第32話 解体スキルとセクハラ
昼食の後、森で再度討伐を開始しゴブリン数匹、一角ウサギを10匹ほど討伐した。
もう、ゴブリン、一角ウサギレベルのモンスターなら10匹ほどだったら苦にもならない。
・・・・・俺と将太以外は。
多分、則之一人でも5分と掛からないだろう。
その後、2mを超える2匹のオークがいた。
豚だ、どう見ても豚。
口からは牙を生やし凶悪な面をしてやがる。しかも革の鎧と剣と楯を装備しているではないか。
くそ~~俺は装備できないのに豚は装備できるのかよ。
異世界は世知辛いぜ。
2匹はオークは顔を合わせながらブヒブヒ言ってやがる。
オーク同士の言葉があるようだ。
2匹が右と左に別れ左右から挟み撃ちにするようだ。
豚のクセに生意気な!!
右に行ったオークに則之が切りつける。
くじら君とオークの剣がぶつかり合い火花が散る。
体格では負けている則之だが剣技、剣圧ではオークを圧倒している。
左へ回ったオークを迎撃するために飛び出ようとしたが将太が手を掴み前へ行かせてはくれなかった。
智弘がファイヤーボールで牽制した瞬間、七海がサンダーボルトの3連激をくらわせたらオークはあっさり昇天した。
則之の方も完全にオークを圧倒していた。
面! 面! 面! 面!
と聞こえてきそうなくらい綺麗な4連激を叩き込むとオークの剣が折れ、くじら君がオークの頭を直撃し戦いは終わった。
この戦いで俺を除く全員のレベルが上がったようだった。
オークを討伐したので試しに解体スキルを試してみることにした。
冒険者ギルドに卸すよりそのまま肉を手に入れたほうが無駄金を使わずに済むはずだ。
肉以外の部位をギルドに卸すことにした。
マジックランドセルがあるから血抜きをしなくても肉の鮮度は落ちないのだが、料理のときに余計な血が入ると味が落ちるので練習も兼ねて血抜きをしてみたのだがこれが一苦労だった
首の頚動脈を切り、逆さにして木に吊るす。
オークの体重は200kgほどあるのでしっかりした大木、丈夫なロープが必要になる。
なんとか俺、智弘、則之の3人でオークを吊るし血が落ちてこなくなったところで皮を剥ぐ。
女神様から頂いた解体包丁の出番だ。
さすが、女神様の贈り物!!
サクサクと切れていくではないか。
そして皮を剥ぐのだが、これがまたエグイエグイ。
保健室などにある人体模型の皮膚が無い物のオークバージョンを想像してもらえば分かるだろう。
将太と七海は二人で逃げ出した。
切り取った肉を見てみたのだが、腕や足の肉は硬すぎるので料理には向かないと料理スキルが教えてくれる。。
腕や足は獣などを誘き寄せるためのエサにした方が良いと解体スキルが教えてくれる。
料理には腹と胸の肉を使うことにした。
骨などは出汁に使えるみたいなのでランドセルにしまっておくことにした。
キバは粉にして薬などに使えるため切り取って、後でギルドに売ることにした。
・・・・そして
・・・・・・あれだ。あれだよ。
智弘の顔を見ながら
「なぁ~ あれをチョン切るの?」
「あぁ」
「あれは無くてもいいんじゃないか? 捨てようぜ」
「オークの中で一番あれが高く売れるんだよ!」
「ヤッパリ、いらないんじゃないか?」
「あれを売って今日の宿代を稼ぐんだよ」
「俺がコショウを売るから」
「いいから、早くオーク棒をチョン切れよ。タマも忘れるなよ!!」
俺は嫌々ながらオーク棒を切った。
あぁ、女神様。女神様から頂いた解体包丁が初夜にして穢されてしまいました。
申し訳ございません。
おっと、初夜は穢されるものだろというツッコミは無しにしてくれ。
具体的な長さ、太さの名言は避けておくがオーク棒は長い長い、太い太い。
武器にして殴られたら相当な肉体的ダメージを負うだろうが精神的ダメージは遥かに上回ることだろう。
そして、ボールもデカイし重い。
ソフトボールよりも一回り大きそうだ。
オークは雄だけの種族で繁殖は他種族の雌を襲い着床させ繁殖させる。
ゴブリンも同じ方法で繁殖するので人間や他の種族からすれば忌み嫌われて当然だろう。
故に冒険者ギルドでもゴブリン、オークの討伐は歓迎されているようだ。
俺はオーク棒を切り取ると智弘に
「ホラっ」
といって投げ渡した。
「バカヤロー、碧! お前何するんだ!」
クソ、避けやがって。昔から無駄に反射神経はいいんだよな。
オーク棒は地面に転がることになった。
「ちゃんと受け取れよ!」
「嫌だよ、そんなモノ」
こ、こいつ、嫌がるようなモノを俺に切らせたのか。
仕方ない、土が付着したオーク棒を七海に水魔法で洗ってもらうか。
「七海~ こっち、こっち」
100m以上、離れたところで後ろを向いていた七海に声を掛け手招きをした。
小走りでやってきた七海にオーク棒を手渡した。
「これ、水魔法で洗ってくれない」
「分かった。これは何なの」
「オークのあれ!!」
「ギャーーーーーーー!!」
と言って七海はあさっての方向へオークバットを投げた。
遥か彼方に飛んで行きオークバットは星になったとさ。
「もう~~~何、渡すのよ!!」
七海さん激オコです。
「あぁぁぁぁ、高く売れたのに。軽い冗談だよ」
「冗談ではありません!!女の子に何を持たすのよ!!」
「オークのバット」
「もう~~~ セクハラ!!」
「悪かった。悪かった。申し訳ない。水魔法で手を洗わせて欲しいんだけど」
「嫌です」
あ~~怒ってる。
「そんな事を言わずお願いします。七海さん。七海様」
と拝んでみた。
「知りません。町で手を洗ってください」
プイっと後ろを向いてしまった。
ガビーーーーン!! オークのバットとボールを触った手で町まで行けと!!
