第26話 番外編 顕正会に勧誘された話
私の母親が元「エホバの証人」信者だったこともあり、宗教勧誘にまつわるトラブルは常に気になる問題だ。これは私が就職後のエピソードだが、昨今の新興宗教勧誘への注意喚起として前倒しで語りたい。
1990年代初頭のことだ。横浜で一人暮らしする私の元に母親から電話がかかってきた。高校時代のクラスメイトが私と連絡を取りたいというので電話番号を教えたというのだ。確かに彼女はクラスメイトだったが、特に親しくしていた記憶はない。同窓会の連絡か何かだろうと思っていたが、ほどなくして彼女から電話がかかってきた。横浜を観光したいので私に案内してほしいというのだ。どうして親しくもない私に頼むのかは疑問だったが断りにくく、私が当時住んでいたアパートの前で待ち合わせることにした。
彼女は先輩だという女性と二人で車に乗ってやってきた。家に上げることを警戒していた私は、車の中で話そうという提案を受け入れ後部座席に乗り込んだが、万が一ロックされないようドアインサイドハンドルを握ってずっと持ち上げていた。
話が進むにつれて、最近自分の周囲で悲しいことはなかったか尋ねられた。「あえて言えば祖父が交通事故で亡くなったこと」と答えたところ、二人はいきなり食いついてきた。「このままでは祖父は地獄へ落ちてしまう。私たちの信仰している宗教を信じれば気分も楽になるし、祖父も救われる」というようなことを言われ、頭にきた私は「お断りします」とドアインサイドハンドルを持ち上げて車外に出、家に駆け戻った。幸い二人は追ってこなかった。アパートの門にも鍵がついていたのが幸いだったのかもしれない。
私に勧誘した二人が信仰していたのが顕正会だと知ったのは、ネット時代になって顕正会の勧誘被害を見聞きするようになったからだ。なお、彼女は他のクラスメイトにも勧誘しており、友人の一人は喫茶店に呼び出されて勧誘されたが、途中でコーヒー代に500円玉を置いて出てきたと聞かされた。
宗教とどう付き合うは本当に難しい問題だ。私も人の心の救いになるような宗教は必要だと思うし、自分のパーマン二次創作でも宗教が大きなバックボーンになっている。できれば悪質な宗教で苦しむ人が一人でも少なくなることを願うばかりである。
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