第16話 勉強のこと、遊び道具のこと、切手ブームのこと
小学校の頃から、私は得意科目と苦手科目がはっきりしていた。国語や社会は得意だが、理科は化学が苦手。算数は全面的に苦手だった。特に算数は手こずり、家で母の監督の下、算数ドリルを何冊も解いたがいっこうにテストの点数は上がらなかった。親が弟を公文式に入れたのは私の算数のまずさを見たからではないかと密かに思っている。
授業では私は時々担任に質問をし、納得するまで引き下がらず担任を困らせていた。頭ではやめた方がいいと分かっていても、心が納得できないのだ。一度など収拾が付かなくなって机ごと廊下に出されたこともあった。現在でもこの性格は私を悩ませ続けている。
そんな私の数少ない自慢は小学2年生の時、読書感想文コンクールで賞を取ったことだ。この時、私は放課後の教室で担任教師たちが私の読書感想文を褒めているのを物陰で聞き、当時書いていた日記か作文に書いた記憶がある。
小学校高学年では放送委員会に入っていたことは前に述べた。昼食時の校内放送は放送委員の持ち回り担当で、給食のお盆を持って放送室に行き、自分の裁量で放送室にあるレコードを流していいことになっていた。ほとんどがクラシック音楽だったが、飽きてくるとあまりかからなそうなレコードを流し始め、「みんなのうた」の「算数チャチャチャ」や「ひらけ!ポンキッキ」のレコードをかけていた。
学校での遊びのブームの話を前にしたが、語りそびれた話を少し。
児童館には図書室の他に卓球台やアナログゲームもあったが、一人で遊べるゲームは限られていた。私が時間つぶしに使っていたのは麻雀に似た「ポンジャン」の一人四役や百人一首を使った「坊主めくり」だった。Wikipediaによると「ポンジャン」は1976年発売の「アノア」社発売のゲームで、現在はタカラトミーが権利を持っているとのこと。児童館が出来たのとほぼ同時期の発売であり、同じような内容のポピー(現バンダイ)「ドンジャラ」は1980年の後発商品だった。
中学生くらいまでは、家での時間つぶしや気分を落ち着かせるときにトランプの「カップル」をやるのが慣わしだった。すぐ出来るように、机の引き出しには使い込まれたトランプが入っていた。Windowsのパソコンを使うようになると、「ソリティア」も覚えて一時期やりこんでいた。
学校では体育の時間に縄跳びをしていたが、二重跳びが出来なかった私は寮でも練習しており、切れると駄菓子屋で新しい縄跳びを買っていた。ようやくできるようになると寮の子供たちと二重跳びの回数を競って遊んだ。「ゴム段」と呼んでいたゴム跳びもよくやっており、家からパンツ用のゴム紐を持ってきたり、駄菓子屋でゴム跳び用の長いゴムを買ったりしていた。
駄菓子屋で買った遊び道具には他に、お絵かきやケンケン遊び用の蝋石、石突きに紙製の火薬シートを挟んで地面に落として遊ぶロケット、リリアン糸をかがるリリアン編みの道具、「チエリング」というプラスチックのカラフルなリングをつなげたお手玉。
ビーズを糸で繋いで指輪などを作るのも流行った。様々な種類のビーズ入れには釣り用の道具箱がいいと言われ、ホームセンターかどこかで自分用の入れ物も用意した。
カード付きのスナックや引き物、スーパーボールの当たるくじもよくやっていた。スーパーボールは紙シートにパウチするように入っているのをくじと引き替えるのだが、一等の巨大なスーパーボールにはついぞ縁がなかった。
小学生時代の子供たちの一大ブームと言えば切手収集だった。駄菓子屋では古切手の入った袋が商品として売られていたくらいだ。福島の伯父が切手収集をしており、盆と正月に帰省するたび、発売された切手を受け取るのが習わしになっていた。もちろん代金はお小遣いではまかなえないので親に立て替えてもらっていた。お年玉で相殺していたのか、今となってはあまり覚えてない。数冊持っていた切手用のアルバムは処分されていなければ今も実家にあるはずである。
一人で暇の時は団地にあった公園にもよく行った。皆が「プリン山」と呼んでいたコンクリートの山の頂上まで登ろうと手につばをつけて斜面にとりつきよじ登るのだが、よほど調子がよくないと無理だった。公園には箱形ブランコもあり、大きく漕ぐのが好きだったが、一度足を挟みそうになったのでやめた。箱形ブランコの危険性が話題になり、公園から撤去されるようになるのは後の話である。
時々本を借りに行っていた図書館の近くにある公園には、パイプが2本だけの大きな滑り台があり、小さい頃は恐くて滑れなかった。大きくなってから滑れるようになったが、やはり恐くて一度きりでやめた。図書館周辺も様変わりし、現在は大きな公園になっているが、私が住んでいた頃は工事中で柵に囲まれていた。
そろそろ小学校時代を終え、次回は引っ越し前の中学校の話をしようと思う。
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