第4話 漫画や本との出会い

 小学校高学年になると家の近くに児童館ができた。この児童館の図書室には『鉄腕アトム』『ベルサイユのばら』『火の鳥』などのコミックスやコロコロコミックなどの雑誌が置かれていた。家で漫画を買う習慣はなかったので、ここで読んだ作品は多い。後に書くパーマン長編二次創作『ピラミッド・ペンダントの秘密』はここで読んだ『地球テラへ…』が元ネタの一つになっている。

 小学館の学年雑誌も置いてあり、ここで連載されていたタイムトラベルものはタイトルは忘れたが強烈に印象に残っている。私の最初の二次創作はパーマンたちが昭和35年にタイムトラベルする作品だが、この作品の影響を大いに受けている。


 家にあった数少ない漫画は『ドラえもん』『怪物くん』だった。弟が買ってもらったのか、廃品回収でもらってきたのかは覚えてないが、この中に「目立ちライトで人気者」収録の『ドラえもん』24巻が入っていたのがその後私が『パーマン』ファンになる重要なきっかけだった。


 他に漫画に触れる機会があるのは病院や床屋、そろばん塾の待合室だった。病院ではサンデーに連載されていた『サバイバル』、そろばん塾では『3年奇面組』や『がきデカ』楳図かずおのホラー物が好きだったが、一番印象に残っているのは里中満智子の『あすなろ坂』である。他にやはり少女漫画の転生ものも好きだったが、タイトルが思い出せない(読者情報から調べたところ『海のオーロラ』だった)。


 小四の男性担任は教室の学級文庫に漫画を持ってきた。当時流行っていた文庫サイズの復刻版で、私は『スポーツマン金太郎』を初めて知る。もちろんこの時は『まんが道』も知らなかったので後から作者がテラさんだと知って驚いた。他にも『カムイ伝』『サスケ』などの白土三平作品も取りそろえていた。今から思えば小学生には渋すぎるラインナップだ。恐らく先生は全共闘世代だったのだろう。ただ私はこの先生が好きだったし、先生の新婚家庭をクラスメイトで訪問したりした。


 こうして様々な漫画を読んだが、絵を描くのは苦手だった。寮の遊び仲間と蝋石で敷地のアスファルトに絵を描いていて、少女漫画のような絵を描けずにコンプレックスを抱いたものだ。


 本はもっぱら学校の図書室と図書館を利用していた。児童館でも『あばれはっちゃく』などの作品を読んでいたが、やはり本は家でゆっくり読むのが好きだった。特にリンドグレーンの『やかまし村』シリーズや『ドリトル先生』シリーズ、『怪人二十面相』などの江戸川乱歩作品、『借りぐらしのこびとたち』シリーズや『水の子』が好きだった。

 それとは別に親が買ってくれた講談社の児童文学全集も何度も読破した。ただし家にあったのは30巻ほどまでで、続巻があったことを他の図書館で見るまで知らなかった。

 廃品回収で入手した本もあった。『ムーミン谷のなかまたち』『レンズマン』だ。特に『レンズマン』は私のSF知識拡大に大きな影響を与えた。

 学級文庫で読んだ本では小六の時読んだ『屋根裏の遠い旅』『お稲荷さんに消えた』が強烈に印象に残っている。いわゆるビターエンドだが主人公たちが前向きに運命に立ち向かうという結末は私の話作りにも影響を与えている。同じ時期に読んだ『三太物語』はラジオドラマのノベライズだが、後年同人誌の企画で三輪勝恵さんにインタビューした際、このラジオドラマのテレビ版に三輪さんが出ていたので非常に役立った。


 次回は歌の想い出を中心に語りたい。

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