魔法部隊も出てきたから叩いておいた。

ゴーレムは一匹も出てこなかったがズガーンダムの敵ではないだろう。

美味しいところは残しておいたぞ」


「了解」


さてさて、俺の出番だ。

ズガーンダムでサンジョウの町へ後詰として敗残兵の排除だ。

俺としては華々しく先陣としてズガーンダムの力を世に知らしめたかったのだが、これも作戦だ。仕方がない。

突入、殲滅の後、ガルメニアの騎士団が占領する事になっている。


It's showtime!!



ズガン! ズガン! ズガン!


地響きを轟かせるように全速で地面を駆ける。

これも作戦のうちだ。

地響きと共に巨大なロボットが迫り来る。

サンジョウの町に恐怖と死を撒き散らすのだ。

鈴木が暴れたおかげで突入する地点の城壁は幅100mほどのガラクタの山になっている。

タイヤや戦車などのキャタピラでは突入は困難だが二足歩行のズガーンダムなら問題は無い。



町に入ると集団的な抵抗はなかったが騎士らしき者がズガーンダムの足に攻撃を仕掛けてくる。

恐ろしい勇気だ。

否、正確にいうとただのアホだ。

俺だったらとっとと逃げるね。

こんな強大な無機質な物体を相手に剣で攻撃を仕掛けるなんてアホ以外の何物でもない。


「巨人の次はゴーレムだ!」

「白いゴーレムが出たぞ!!」

「魔王の襲撃だー!」


何?俺たちは巨人にゴーレムか。

当たっているかもしれないな。

ハルフェルナの住人はワレトラマンもズガーンダムも知るわけがない。

自分達の知っている知識に照らし合わせると巨人にゴーレムと考えるのも不思議では無い。

そう思うなら『魔王』の襲撃だと思っても当然かもしれない。

その間にも騎士たちが剣で俺のズガーンダムの脚を突いてくる。

なまくら刀では超合金ズガンダルウムは傷一つ付かない。

足を一歩踏み出し騎士たちを蹴り飛ばし踏みつける。

しばらく、町の中ほどへ進むとある一点が激しく壊れていた。

多分、ここが騎士団の詰め所なのだろう。

鈴木はここを重点的に破壊することになっていた。

俺はもう少し奥まで進行して町を南と北に分断してあげよう。


ズガン ズガン ズガン


俺の通った後は瓦礫の山。

いきなり、後から強い衝撃を受けた。

モニター後方を見ると全長がズガーンダムの半分くらいの10体ゴーレムが瓦礫を持ち上げていた。


ほほー、面白い。

一方的な破壊に飽き飽きしていたところだ。

そんな石の塊が相手になると思うのか?

近くのゴーレムに拳を振り上げ叩きつけた。


ガゴン


という音と共に砕け散った。

当たり前だ。科学の推を集めたズガーンダムと石ころがが対等に戦えるわけがない。

2,3体を叩き潰した後、ズガーンダムのレーザーサーベルを抜いた。

オレンジ色の光を発したサーベルを水平に一振りすると数匹の石の塊たち胴体から真っ二つになり崩れ落ちた。

一箇所に固まっていたら良い的にしかならないぞ。


そろそろ頃合か。

ズガーンダムの外部スピーカーから語りかけた。


「サンジョウの町の諸君。勝敗は決した。無駄な抵抗は止め降伏したまえ。

これ以上無益な戦いをしても諸君らの死者が増えるだけだ。降伏したまえ」


まだ抵抗を続けるゴーレムがいる。


「まだ交戦するというのなら、戦いを続けようか」


俺はレーザーライフルを抜きゴーレム目掛けて撃った。


ズギューン!!


という音と共にゴーレムは消し飛んだ。

もう一発、残りのゴーレムを目掛け。


ズギューン!!


最後の一体も爆散した。


「これが最後通告だ。無駄な抵抗をやめて報復の意思を示せ。

武器を捨てろ。両手を頭の上に置いて跪け!」


教会らしき建物へレーザーライフルを撃ち込んだ。

ステンドグラスは粉々になり、塔の上にあった鐘は溶け落ちた。

教会は非戦闘員の避難場所になっていただろう。

が、邪教を信仰する人間たちがどうなろうと俺の知ったことでは無い。


ズガーンダムの足元にボロボロになった騎士らしき人物が歩いてきた。

目の前にたどり着くと剣を捨て両手を頭の上にのせ、


「降伏する。これ以上民間人を犠牲にしないで欲しい」


ズガーンダムのカメラでズームアップして顔を見る。

この騎士はサンジョウの騎士団の団長かどうか分からないが、年齢からすると上のほうの役職の人物に見える。

それに続くようにほかの騎士たちも恭順の意思を示した。



ははははは、我が軍は圧倒的では無いか。



俺はズガーンダムのレーザーライフルを空に向かって撃った。

勝利の祝砲&味方騎士団への合図として。




操縦能力値が徐々に0に近づいていくことを星野は知らなかった。


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