第68話 好きだったゲームブックの話

 古本屋を中心にゲームブックと名の付くものは何でも買っていた私だが、特に気に入った作品やシリーズがいくつかあった。今回はその話をしたい。


 『ファイティング・ファンタジー』シリーズはほとんどがファンタジー作品だったが、初期のSF作品「さまよえる宇宙船」、自分がモンスターになってプレイする「モンスター誕生」などは印象に残っている。


 東京創元社も日本人作家のゲームブックを積極的に刊行しており、鈴木直人の『ドルアーガの塔』三部作はマップを描きながらやりこんだ。他にも東京創元社のゲームブックは持っていたが、本格的すぎて後に取っておこうと思い、結局プレイしていない。


 私が一番プレイしたゲームブックレーベルは双葉社である。特に好きだった作家は『ルパン三世ゲームブック』シリーズや『ドラゴンクエスト』シリーズ等を執筆していた樋口明雄だった。

 井上尚美の『プロ野球ファミリースタジアム ナムコスターズの挑戦』も面白かった。


 秋元文庫から出ていた若桜木わかさきけいの『エスパーゲームブック』も超能力ものが好きだった私が気に入った作品だ。若桜木虔は当時たくさんの作品を執筆していたが、私が他に持っていたのは『一緒にアクシア』くらいである。


 しかし私が一番はまったのはJ.Hブレナンの『グレイルクエスト』シリーズ(日本では二見書房から『ドラゴン・ファンタジー』シリーズとして刊行)である。アーサー王伝説の時代を舞台に、主人公ピップが相棒のしゃべる剣と共に冒険を繰り広げる作品で、イギリス流の毒舌やユーモア、ゲームオーバー専用パラグラフ「14へ行け」など、一癖も二癖もある作品に私は魅せられた。

 私は例によってデパートの古書市で入手したのだが、最初に買ったのがよりにもよって最終巻の『ゾンビ塔の秘宝』だった。我々プレイヤーはピップに憑依してプレイしているという前提だったため、「もうお別れだ」と魔法使いマーリンに一方的に言われて驚いた。結局私は残り7巻を遡って集めて回ることとなる。


 我が家では現在でも買ったままプレイしていないゲームブックが本棚を占拠している。いつか日の目を見る日が来るかもしれないが、今のところプレイする時間はなさそうだ。

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