第244話 サキュバス4人組


将太がカレーの話した瞬間に辺りが殺意に溢れた・・・・・

あ~~どこかであったパティーン!

またかよ!


4人はどこからともなく武器を取り出した。


「チッ! 虚空庫持ちか!」


しかも4人とも!


年長の女性はバラのムチを

セミロングの女性は片手剣を

ボブの女性はモーニング・スターを

ショートカットの幼い子は金属の鋲が沢山ついたグローブを両腕に嵌め身構えた。


「こいつら、普通じゃないぞ!!」


智弘が叫ぶ。


「メアリー様の話し通りね。

 まわりに女を侍らせ! 金髪の騎士と魔道師はどうした!! 

 捨てたのか!? ハーレム小僧!! 

 今度は小さい女の子ばかり集め!! ロリコンになったのか!!」


「ちょ、ちょっと待て!

 俺はロリコンじゃない!!

 ノーマルだ! ペッタン子よりバインバインが好きなんだ!!

 だからロリコンなどでは無い!! 訂正しろ!!」


「何を言っているの! 小さい子ばかり囲って!

 どの道、ヘンタイは死ね!!」


ヒュン!

年長の女が振ったバラのムチを間一髪で裂ける。

あのデカ乳魔族と同じ武器! こいつらも魔族か!!


「魔族だ!気をつけろ!!」

智弘が叫ぶ!


4人は人間の姿から本来の姿であろう魔族の姿に戻る。

全員が露出の高い扇情的な服装に変わった。


バラのムチを避けたと思ったらショートカットの少女が鋲付きのグローブで殴り掛かってきたところを間一髪でかわす。


智弘がマジカルなんちゃらを手に持ち


「ファイヤーボール!」

と叫んだ・・・・・・・・


ドン!


「うっ!」


助かった。

が、魔法を放ったのではなくマジカルなんちゃらをショートカットの少女のお腹に向け伸ばし少女を突き飛ばした。

せ、せこい!

智弘らしい姑息な戦い方だ。

俺も見習おう。



「サンダーブレード!!」


バラのムチを持つ年長の女にミリアが雷撃魔法を撃つが、難なくかわす。


「グヲーーーーオ!」

龍之介が雄たけびを上げながら人間の姿から龍へと戻る。


「り、り、龍!! 何故、ここに!! 全員、我が国にいるのでは!!」


年長の女が驚く。


「お前らクリムゾン魔国の者か!!」

智弘が叫ぶが返答は帰ってこなかった。


「お兄ちゃん、こいつらヤッちゃっていいよね!!」


「いいぞ!!」


間髪入れず答えると龍に戻った龍之介は体を反らすと口の中が光った。

そして、年長の女へ向け光の玉を吐き出す!


チュドーン!!


女も軽くかわすが、10mほどの穴が開く。

雷の玉は近距離で戦うにはあまりにも威力が強すぎた。

土砂が舞い上がり目を開けられなくなる。


「龍之介! もっと弱くするか圧縮してくれ!  何も見えなくなる」


「え~そんなことできないよ~」


・・・・使えね~~~!


「玉は吐くな! 危険すぎる!」

智弘が大声を上げる。


「殴る蹴る噛みつけ!! 将太は下がれ!」

と素早く指示を出した。



「スモークフォグ!」

サキュバスの誰かが魔法を唱えた。

白い霧が辺りに充満し視界を失った、そのとき!


「死ねーーーー! ハーレム小僧」


左方向の霧が一瞬割れるとモーニングスターが俺に向けて振り下ろされた。


ドゴン!


タナニウムの焼肉プレートで受ける。


右側から白い煙が左右に分かれたかと思う片手剣が飛び出てきた。

「ヘンタイ!死ねーーーーーー!!」


ダメだ!やられる!避けられない!


「アオ君!」

「碧!!」

「お主!!」

「お兄ちゃん!」


ガキン!!


金属音が響く。

諦めかけた瞬間、白い霧の中から透き通った赤い大剣が現れ片手剣から守ってくれた。


「大丈夫ですか?」


また、犬の獣人の子だ!


