第130話 二人の魔王・再び


翌日、次の町に到着すると早速、茜が町の上空に舞い上がり全体にヒールを掛ける。

これで軽い病や怪我の住民は症状を緩和することが出来た。


「茜様、ありがとうございます。おかげさまで町の人たちも救われます。

 私も重病の方に専念できます」

アリアは丁寧に頭を下げる。


「茜ちゃん、ありがとう。私も楽できるわ」

そう言うと詩織はアリアの手伝いを始めるのであった。

その後、アリアたち一行とは別れ、怠惰の悪魔王・フェネクシーの住むラスビア渓谷を目指し西へ向かうことにした。





「王子様もお姫様のほうへ行ってもいいんですよ」

と茜は茶目っ気たっぷりな笑顔で言ってみた。


「いえいえ、私は茜様と魔王の討伐にあたらなくては」


「あ、王子様の代わりに俺がアリア様のお付きを」

と織田が言った瞬間


「あぁ! 織田君! こんな美少女たちと一緒に旅を出来て嬉しいだろ。嬉しいだろ!! 嬉しいよな!!」

と鋭い目で茜に睨まれる織田であった。


「あ、はい」


「これからもよろしく。織田君! ハハハハ」

と高笑いをしながら力を込めて肩を叩く茜であった。


「私はアリア様の慰問についていきたかったかな」

と詩織が言う。


「聖女とはこうあるべきなのだと、アリア様の献身的な姿を見て感銘を受けました。

 茜ちゃんは怪我しないし・・・・ここにいてもあまり役に立っていない気がして・・・・」


「茜は怪我なんてしないわよ。元から頑丈だったでしょ。ハルフェルナに来て人外になっちゃったから」


「詩織! 私や加奈は普通の人間だから何かあったとき詩織がいてもらわないと取り返しの付かないことになるかもしれないでしょ」


「俺なんか早川にヒールを掛けてもらいたく仕方が無いんだから。何だったら、今すぐにでも掛けてくれよ」


「織田君・・・・・・・」


「そこの二人、何、いい雰囲気作ってるの! 詩織!!織田に騙されたらダメよ。

こいつは詩織の聖水を嗅いで喜んでいるヘンタイよ!!」


「きゃ~~~~止めて、織田君、返して、私の聖水!」


「白田~、今、それを言うところじゃないだろう」





その後、茜たち一行は西へ西へと向かい、怠惰の悪魔王・フェネクシー住むラスビア渓谷を目指した。

その途中にカマキリの魔王とカラスの魔王に出くわし両方とも討伐に成功した。

両魔王は緑と黒の魔王石になった。

なおも一行は西へと進む。


次の町にはヒルの魔王が近くの湿地帯に生息しており町は何度か襲われたと言う話を聞いた。

町にいる冒険者では手足も出ず何人もの町民が犠牲になったそうだ。

湿地帯を挟んで反対側にも町があったのだが魔王に襲われ壊滅したらしい。



町に到着すると茜は空に舞い上がりヒールを掛けそれでも直らない患者に詩織が個別にヒールを掛ける。

心なしか詩織の表情は明るくなった。

アリアの真似事かもしれないがハルフェルナで人の役に立ったことが嬉しいようであった。


「うん、早川は笑顔がいいね~~『俺たちの聖女さま』って感じだ」


「織田も詩織命なのか?」


「あたぼうよ!早川が嫌いな男がいるわけ無いだろう、白田と違ってお淑やかで誰にでも優しいしな」


「一言余計だ!」


「ヤッパリ、聖女といえば詩織だよね~ 様になっているよね」

と千代も関心してた。


?!?!?!!?


「何か近くで戦っている! 魔王だ。しかも二人いる」

と茜が急に立ち上がると


「おい、大変だ! ヒルの魔王が湖の近くで暴れているぞ! ギルドに連絡しろ!」

と冒険者らしき人間が待ちに飛び込みながら叫んだ。


「茜様、行ってみましょう」

とアルファがが聞くと全員頷いた。


「私は先に行く」

とsky highの呪文を唱え飛んでいった。


詩織も治療を中断しアルファと加奈は馬で残りは馬車で移動した。



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