第77話 『魔水晶』『Last D・J』と高校の文芸部合宿の補完

 私は短大でも文芸部に所属していた。ただし、活動は年数回の会誌のみだった。会誌には短大の教授の寄稿もあるため二次創作を堂々とやるわけにもいかず、一次創作を書き下ろすことにした。それがカクヨムにも公開している『魔水晶』である。


 『魔水晶』は私には珍しいホラー小説だ。『ウォーロック』誌等でファンタジーRPGに触れていた影響で、マジックアイテムをテーマにした作品になっている。ショートショートなのでウェブへのリライトもすぐ出来るという理由で、コロナ禍で自宅待機中の時間を使ってカクヨムに初公開した小説となった。


 二年生の時に発表したのが『Last D・J』。第31話でも触れたが、学生時代のローカル深夜ラジオの思い出から着想された作品だ。この時の会誌には自己紹介も1ページ書き下ろしているが、当時はまっていたものを列記しており、テンションの高さに今見ると恥ずかしいことこの上ない。『私の創作遍歴』執筆の助けとなりそうなのが救いである。


 短大最後の文芸誌では、「私と源氏物語」というテーマで各部員がエッセイを寄稿した。他の部員が源氏物語の内容をテーマに寄稿した中、私は高校の文化祭で源氏物語をテーマにした思い出を綴っていた。第47話では学校での合宿を「高校二年」と書いたが、この文章によると高校一年の時だったようだ。以下再録する。


           ○


『源氏』の思い出


 高校一年の時、私の所属する文芸部で、文化祭のテーマを「源氏物語」にしたことがあった。このため、私は初めて、本格的に「源氏」と取り組むことになった。

 本や資料を読み進むうちに、私は「源氏」がただものではないことに気がついた。予定では、資料本を作ったり、系図を書いたりするはずだったが、とても五人の部員ではまにあわない。そこで、合宿をすることにした。その合宿は、台風とぶつかり、さんざんだったが、仕事ははかどった。

 しかし、一番の大物は、掛け軸で、登場人物(女性)の姿絵を描こうという計画だった。それらしくベージュの布を買って、下絵を書き、ポスターカラーで色をつけた。

 やがて、文化祭の日がやって来た。一部屋もらった私達は、今まで作った物を飾りつけて、客を待った。見に来たお客には、お茶とお菓子のサービスをした。幸い、私達の展示はみなさんにほめていただき、成功のうちに終った。

 私が、何かに打ちこめる時期に、偶然とはいえ飛び込んできた「源氏物語」は、私にとって、いつまでも思い出となる作品だろう。


           ○


 今読むと読点の多さに頭を抱えるが、この文章がなければ文化祭の展示は私の記録に残らなかったわけで、それだけでもありがたい。

 なお、この部誌を自宅で発掘した際、高校の合宿時に『超時空要塞マクロス』の映画『愛・おぼえていますか』の台本でアフレコごっこをしたときの配役表も出てきた。五人ではさすがに全員まかなえないので兼ね役していたようだ。


『魔水晶』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054896756358


『Last D・J』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054897141394

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