第43話 友人たちとの出会い、合唱部と文芸部の掛け持ちの話

 私立の女子高校に入った私は中学時代の友人とも別れてしまい、一から人間関係を構築することとなったため、手始めに部活へ所属することにした。

 中学時代に所属していた合唱部が第一候補だったが、高校の合唱部は顧問の影も薄く、大会に出場することもない同好会に近い部活だった。部室は校舎の中三階にある。踊り場にある鉄の扉が出入り口で、中はピアノがあるのみの狭い部屋だ。この合唱部で知り合ったのが現在まで付き合いが続く友人だった。当時のペンネームから仮に「Sちゃん」と呼ばせてもらう。クラスは別だったが、昼休みなどに彼女のクラスを訪れたりして話し込んでいた。


 私のクラス内で親しくなったのがもう一人の友人だ。Sちゃん経由だったかもしれないがあまり覚えていない。当時のペンネームから仮に「Hちゃん」と呼ばせてもらう。私も含めた三人ともあまり同人人気がない作品が好きで、お互いの趣味話を聞きながら昼休みや放課後におしゃべりしていた。


 合唱部はあまり制約もなく暇だった。そのうちに校内に文芸部が存在することを知った私は、掛け持ちすることを思いついた。文芸部も三年生のみが所属する部活で、ほとんど活動していなかった。顧問は国語の女性教師で、授業も受けていたのでよく知っていた。この文芸部に私とSちゃんがHちゃんを誘って入ったのだ。他にも何人か一年生が入部した。


 文芸部の部室は教室ではなく、四畳半ほどの倉庫のような部屋だった。ロッカーに過去の先輩たちの部誌が入っている程度で、備品はほとんどない。この部室を居心地のいい場所にするため、私は自宅で使っていなかったカーペットを持ってきて床に敷いた。机を置いて物書きをするには狭すぎたが、放課後のたまり場としては十分だった。部室に入ると上履きを脱いでカーペットに座るのだ。後に他の部員が紙コップとティーバックを持ってきたので、給湯室のお湯を使ってお茶会を開ける程度の設備は整った。


 文芸部の主な活動は文化祭に合わせての文芸誌制作だった。文芸誌を作らないときは個人的にノートに執筆していた作品を顧問に見せ、コメントをもらったりしていた。私は顧問にパーマン二次創作のノートも見せていた。今となっては顧問も良く何も言わなかったものだ。


 高校には乾式コピー機が置いてある印刷室があり、中学よりもコピー誌を作りやすくなったのは大きな違いだった。高校一年の文化祭に合わせ作品執筆をすることにした私は、どんな作品にするか悩んだ末、新シリーズのパーマン二次創作を書き下ろすことにしたのだった。


 次回は文化祭用のパーマン二次創作話がメインとなる予定だ。

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