第34話 私の安原義人ファンへの道

 私が俳優・声優の「安原やすはら義人よしと」氏の名前を認識し始めたのは、おそらく1980年のNHKアニメ『ニルスのふしぎな旅』のモルテン役である。ガチョウのモルテンは小さくなった主人公ニルスと共に旅をする仲間で、ニルスの保護者的立場だった。モルテン自身も旅の間に出会った雌のがんと結婚し子どもも生まれる。生まれた子どもの中に、その後『パーマン』で共演することとなる三輪勝恵がいたことを再放送で知ったときは驚いた。


 1982年放送のアニメ『トンデラハウスの大冒険』の待夢たいむ博士も、『パーマン』以前の安原義人キャラである。博士の作ったタイムマシン、トンデラハウスが偶然中に入った子どもたちと一緒に新約聖書の時代へタイムトラベルするという物語だ。博士は子どもたちのお守りをしながら留守番でハウスの修理を続けるという役回りで、バードマンに通じるものがあった。ただし、この時はまだ母が「エホバの証人」信者だったので、他のキリスト教が絡んでいる作品を見ていて気分を損ねないか気になっていたが、特に問題なかったようだ。


 1983年に始まった『パーマン』で私は安原義人の演じるバードマンにはまるのだが、氏は同時期にアニメ『キャッツ・(正しくはハートマーク)アイ』でもう一つの代表作となる内海うつみ俊夫としおを演じていた。俊夫は怪盗団『キャッツ・アイ』を追いかける刑事だが、恋人のひとみが『キャッツ・アイ』のメンバーであることは知らないというおいしい役周りだ。

 しかし、関東地方では『キャッツ・アイ』の裏で『忍者ハットリくん』を放送しており、我が家は『ハットリくん』を見ていたので存在を全く知らなかった。たまたま『ハットリくん』が休止になった日、チャンネルを回して初めて『キャッツ・アイ』を見た私は、俊夫が「待てぇー、キャッツ!」と叫ぶのを聞き、バードマンの声であることに驚いた。それから私は安原義人の演技の幅広さを意識して見るようになる。


 安原義人の別の一面を私に認識させたのが1986年放送開始のアニメ『メイプルタウン物語』で演じたゲストキャラ「パフ」だ。穏やかな声で「夢をどうぞ」と夢を売るキャラクターで、バードマンや俊夫のテンションとは全く違っていた。


 時間は前後するが、1985年から吹き替え放送が始まった米ドラマ『特攻野郎Aチーム』では、「ブラジャーからミサイルまでなんでも調達する」とOPナレーションで自己紹介する色男、「フェイスマン」ことテンプルトン・ペック役を演じていた。たまたま土曜の昼下がりに自宅で1話を見た私は偶然の出会いに興奮し、毎週欠かさず見るようになる。『パーマン』以降の安原義人はアニメより吹き替えに比重が多くなっていき、私も追っかけてたくさんの吹き替え作品を見ることになるのだが、また改めて語ることにしよう。


 追加ネタがなければ次回からはいよいよ合唱部編に入れそうだ。

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