第57話 『パーマン』コミックス布教、高校時代に出会ったマンガについて
以前も何度か触れたが、私が高校生当時、『パーマン』のコミックスは2種類が流通していた。全7巻の小学館「てんとう虫コミックス」版と中央公論社刊『藤子不二雄ランド』の『新編集 パーマン』である。
マンガ『パーマン』は1966年に連載開始し、1967年に藤子不二雄もメンバーだったアニメ制作会社『スタジオゼロ』でアニメ化している。当時も人気作品だったが、一年後のアニメ放送終了と共に漫画も完結した。
しかし1979年にシンエイ動画が二度目のアニメ化をした『ドラえもん』の大ヒットにより、藤子不二雄作品は次々にリバリバルアニメ化されていく。『パーマン』もその流れで1983年に再アニメ化されたのだ。藤子・F・不二雄(当時は藤子不二雄名義)はアニメに合わせて連載を再開し、アニメのラブコメ展開も取り入れた話も数多く書かれた。
「てんとう虫コミックス」は傑作選というスタイルで、4巻までが「旧作」、5巻から7巻までが「新作」を収録していた。7巻の最終話だけは「旧作」最終話の「バード星への道」に新作パートを描き足した話を収録している。その新作パートは仲間に正体を明かさなかったパー子ことパーマン3号が、パーマン1号に素顔を明かすという内容で、当時の読者に与えた衝撃は相当なものだった。
中央公論社『藤子不二雄ランド』は藤子不二雄全集を目指して創刊されたので、「てんとう虫コミックス」では収録されなかった話も含まれていた。『新編集 パーマン』は全12巻となり、8巻から「新作」が収録された。発売日には水戸駅前の川又書店に行き、お小遣いでコミックスを購入していた。
『藤子不二雄ランド』は表紙を開くと扉絵のセル画が挟まれているのが売りだった。このセル画は本によっては印刷が大きくずれているものもあり、6巻のセル画があまりにもずれていたので我慢できなかった私は買い直した。お小遣いから捻出するので痛い出費だった。
私のパーマン二次創作を友人たちに読ませるにあたり、まず元ネタについて知ってほしいと思った私は、『新編集 パーマン』をSちゃんとHちゃんに貸すことにした。しかし、ただ貸すだけで読ませるのはハードルが高いと思った私はある策を巡らした。コマの枠の外に作品への突っ込みやうんちくを鉛筆で記入したのだ。この作戦が功を奏したのかは分からないが、二人ともコミックスや二次創作を楽しんでくれたようだ。
その一方、SちゃんとHちゃんから私が借りて気に入ったマンガもある。Hちゃんからは永久保貴一『カルラ舞う!』、Sちゃんからは新谷かおる『クレオパトラD.C.』小山田いく『マリオネット師』などだ。『マリオネット師』は『週刊チャンピオン』の連載をリアルで読むようになり、同じ雑誌に連載されていた水島新司の『虹を呼ぶ男』も楽しんでいた。
他には『ファミコン通信』に連載されていた桜玉吉『しあわせのかたち』もお気に入りだった。作中で飛蚊症のことを「ミジンコぴんぴん現象」と紹介しているのを見て、私も子ども時代に見ていたので親近感を持った。本編のパロディの元ネタとして『突撃!ヒューマン』が使われていたのも、元ネタを大人になってから知って理解できた。
『週刊チャンピオン』や『ファミコン通信』の発売日はバス停から高校に行く途中のヤマザキショップで発売されたばかりの雑誌を立ち読みしていた。今となっては何も言わなかった店に感謝するしかない。
次回はパーマン資料集めやスクラップ・ブックの話をする予定だ。
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