「そりゃ、碧が悪いよな。ははははは」
「アオ君が悪い」
「碧殿、悪ふざけが過ぎたでゴザルな」
俺はナミラーの町に着いたとき速攻で手洗い場に駆け込んだ。
その後、智弘と二人でオークのバットとボールそれにキバを買い取ってもらうため冒険者ギルドへ出向いた。
買い取り受付のカウンターを探すと可愛いらしい女性職員が座っていた。
俺は迷わず女性職員のカウンターに行き、オークの3点セットを出した。
「お姉さん、これを買い取ってください」
一瞬、表情が曇った。
「これ何か分かります?」
「は、はい。オークのキバと●×△■と・・・・・・ですね」
だんだん声が小さくなり顔が赤らめてきた。
「はぁ?よく聞こえません。もっとはっきり言って下さい」
「えっ、オークのキバと・・・・・・と・・・・・・ですね」
「はっきり言ってくださいよ。高値で買ってもらえる物だから、しっかり確認しないと損してしまうかもしれませんからね」
「・・・・・・・・・・・」
受付のお姉さんは真っ赤な顔をして下を向いてしまった。
うん、いいね~~可愛い女の子の恥じらいだ表情。ご馳走様でした。
フフフ、我ながらゲスイぜw
と、そこへ50過ぎのおばさん職員がやってきた。
「何やってんだい?」
受付の可愛い女の子がおばさんへ耳打ちをした。
カウンターの上のブツを確認すると
「あぁ、なんだい、お兄ちゃんたち、オークの棒と玉の買取かい」
と言ってオークバットをムンズと掴んだかと思うと投げ縄の要領で振り回し始めたではないか!
振り回したモノは俺たちの頭の上をブンブン言いながら回転した。
俺たち二人は目を丸くした。
「うん、このオークは若いね。高く買い取るよ」
「な、なんで若いと分かるのですか?」
唖然としながらも聞いてみた。
「年をとったオークのバットは振り回すと伸びるんだよ。若いヤツはしっかりしているから伸びないのさ」
次はオークボールを二度三度、握りカウンターに叩きつけた。
思わず俺と智弘は股間を押さえてしまった。
「ウン、これも若いね。ハリがある。年くっていると今みたいに握ってから叩きつけると破裂するんだよ」
やめてくれ!!想像したくない。ボールが破裂する!!
あまりの光景に俺の玉がヒュンヒュンする。
「破裂したら全損になるだろ。だから加減が難しいんだよ。あたしゃ、オークのタマ握って30数年!年季が違うよ」
30数年!!あの顔を赤らめた受付のお姉ちゃんも30年後にはオーク棒を振り回しているのだろうか・・・・・
「お兄ちゃんたち、タマの数と棒の数が合わないんだけど、一本どうした?」
「あっ、不慮の事故で星になりました」
「いやだよ~ あんた何言ってるんだよ。1本無いなら仕方ない。
どれも若くて良い品だし、討伐依頼を受けて狩りに行ってくれたようだし20万くらいでどうだい?」
「はい、それで構いませんよ」
智弘が即答でOKを出した。
智弘のことだ、だいたいに相場は確認していたのだろうか?
・・・・・いや、それ以上に、このおばちゃんが怖かった。
俺たちは逃げるように昨日と同じ宿へ戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます