第22話 虐殺
街道を進み昼食を取った後、イラークの町が遠くに見えてきた。
そのとき、街道で20匹を超える一角ウサギの群れに遭遇した。
一角ウサギは一斉に俺たちを場所を目指し突撃してきた。
1m近いウサギの20匹を超える大行進。
大地が揺れるとまでは言わないが、迫ってくる様は今の俺たちには脅威でしかなかった。
「アオ君、危ないから馬車にいなよ」
「将太こそ馬車に残れ。誰かが危なくなったらヒールを頼むぞ」
と言って将太を馬車に残しシャベルを握り締め飛び出す。
則之が先頭に立って一角ウサギの先陣を切りつける。
七海は則之より前にいるウサギへ手当たり次第サンダーボルトを落としていく。
則之が討ち漏らしたウサギに智弘がファイヤーボールをお見舞いする。
俺は七海と則之の前に立ち二人の最終防衛ラインという形で、
智弘が討ち漏らしたウサギを俺がシャベルで突き刺すようにして倒す。
何となく形が出来たような気がした。
このフォーメーションなら一番弱い俺でも対処できそうだった。
今回の戦闘は5分も掛からず一角ウサギを全27匹討伐できた。
倒した一角ウサギをギルドで換金する為にマジックランドセルにしまうことにした。
1匹1匹持ち上げるのは大変なのでマジックランドセルを一角ウサギに被せるようにしてみると、
吸い込まれるようにランドセルの中に入り、全27匹問題なくランドセルに入ってしまった。
見てくれは普通のランドセルなのだが収納能力は半端では無い。
智弘の言うとおり異次元にでも繋がっているのだろう。
夕刻前にはイラークの町へ到着し、まずは冒険者ギルドへ向かい仕留めた一角ウサギを引き取ってもらうことにした。
中へ入り【素材買取カウンター】へ行き、受付のアンちゃんに27匹買い取って欲しい旨を伝えると。
「お前たちGランクだろ。よくそんなに倒すことが出来たな。期待のルーキーパーティだな。
で、一角ウサギはどこだ?ギルドが取りに行くと輸送料金を差っぴくことになるからあまり金にならないぞ」
「マジックバッグがあるから大丈夫ですよ」
と耳打ちするように小声で智弘が言った。
「何、ホントか!!ウサギ、全部入ったのか?」
ギルドのアンちゃんは驚いていた。
「じゃ、こっちへ来てくれ」
と言って裏側にある倉庫へ連れて行ってくれた。
倉庫で一角ウサギを全部出すと結構な量になった。
「凄いなぁ~これだけの量が入るマジックバッグはなかなか無いぞ。
近いうちに山へ行ってモンスターの討伐にする予定なので参加してくれないか?」
「俺たちオリタリアへ行かないといけないんですよ。な!」
と智弘に援軍を求めた。
「そうなんですよ。オリタリアへ行って商売を始めようかと」
智弘、ナイス こいつは機転のきく男だ。。
「なんだ、そうなんだ。残念だな。ガルメニアもきな臭くなってきたからな。
最近ではオリタリアへ移住するの奴らも多くなってきてな・・・・・」
「????どうしてですか?」
「何だ、お前ら知らないのか?」
「僕たち凄い田舎から出てきたもので町の話しとかに疎いのですよ」
智弘が上手く誤魔化す。
「フェルナンド王が戦争のために勇者たちを召喚したそうだ。何でも3,40人召喚したそうだ」
「それは多いのですか?」
「多いなんてものじゃない。普通、多くても4,5人だよ。大昔には有ったらしいが10人を超える召喚なんて聞いた事がない。
1人召喚するのに100人の犠牲を必要とするらしいからな」
?!?!?!?!?!?!??!?!?!?!
「ぎ、ぎ、犠牲というのは?」
「お前たち何にも知らないんだな。生贄だよ、生贄」
100人だと! 俺たち35人を召喚するのに3500人を生贄にしたと言うことか!
狂ってる。あの王は狂っている。
「うぷっ」
あまりの話に将太が口を押さえながら部屋を飛び出して言った。
「将太!」
「私が行く」
将太の後を追おうとしたが七海に止められ代わりに行ってくれた。
「シスターのお譲ちゃんには酷な話だな。
ここから北に行ったルホストの町の住人が全員生贄になったそうだ。」
俺と智弘は唖然としていた。
「酷い話でゴザルな。女子供はどうしたでゴザルか?」
「全員生贄だよ。ルホストは一時、ゴーストタウンになったんだよ。今は軍事拠点という名の交易都市だよ。
場所的にもルホストは北へ行けばオリタリア、西にワイハルト帝国、東にイズモニア皇国と隣接している町だからな。
これ幸いと虐殺・・・・おっと生贄にしたのだろうな」
「なぜルホストの住民が生贄に?」
「ガルメニアからオリタリアへの編入を画策していたらしい。なんせフェルナンド王は、ああいう人だろ。
誰もが逃げ出したくなるわな。
それで見せしめの意味もあって住民すべてを生贄にしたのだろうな。
それともオリタリアへの編入を仕向けたか・・・・・
おっと、最後は聞かなかったことにしてくれ。冒険者ギルド仲間だろ」
と受付のアンちゃんがウインクしてみせた。
女、子供まで・・・・・
人では無い。あいつは人間では無い。悪魔だ。あいつこそが魔王だ。
俺たちがこの世界に呼ばれたのはフェルナンドを倒すために呼ばれたのかもしれない。
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