第82話 オークゴースト


一戦終わって休んでいると、いきなり不快な悪寒に襲われた。

周りにあったオークゾンビの死体が塵のように消えたかと思うとドス黒い靄が一つ二つ三つ・・・・・・

な、な、なんだ?


「ゴーストです!! 気をつけてください」

アレックスさんが叫ぶ。



囲まれた!! 何匹いるんだ?

オークのゴーストだとすると200近くあるということか!!

しかも亡霊になってもオーク棒はいきり立っているではないか!

オークだからなのかコリレシア兵が素だからなのか分からないが、どこまでもクソだな。


オークゴーストたちが手から魔法のような白い球を発射する。

スピードは遅いので楽勝で避けることはできる。



俺は銃を乱射する・・・・・・が、実体のない霊には素通りするだけだった。


チッ!


思わず舌打ちをしてしまった。

茜ちゃんが残してくれたマシンガンがあれば無敵とは言わないが、相当やれると思っていたのだが甘かった。

いくら撃っても実体のない霊体などは弾丸がスルーしていく。

どうもマンガやアニメみたいにはいかないようだ。

ハルフェルナはどこまでも俺に冷たい。



七海も色々な魔法を撃ち続けているが、さほどダメージを与えることが出来ない状態だった。

やはり奴らのターゲットは将太、智弘、則之、アレックスさんだった。

俺や七海はスルーしていく。

本当にクソな奴らだ!



「いやーーー!こないでー!!」


戦闘能力の無いアレックスさんは空に逃げるが、今度は霊体だ。

空までアレックスさんを追いかける。

クソ!空に舞い上がられて霊体だと俺には何も出来ない。




無理を承知でマジカルランドセルから取り出した物を投げつける。


ニンニクを投げつけてみる・・・・・ヴァンパイアでなければ効かないよな。


薬草を投げつけてみる・・・・・・空を飛ぶ相手に当たらない。

近くにいたオークゴーストに投げつける・・・・・素通り。


では、毒消し草だ!・・・・・・何も無かったようにアレックスさん目掛けて飛んで行こうとする。


世知辛いぜ!ハルフェルナ!!


「僕に任せて!! Holy!!」


将太が浄化の魔法を唱えた。

白い霧状のものが渦を巻きながらオークゴーストを巻き込み空に舞い上がった。

エリアにいたオークゴーストたちは静かに消えていった。


「Holy」


則之も唱えた。

則之はくじら君を天に掲げると空にまばゆい光が現れたかと思うとオークゴーストに振りそそぎ、辺りにいた20匹くらいのオークゴーストが消えていった。


「Holy!! Holy! Holy!」


「Holy!」





将太と則之が唱えるたびにオークゴーストは霧散していった。




ついにオークゴーストは消滅・浄化が完了した。


「さすが、聖女様ですな~~!!大活躍だぞ、将太!」


「えへ! 初めて戦闘で活躍したね」


うんうん、愛いヤツ。

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