第74話 セキジョーダンジョン
「ここがセキジョー・ダンジョンです。山中様」
「ほほー、ここがセキジョー・ダンジョンか。遺跡が合ったように見えますが騎士殿」
ギリシアの神殿のような柱が至るところに倒れている。
この騎士は案内役と言うことだが半分は俺の監視役だろう。
何れチャンスがあれば始末しておこう。
「ダンジョン上部が大昔は遺跡だったと言われています。
3階層になっておりダンジョンとしては深くありません」
「浅すぎるダンジョンですな」
「難易度も最も低いダンジョンと言われております。
出てくるモンスターも高レベルのモンスターはいません。
初心者用のダンジョンとして有名なのですがゲートと銃のあるところに行くのには迷路になっていて中々たどり着くことは出来ません」
「ふむ、迷路か。それにしても浅すぎる。
そんなとこにゲートと勇者の銃があるのか・・・・・」
とにかく入ってみる事にしよう。
俺は連れてきた1個大隊300人のうち1個中隊60人ほど引き連れてダンジョン内へ入った。
ダンジョン内部は所々に魔石で作られたランプがあり明るい。
地下だから土壁なのかと思っていたが石作りになっている。これなら落盤とかは無さそうだ。
空気は思いのほか乾いているので土の中のような湿った臭いはしない。
俺と騎士の前後をコリレシア軍が囲むように進む。
内部に入って10分ほどするとゴブリンが3匹ほど突進してきた。
おいおい、こっちの人数を考えろ。
ダダダダーン
ダダダ
機関銃の音が響きゴブリンが倒れる。
知能指数が低いモンスターはこれだ。
死んだゴブリンはダンジョンに吸収されるように消えていった。
ふむ。ダンジョン外は死体が残る。どうやらダンジョン内部のモンスターと外の世界のモンスターは異なるようだ。
吸収された後に光る石が残る。
「騎士殿、あれは魔石というヤツでしょうか?」
「はい、あれが魔石です。ダンジョン内部のモンスターは必ず魔石を落とします。
ただセキジョー・ダンジョンはあまり強いモンスターがいないので質の高い魔石は手に入りません」
魔石はこの世界の魔道具の燃料になるのでダンジョン中心に稼ぐ冒険者がいる。
内部へ進むとスライム、コボルト、ワームなど雑魚と呼ばれるモンスターが出てくるのだが我がコリレシア軍の一斉掃射の前に溶ける様に消えていく。
急に騎士が
「ストップ!、止まってください。ここからはワープトラップがあるので私が先頭に立ちます」
付き添いの騎士が先頭に立ちダンジョンを進む。
数メートル先に通路の真ん中に赤い杭が立っているのを指し
「あの赤い杭の付近には何かしらのトラップがあるの気を付けてください。
通路の両脇を慎重に通ってください」
言われるとおり通路の両脇を静かに歩く。
しばらく歩くと宝箱があるが前には赤い杭が立っている。
「あの宝箱もトラップが仕掛けてありますので開けないようにお願いします」
「騎士殿、赤い杭は危険信号と考えて宜しいのですか?」
「そうです、赤い杭は危険なトラップを示す物です。
すべてのトラップが判っているわけではありませんが目印にはなります。
もうしばらく行くと下へ降りる階段があります」
地下2階へ降りるといきなりモンスターの大軍が現れた。
といっても、が合わせて100匹程度だ。
ふっ!現代兵器・マシンガンの敵ではない。
地下3階になるとゴブリン、コボルト、スライムの上位種といわれる色違いのモンスターが多く出てくる。
マシンガンも数十発打ち込まないと死なない。が、コリレシア軍の敵では無い。
モンスターの死体の山が出きるだけだ。
「もうすぐゲートと銃のある部屋になります」
騎士がそう言ってから200mほど進むと高さ5mほどの巨大な扉があった。
「扉というよりも門だな。いかにもこの部屋ですと言っているようなものだな」
門を開けて中に入ると部屋は50m四方あり部屋の中央の台座に近寄るとマシンガンが置いてあり、その隣には石版らしき物が壊れて放置されていた。
「これが噂の勇者の銃ですか。
正確に言うと、これは銃ではなくマシンガンといわれる物です」
と俺たちの世界の知識が無い騎士殿に説明をしてやった。
俺は手に取ろうとしたが触ることが出来ない。
掴もうとするとすり抜ける。
「噂どおり手に取る事は出来ないのですね。おい。だれかこのマシンガンを撃ってみてくれ」
一人の兵士がマシンガンを構え銃に向かって撃つ。
ダダダダダ
ダダダーン
確かに当たっているが壊れた形跡がない。
「手榴弾で爆破してみてくれ」
兵士が手榴弾をセットする。
ズガーン
爆発音が部屋に響き火薬の臭いが部屋に充満するが、銃は破壊どころか傷一つ付いていない。
「手榴弾でも壊れないのか。
手に入れたいと思ったが触ることも出来ない、破壊することも出来ない。
だから放置されているということか」
「山中さまの部隊でも破壊できないのですか」
黙って頷き、その奥にある3mほどの赤い門に目をやり近づく。
「ほほー あれがゲートか。騎士殿。どこに繋がっているのですか?」
「異世界ともクリムゾン魔国とも言われています」
「ハッキリ分からないのですか?」
「行って帰って来た者が誰もいないので・・・・・」
「誰もいないで何故それが分かるのですか?」
「私も詳しくは分からないのです。言い伝えで言われているだけなので」
扉を開けてみると中は真っ暗なのだが奥に一点だけ虹色をした明るい光がある。
「入ってみたいものだな」
「お止めください。山中さまに何かあったら私の首だけでは済みません」
扉を閉めようとしたとき、突然部屋に響き渡る大きな声が聞こえた。
「お遊びはその辺で止めていただこうか。異世界人!!」
若い銀髪のオールバックの男がたった一人で立っていた。
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