第129話 ローパー戦、その後


「あ~~~~この下等生物、思い出しただけでもムカつくわ!」

まだまだお怒りが収まらない加奈であった。


「アリア様、大丈夫ですか?」

アルファは倒れているアリアの体を抱き寄せ顔を見ながら聞いた。


「アルファ様・・・・・私、穢れてしまいました」

アリアがポツリ言う。


「そんなことありません。これは事故です」


「もう、アルファ様の下へ行く事は出来ません。ロゼ教のシスターとして一生を過そうと思います」


「アリア様の村人たちへ尽くす献身的な姿に深く感動しました。私には・・・・・・」


とアルファとアリア二人で話すことが山のようにありそうなのでお邪魔虫たちはローパーの成れの果てのゲートを調べる事にした。




「下等生物のクセにゲートになったと言う事は知的水準は高かったのね。ヘンタイだけど」

茜が話すと


「このローパー最低です。私、あんなことされてお嫁にいけない」

と詩織は顔を押さえた。


「大丈夫だ、詩織! お前ほどの美少女は引く手あまただ! 織田ならいつでも引き取ってくれるはずだ!」


「おい、茜、それはちょっと酷いぞ。織田は無いだろう。な、詩織」


「うん、織田君はちょっと・・・・・・」


「織田のやつ、詩織の聖水を大事そうに持っていたぞ。時々匂いでも嗅いでいるんじゃないか」


「キャーーーー、止めて!! 茜ちゃん、織田君から取り上げて!」


「だって仕方ないでしょ、一番有効なアンデット対策だから。もし取り上げて対アンデット戦になったら・・・・ね~」

と茜は詩織に返す。


「詩織、諦めろ。茜の言う事は一理ある。命が掛かっているから・・・・・・他にも藤吉と平内も持っているしな」


「あ~~~~~」

と声を上げると詩織の瞳は死者のように生気が無くなっていった。


「茜、このゲート動かせる?」

ファイレルで戦ったゴキングのゲートは動かすことが出来なかったが、このローパーのゲートはゴキングのゲートより一回りは小さそうだ。


「ヘンタイ・ゲートの触るのも気が引けるけど・・・・・」


とゲートを抱きかかえるように両腕で掴むみ


「よっこいっしょ・・・・ふーーーん!ふーーーん!」

と踏ん張りながら持ち上げようとするが動きそうに無い。


「これも動かせないわね」


「これも茜の馬鹿力で動かすことが出来ないか。ゲートは動かせない物の可能性が高いわね。

 レイランさんに頼んでこの洞窟を立ち入り禁止にしてもらいましょう」


「加奈、茜、このゲート私たちが使わせてもらえるのかな? ウインレルと交渉したの?」

千代が疑問を呈した。


「あ~~~~忘れていた。レイランさんに約束しておけば良かった!」


「これじゃ。ファイレル国宰相の地位は遠いわね」


「止めてよ、千代、私はそんなものに成りたくないわよ」


「やっぱり、メアリーをプスッと」


「茜はそればっかりね。・・・・・・最悪、その方法を使うしか無いわね」


「茜、加奈、お前たち、こそっと酷い事を言うな~」

と呆れる千代だった。



「茜様」

とそこへアリアをお姫様抱っこしたアルファが来た。


「お姫様、大丈夫ですか?」


アルファがアリアを地上に下ろす。


「はい、茜様、大丈夫です」


「アリア様はお城に戻った方が良いですね」


「加奈様、私はこのまま皆さんに付いていきます」


「え~~、今、酷い目にあったばかりじゃない! お姫様、危ないよ」


「いえ、茜様。私も皆様のお役に立ちたいと思います」


「姫様、無理です! 足手まといになるだけです。現に今、たいして強くないローパーにドエロイ目に遭わされてヒャインヒャイン言ったばかりじゃないですか」


「茜!!」

加奈があまりにもきつい事を言うので止めに入った。


「もし、姫様が人質に取られたら何も出来なくなってしまいます。

姫様はご自分の役目を果たされるべきです。

姫様の慰問を待っている人がた沢山いると思いますよ」


アリアは下を向き何も言えなくなった。

そこへ千代が


「魔王退治なんて荒っぽい仕事は姫様がするべき仕事ではありません。

こんな荒っぽい事は茜に任せておけばいいんですよ」


「ちょっと、何か酷い言われ方なんですけど・・・・・」


「そうです。アリア様、危険な事は茜がすべて片付けてくれます」


「あ~~さいですか~」

と茜は一人小さい声で嘆いた。


「そうです。アリア様は慰問に行かれるべきです」

アルファが話しに加わった。


「一国の姫様が魔王を退治に行くなんてお伽話ですから!!」


「ウオレルのアクア様は前戦に立っていると聞いていおります」


「アクア様は『姫騎士』としてハルフェルナでも名前が知られています。アリア様は『聖女』です。戦いには不向きです」


「しかし・・・・・私も・・・・・」


茜はふふ~~~んとしたり顔をした。


「お姫様は、王子と一緒にいたいのね。周りに私みたいな美少女がいるから心配になっちゃったんじゃないかな~~~」


加奈と千代はぎょっとした顔をしながら


自分で美少女とか言うか!?


と思うのであった。


「え ?そ、そ、そんなことではなくて・・・・」


「いいのいいの、恋愛マスターの茜さんはお見通しよ! 

でも、どんなことが合ってもお姫様を連れて行くわけには行きません。

次は無いかもしれないんですよ」


「アリア様は、申し訳ございませんが茜の言うとおり、お連れするわけにはいきません。

私たちも自分の身を守るので精一杯です。もし何かあればエドワード陛下に顔向けできません。

 現実に今回はとんでもないことになってしまいました。

 運が良かっただけです。次はどうなるか分かりませんのでご自重ください」


アリアはようやく引き下がった。



「皆さま、ありがとうございました。先ほどからアリア様が付いていきたいと申すので困っていたところです」


その後、話し合いが行われたが当初の予定通りアリアを次の町まで送り届けそこで別行動すると言う事になった。

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