第40話 高校受験の話、『パーマン・パラレルワールド・ストーリー・シリーズ』名付けの話

 中三の高校受験シーズンになり、私も志望校を選ぶことになった。しかし、男子生徒にからかわれたりしたことがトラウマになっていた私は、女子校に通いたいと強く親に主張した。とはいえ、受験対策は塾に行ったり試験問題集を解く程度で、家ではあいかわらず読書や小説書きばかりしていた。

 1985年当時、水戸地区の公立女子高校は水戸第二高校と水戸第三高校の二校のみで、後は私立が数校あった。私の偏差値では水戸第二高校は到底無理で、水戸第三高校で一番偏差値の低い家政科を駄目元で受験することになった。滑り止めということで私立の女子高校も受験した。

 水戸第三高校はかつての水戸城跡にあり、校門が『ビーバップ・ハイスクール』のロケ地になったことでも有名だ。制服がセーラー服なのにも惹かれた。高台の校舎から水戸市街を遠くに見ながら試験を受けたが結局落ち、私は私立の女子高校に通うこととなった。同じ高校に行く同級生がいたかはよく覚えていないが、私の中学はマンモス校だったので数人はいただろう。


 当時の創作用ノートを見返すと、パーマン二次創作『vol.3 ガザン星人の挑戦』はまさに受験シーズン真っ最中の1986年1月に完成している。謝辞として当時の友人数名と教師の名前があるので、資料探しや清書した話を読んでいただいたようだ。特に友人の一人は、原稿用紙での清書を申し出てくれたのでお願いし、1年ほどかかって完成させていただいた。無理を言って申し訳なかったと今となっては恐縮するばかりである。

 そして、このノートのラストに「付記」としてシリーズ名を変えることにしたことが記載されていた。ウェブ版では削除した部分で、私も読み返すまで忘れていた。

『今まで私はこの作品のシリーズを「続・パーマン」と銘打ってきましたが、かねてから話のイメージがだんだん原作から離れていくのが気になっていました。そこで今回、友人からもその指摘があったのを期にして、「パーマン・パラレルワールド・ストーリー」とシリーズ名を変えることにしました。その点、ご了承下さい』

 結局「続・パーマン」というシリーズ名は別ラインのパーマン二次創作シリーズ名として使われることになるのだが、かなり後の話である。


 これと並行して、本来vol.2として執筆していた『パーマンと朝鮮戦争』の草稿も懸案問題だった。昭和35年の東京から戻ってきたミツ夫、法善、バードマンが朝鮮戦争開戦直前のソウルにいる三兄弟の魂に憑依して朝鮮戦争を体験するという物語だ。本文では「幽体離脱+タイムトラベル」と表記している。

 本作の執筆に至るきっかけは東京時代に読んだ真杉道子著『たべものがほしい―アフリカからのメッセージ』という本だ。アフリカの飢饉などのエピソードに混じり、朝鮮戦争時の出来事として、敗戦時に日本に帰れなかった子どもを養子にした朝鮮人の話が載っており、印象に残ったのだ。『自分、みいつけた』の時に触れた中国在留日本人孤児による親探しにも通じるもので、私は結局疑似親子テーマが好きらしい。

 本作の種本は児島こじまのぼるの三分冊『朝鮮戦争』。新聞で文庫本の広告を見たのがきっかけで図書館でハードカバー本を借り、ストーリーに関わる部分の年表を作ったり、図書室で当時の新聞縮刷記事を調べたりした。一人朝鮮ブーム状態だった私は偶然新聞記事で読んだ朝鮮人の名前と同じ名前だった日本人の後輩を朝鮮語読みで呼んでいた。朝鮮人に対する差別問題など当時私の頭にはなかったが、後輩は迷惑していたかもしれない。


 次回からは高校生編に入る予定だ。

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