第5話 音楽の想い出

 我が家にはステレオがあり、レコードが何枚かあった。その中には童謡や「ピンポンパン体操」「パジャママン」のレコードがあった。親の話では幼児の頃の私は「ピンポンパン体操」に合わせて踊っていたそうだ。「パジャママン」は後年藤子・F・不二雄のコミカライズ(というのだろうか)版があることを知って驚いた。

 父親はよく杉良太郎のアルバムをかけていた。お陰で杉良太郎の歌も好きになった。特に「飛翔」「ロンサム・リーダー」が好きだ。

 ドライブする時は父が車内に設置した8トラックのカセットセーブをかけていた。藤山一郎や殿さまキングスなどだ。当時でも懐メロだった歌も多いが、ここで覚えた歌もある。

 母親も子守中に良く歌っていた。特に「田舎のバス」の替え歌で「それは○○ちゃんがかわいいから」と歌っていたのを覚えている。

 前の章でも述べたが、我が家では弟と一緒に『ママとあそぼう!ピンポンパン』『ひらけ!ポンキッキ』を見ていた。特に『ピンポンパン』内の子供たちのユニット「ビッグマンモス」の歌うコーナーは大好きだった。阿久悠等の一流スタッフが手がけていたと後年知って納得する。一番好きなのは宇宙の旅を歌った「星ものがたり」だ。

 『ポンキッキ』も様々な歌があったが、特に好きだったのは「帰らなかった時計屋さん」だ。引退して時計屋をしていたヒーローがかつての敵に挑まれ再び立ち上がる。町に平和は戻ったが時計屋は戻らず、子供たちのおもちゃを直す人もいなくなった。こんなビターエンドを聞かされ、私はいたく感銘を受けた。『ポンキッキ』はバラエティコーナーでもビートルズやキャンディーズなどの音楽を使っており、ビートルズなどは後年原曲を聴いて驚いた。

 『みんなのうた』にもお世話になったが、私が本格的にはまるのは中学生以降なので後で改めて語りたい。


 アニソンについては、主にオムニバスのカセットセープを聞いていた。『ドラえもん』のアルバムなどオリジナルもあったが、大半は俗に『パチモン』と呼ばれるオリジナル以外の歌手が歌ったカバー版だった。もちろん当時はそんなことも分からず聞いていたが。『スターウルフ』の主題歌「青春の旅立ち」や『宇宙戦士バルディオス』の主題歌「あしたを救えバルディオス」などはこれで覚えたが、「あしたを救えバルディオス」は後にオリジナルを聞き、カバー版メロディは一部間違っていたのが判明して驚いた。

 カセットに入っていたが、長年何の作品に使われたのか分からなかった歌もある。「自由をつれて」という歌だ。非常に気に入っていたが、ネット時代になってようやく情報が書いてあるサイトを発見し、外国ドラマ『名犬ロッキー』の日本版主題歌だったことが判明した。その後レコードを入手し、ラジオ番組『青春ラジメニア』にリクエストしてかけてもらった。『青春ラジメニア』については後に改めて語りたい。


 テレビの歌番組も見ていたが、アイドルよりは歌謡曲寄りの趣味だったようで、「硝子坂」「かもめが飛んだ日」などがお気に入りだった。カーラジオでたまたま流れていた「チャコの海岸物語」に衝撃を受けたのもこの頃だろうか。


 学校の音楽の授業では突飛なことをした事ばかり思い出す。吹奏楽の発表会の割り振りではぶれてしまった私はすねまくり、教師は私にコントラバスを受け持たせた。小柄な私がコントラバスというのもかなりギャップがあったが、私は一所懸命弦を指で弾いていた。

 他にもサン・サーンス「白鳥」を聞く授業で、曲にはまりこんだ私は突然踊り出した。教師は私の気が済むまでほうっておいた。


 次回は当時見ていたTV番組について語りたい。

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