第159話 『スーパーロボット大戦』シリーズの話 その12
今回も『スーパーロボット大戦Z』の話の続きである。
安原義人演じるジュリィの「声バグ」を除けば、『スパロボZ』における『宇宙大帝ゴッドシグマ』の扱いは大変良かった。新規参戦組で同じ年に放送された『宇宙戦士バルディオス』とは、敵が未来世界から来たという共通点があり、ゴッドシグマのパイロットの一人、キラケンとバルディオスのパイロットの一人、北斗雷太を玄田哲章が担当するという共通点もあった。
現代のロボットアニメでは珍しくなってしまった、純粋直情で博愛に満ちあふれたキャラクターであるキラケンはプレイヤーにも受けが良く、本編で終盤合流するまで孤立していた『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』のキラ・ヤマトに「キラキラコンビ」を組もうと持ちかけるシーンは印象に残っている。
また、2000年代の新規参戦組である『超重神グラヴィオン』は、後継機に「ゴッドΣ」というネーミングがされていることから、グラヴィオン側の司令官が資金援助を申し出るなどの絡みがあった。
スパロボでは、敵キャラクターなどに「説得」をして寝返らせるというシステムが初代からあったが、その延長線上で、原作で非業の死を遂げたキャラクターを生き残らせたり、フラグを立てて悲劇を回避させることもよくあった。『スパロボZ』ではゴッドシグマ本編で亡くなる高潔な敵司令官、テラル等がこの恩恵を受けている。また、アニメが打ち切りで地球が津波に飲まれるエンディングだった『宇宙戦士バルディオス』は、敵の最終作戦回でゲームオーバーになると本編シーンの再現が行われるという特殊演出となっている。
その一方で、ゴッドシグマ本編で闘志也たちを裏切って亡くなる風見博士は、敵組織に加わって攻めてくるなど、本編よりもパワーアップしている。
ゴッドシグマの機体自体も、エネルギーを一回だけ回復できたり、敵の装甲値をダウンさせる効果が付いた必殺技など、使い勝手のいい機体となっていた。
本作のメインシナリオは、様々な世界が一つとなった「多元世界」で設置されたメディア「UN」を統括する組織がオリジナル敵の背景にあり、中盤で2サイドに分かれた自軍が、フェイク情報に翻弄され本気で同士討ちをするというスパロボ初の展開となる。フェイク情報がインターネットに溢れている2025年現在からみると、先見の明があったと思うが、自軍が同士討ちするという展開に拒否感を抱いたファンも多かった。
なお、ラスボスはマゾヒズムの快楽主義者で、メタネタも含めてパイロットを挑発するという強烈なキャラクターで、心置きなく倒せる相手だった。
2009年3月には本編を補完するシナリオや後日談を収めた『スーパーロボット大戦Z スペシャルディスク』が発売されている。『ゴッドシグマ』からは敵司令官テラルと闘志也が絡む本編のエピソードが選ばれている。スパロボ的には本作が最後のPS2ソフトとなる。
『スペシャルディスク』ということで、オリジナルキャラクターのデザインやロボットたちのデータ、本編で同士討ちしたのを生かしたのか、ロボット同士が戦えるモードも搭載されている。なお、こちらでも「声バグ」はこっそり直っていた。
次回は続編である『第2次スーパーロボット大戦Z』を語る予定だ。
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