「あ、あう、あ、ありがとう!」


「エアーブロウ!!」


ミリアが風魔法を使い白い霧を吹き飛ばした。



ガッキン!!


剣と剣が当たる金属音が響く。

犬の獣人が巨大な剣を振り下ろしセミロングの女に追撃を掛けるが片手剣を両手で持って受け止める。

犬の獣人の左側からボブカットの女のモーニングスターが襲う。


「危ない!!」


俺も叫ぶだけで犬の獣人をガードすることが出来ない。

犬の獣人は左腕でモーニングスターをガードする。


それでは腕が・・・・・・


モーニングスターが腕に当たったとき


ガキン!


という金属同士が当たる音が聞こえた。

犬の獣人女性左腕には先ほどまで無かったはずの透き通った赤色の盾があった。


さっきまで無かったはずなのに・・・・虚空庫?

取り出すような素振りは見えなかったが。


獣人女性は赤い大剣をボムカットの女性へ向け薙ぎ払ったがバックステップでかわす。

援護のためにマジックランドセルからマシンガンを取り出しボブカットの女性へ向け乱射する。


ダダダダダ!


当たったように見えたが魔法障壁に阻まれ銃弾が足元に落ちただけだった。


「セリカ、シルビア、ソアラ! 下がりなさい!」


声の主の方を見るとリーダーらしき年長の女が右手を上に挙げ気のようなものを溜めていた。

その気のような塊は見る見るうちに巨大になり赤く蠢いていた。


「フレアバースト!!」


リーダーらしき女は炎の塊を俺に狙いを定め投げつけてきた。


「魔法・・・・・間にあわない。 避けて! アオ君!」


将太が叫ぶ。

間に合わないか・・・・・


「マジックバッグで受け止めてください!!」


獣人女性の言うとおり背中に背負っているマジックランドセルをずらせるように手に持ち換え構えた。


「碧!!」


智弘が叫ぶ。


そんなことが可能なのか?などと考える余裕は無かった。

言われたとおりに、反射的に体が動いた。



巨大な火の塊が迫ってくる。

ほんの一瞬のことなのだろうが俺には時間が止まっているのかと思えるほど長く感じた。

ゆっくり、ゆっくりと。

そして確実に火の玉が迫ってくる。

体も徐々に熱くなってくるのを感じる。

目も前に巨大な火の玉が迫り、直撃すると思われた瞬間、何ごとも無かったように巨大な火の玉は俺の目の前から消えた。


「吸い込んだぞ!」

「す、すごい!!」


智弘と将太の声が聞こえた。


「嘘だ! 魔法を吸い込んだと言うのか?

 そんなマジックバッグなどあってたまるか!!」


リーダーの女が声を上げる。


「お主、吸い込んだのだから、吐き出すことも出来るはずじゃ!!」


???マジですか? ミリアさん、そんな事できるんですか?


俺は口元をニヤリとさせながら4人のいる方向へマジックランドセルを向け、巨大な火の玉が出るのをイメージした。

巨大な火の玉は受けたときの数倍の速さで飛び出し4人の元へ着弾した。


「あ~~~~」

「ダメ~~~~」

「うーーーーー」

「キャーーーー」


4人は吹き飛ばされながら四者四様の悲鳴が聞こえてきた。

煙と砂埃が舞い上がる。

煙が消えた後には、巨大な穴と一人の少女が倒れていた。

他の3人の姿はどこにも無かった。が、これで死んだとも思えなかった。


4人のうちの最年少と思われる少女は頭から血を流し右腕はそれ以上にダメージを負っていた。


ミリアが近寄り拘束魔法のバインドを掛けると紐が少女を縛り上げた。


「ミリアさん、そんなことしなくてもいいんじゃ」


「将太、ミリアが正しいよ。こいつらは碧を狙ったんだ。

 意識が戻ったらまた碧を襲うかもしれない。用心に越したことは無い!」


「回復魔法くらい掛けてもいいよね」


将太が智弘を見ると幼女は黙って頷いた。


!! 犬の獣人さんにお礼を・・・・・


と周りを見たが、もう姿はどこにも無かった。

智弘や将太たちの顔を見ると黙って首を振った。

また救われた。

気がついたときには居なくなっている。

風のように現れ、風のように消えてゆく。

なぜ、俺たちを助けてくれるのだろうか?

せめてお礼だけでも言わせて欲しかった。


「なぁ~ミリア、お前の知っているマジックバッグって俺のランドセルみたいに魔法を入れるておく事は出来ないのか?」


「妾も聞いた事が無いの~ そんなマジックバッグは初めてじゃよ。

 容量といい、ちょっと普通では無いぞ!

 神話級のアイテムじゃぞ!」


「そうなのか・・・・・」


なぜ、あの犬の獣人は知っていたのだろうか?




「う、うう・・・ ハッ!!」


将太が回復魔法を掛けていると少女は意識を取り戻した。

体を起こし後ずさりしようとするが上半身を何重にも縛られていて身動きが上手く取れなかった。

それでも自由になる足を使い後へ後ろへと地面にお尻を滑らせるようにして俺たから距離を取ろうとする。


「お譲ちゃん、名前はなんていうんだい?」


俺が聞くと彼女は顔をそむけた。


「冷たいな~~俺は、仲良くしたいのにな~」


「おい、お前たちは、何故、碧を狙う!

 今も確実に碧を狙っていただろ!!」


智弘が聞くが何も答えない。


「以前にも魔族に狙われたんだが、あれはお前たちの関係者か?」


やはり顔をそむけ答えようとしない。


「痛い目に合わせないと分からないようだな。

 俺は幼女に見えるが中身はゲスイ男なんだぜ」


「ト、トモ君、あまり酷い事は」


と将太が止めに入るが智弘はなおも続けた。


「女の一人二人、張り倒すことなんてなんとも思っていないぞ。

 痛い目に合いたくなければ今のうちに話しておいたほうがいいぞ」




と智弘は地面に縛られながら座っている少女に腕を組みながら問う。

一瞬怯えた表情になったが、キッとした顔をすると目をそむけた。


「こやつらはサキュバスじゃと思うぞ。 ホレ、証拠に」


「や、や、ヤメてー!!」


とミリアは抵抗する少女に構わず履いている短パンをお尻が出るくらい脱がした。

そこには尻尾が生えており先端はヤジリ状になっていた。


「おお、ミリア!サンキュウ! いいものを見せてもらったぜ!」


「アオ君!!」


将太が俺の足を踏む。

最近、将太が凶暴になっている気がするのだが、気のせいだろうか?


「なぜ、サキュバスが俺を襲う?

 お前たちに恨みを買う覚えは無いのだが」


やはり、サキュバスの少女は無視をする。


「答えたくないんだったら、ヒャインヒャイン言うようなお仕置きするしか無いかな?」


と指をいやらしく、わしゃわしゃと動かしながら少女に近づく。

 

「ちょ、ちょっと、アオ君、そういうのは止めなよ!」


「や、止めて! そんなことをされても私は!!」


捕らわれた少女が叫びながら目を瞑り体を硬くした。


「ふぅ」

と溜息を一度つき、マジックバッグからまぐろ君を取り出し、バインドの魔法で作られたロープを切断する。


「何もしゃべらないんだろ。 ほら、好きなところへ逃げろ! 

 お前を連れ歩くつもりは無い。 さっさと行け!」


一瞬、少女は驚いた顔をしたが立ち上がると痛めている右腕を左手で押さえながら疾風の如く逃げ去った。


「おい、碧、止めを刺しておいた方が良かったんじゃないか?」


「年下の女の子を殺すなんて忍びないだろ。

 連れ歩くわけにも行かないし、邪魔なだけだろ」


「お主、アヤツもサキュバスじゃぞ。年下に見えるだけでお主よりは長生きしとるぞ!」


「あーーーーー! どうも見かけで判断してしまうな~」


「一人でも多く敵対する奴は始末しておいた方が良かったと思うが・・・・・

 逃がしてしまったことだし則之たちと早く合流する事を考えよう。

 とりあえずここから全力で逃げるぞ!」


装甲車をマジックランドセルから出しリーパスへ向かい、そこから南下してナミラーへ向かうことにした。



 

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