第100話 就職活動の話

 短大2年の夏になると、私は就職活動を始めた。といっても、もっぱら短大の就職掲示板で求人票を見るだけだ。司書の資格は取ったものの、資格が生かせる職場は到底無理だろうし、書店にでも就職できればと漠然と思っていた。

 地元のチェーンスーパーが求人票を出していたので、スーパーでアルバイトしている経験を生かせそうだと思った私は受験してみたが、あっけなく落ちてしまった。

 結局私は別の全国区の職種の試験を受けた。赴任地によっては実家を離れて一人暮らしできそうだったのと、好きだった伯父の影響もあってのことだ。


 試験に合格した私に、赴任地の案内が届いたのは平成3年1月頃だった。横浜市内にある寮に入ることが決まった私は、晴れて一人暮らしできると張り切った。

 高校時代の友人、HちゃんとSちゃんは茨城県内で就職することが決まり、離れてしまうのが数少ない心残りだった。しかし短大時代の友人とは離れてしまい卒業後のつきあいは全くなくなった。


 短大の卒業式、当時は袴での卒業式出席が流行り始めた頃だったと記憶しているが、私はスーツで参加した。卒業証書の入った筒を持ち、きっともう土浦に来ることもないだろうと感慨に浸っていたが、不思議な縁で私はまた土浦に定期的に通うことになるのである。


 寮に入るため、布団や着替え、ワープロなど最小限の荷物を載せて父親が運転する車に乗り、私は横浜を目指した。


 次回からは社会人になり、1人暮らしでたがが外れてしまった私の創作遍歴を、はまったジャンルごとに語っていきたいと思う。


 というわけで第四部完である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る